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怖いけど気になる!「胃&大腸内視鏡検査」初体験レポ

こんにちは。ライターの斎藤充博です。

今回はHELiCO編集部にお声がけいただき、人生初の胃&大腸内視鏡検査を受けてみることにしました。胃や大腸の内視鏡検査に興味はあるけれど、怖くて受けられない。そんな人は少なくないはずです。そうした方々が受けてみようかな? と思うひとつのきっかけになればと、検査準備から検査当日までの流れ、その診断結果をレポートします。

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INDEX
胃&大腸カメラなんて全然受けたくない
まずは問診から。内視鏡検査の当日までの流れを知る
いざ! 内視鏡検査当日
まさかの診断結果が……!

胃&大腸カメラなんて全然受けたくない

冒頭で偉そうなことを書いたものの、正直なところ今回の企画には、ぜんぜん乗り気じゃなかったです。だって、「胃内視鏡」は口とか鼻からカメラをつっこむやつだし、「大腸内視鏡」は肛門からカメラをつっこむやつですよね。そんなの、好んでやる人っていますか……? 痛そうだし、検査に時間もかかりそうだし、漠然とつらいイメージですよね。

そりゃあ、僕が「胃や腸になんらかの病気を持っているかもしれない」状態だったら、ちゃんと進んで検査を受けますよ。でも、僕は基本的に健康なんです。現在、こんな感じの生活を送っています。

  • 2年に1回くらいは自費で人間ドック(ちなみに胃カメラではなくバリウム検査を受けていました)に行っていて、特段の病気はない
  • 酒は週に1~2回程度で、量はビールとチューハイ1本ずつくらい
  • 週に1~2回はジムに行っている
  • タバコは吸わない

今回の企画の趣旨として「内視鏡検査は未体験で、やりたくない人が受けてみるのがいい」というのも理解できるんです。だって世の中にはそういう人がきっとたくさんいるはずだから。しかも、編集さんが言うには「40代になったら一度受けてみた方がいい」そうです。それなら、やってみるか……(やりたくないんだけど、仕事だからな……)

まずは問診から、内視鏡検査の当日までの流れを知る

内視鏡検査を受けるのは、和光市駅前かわはら内視鏡・消化器内科クリニック。ここは2023年の4月に開業したクリニックです。設備は最新で、駅から徒歩1分と便利。さらに、胃と大腸内視鏡検査を同じ日に受けられることや、ネットで簡単に予約できるのもありがたいです。

さて、今日は実際に内視鏡検査をするわけではなく、その準備の事前検査に来ております。院長の川原洋輔先生にお話を伺いました。

教えてくれるのは…
川原 洋輔先生
和光市駅前かわはら内視鏡・消化器内科クリニック 院長

日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員 消化器病学会専門医 胆道学会指導医。東京慈恵会医科大学内視鏡学講座で消化器内視鏡検査・治療に長年従事される。2023年4月より「和光市駅前かわはら内視鏡・消化器内科クリニック」を和光市駅前に開院。『胃がん大腸がん死をゼロに』をモットーに、予約システムの充実など20代から50代の多忙な世代の方も受診しやすい様に細部まで配慮されたクリニックを運営している。

斎藤

内視鏡検査って、そもそもどういう人が受けるものなんでしょうか?

川原先生

基本的には、胃や腸の調子が悪い方や、健康診断などで胃や腸に問題が見つかった方が受けるものです。

斎藤

すると、僕のように健康な人は、本来は受けなくてもいい……?

川原先生

そうとも言い切れません。元気な方から病気が見つかることも多いんですよ。私はいままで何人もそういう方を見てきました。

斎藤

えっ。そうなんだ……!

川原先生

逆に、衰弱してしまっているような方の場合は、病気が相当進行しているケースが多いです。

斎藤

うわっ。怖い……。

川原先生

だから、元気な方でも内視鏡検査を受けるにこしたことはないんです。40代になったら、一度は受けてみてもいいと思います。とくにガン家系だったり、下痢や便秘や血便で悩んでいたりするようでしたら、ぜひ受けてほしいですね。もし、健康診断や市町村が実施している便潜血検査で結果が陽性と出た場合は、必ず内視鏡検査を受けましょう。体に何かしらの病気が疑われるケースは健康保険が適用になります。

斎藤

正直なところ、僕は「内視鏡を胃や腸に入れる」ということがけっこう怖いです。

川原先生

みんな怖がりますよ。最初はね。

斎藤

川原先生も内視鏡検査を受けたことがあると思いますが、やっぱり怖かったですか?

川原先生

それはね、やっぱり怖かったですよ。

斎藤

そうなんだ!

川原先生

僕が初めて内視鏡検査を受けたのは、33歳のときでした。医師になってからでしたが、それでもやっぱり怖かったですね。

斎藤

お医者さんでも怖いんですね……!

川原先生

ただ、実際に受けてみると、事前にイメージしていたものとはまったく違って「こんなものか」という感じでしたよ。鎮静剤を使えば、痛みも何もありません。完全に眠ってしまう人も多いくらいです。内視鏡もどんどん進化していて、直径が1cm以下で体への負担は少ないものが登場しています。

斎藤

そうなんだ……。だいぶ安心してきました。

安心したところで、内視鏡検査の流れについて説明を受けました。以下のようになるそうです。

1.事前診察
内視鏡検査の説明、医師による問診、血液検査が行われます。

2.食事制限
胃や腸をカラッポにするために、数日前から食事制限が必要になります。

3.検査準備
検査前日の就寝前に液体の下剤を1本飲みます。さらに検査当日にも、3~4時間程度かけて下剤を飲みます。

4.検査本番
内視鏡を体のなかに入れます。検査時間は、胃も大腸もそれぞれ数分程度です。

5.結果通知
先生から結果を教えてもらいます。

先ほども言ったように、この日は「1.事前診察」です。上記のような説明を受けたあとに、川原先生による問診を受け、看護師さんから食事制限や下剤の服用方法、検査でポリープなどが見つかった場合の希望対処法の確認、検査前後の過ごし方のアドバイスなどを教えていただき同意書にサイン、血液検査のための採血をして帰りました。

まずは、内視鏡検査に向けた準備として、段階的な食事制限を行います。

食事制限が始まる

【内視鏡検査日の2週間前】

  • サプリメントの摂取禁止
  • 特定の種類のヨーグルトの摂取禁止

「特定の種類のヨーグルト」とは、乳酸菌を腸まで届けるためのカプセルなどが含まれているものです。これは検査の邪魔になるらしい。僕は日ごろからサプリメントを飲んでいないし、特定の種類に該当するヨーグルトも食べていないので、この段階では実質的に制限はありませんでした。まだ余裕ですね。

【内視鏡検査日の2日前】

  • 消化の良い食事を摂る
  • 食事の量を大幅に制限される

クリニックで指示された食事の例を挙げましょう。

クリニックからはおすすめメニュー表をいただきました、親切……

僕は、素うどんを食べました。

すがすがしいまでに「素」の素うどんですね

具はおろか、薬味さえも入れてはいけません。たとえば、ゴマを入れてしまうと、それが大腸のヒダに残ってしまって、検査の邪魔になることがあるそうです。なるほどね……納得はできるのですがつらい。

ここに「半熟卵」と「プリン」を添えました。これだけ。これだけなんです。合計エネルギーは344kcalほどです。キッツいな~。しかし素直に従います。ちなみに朝食も昼食も夕食もだいたいこんな感じです。

クリニックからの説明書に「お腹が空いたらアメをなめていい」と書いてあったので、なめました。口のなかに広がり、脳にまで一気に到達する甘み。たまんないな、こりゃ。

気がついたら3個たて続けになめていました。いかん、虫歯になりそうだ……。ちなみに飲み物は、果肉入りのジュースや炭酸飲料、牛乳やヨーグルトなどの乳製品飲料を避けて、水やお茶などにごりのない透明なものを飲みます。

【内視鏡検査日の1日前】

  • クリニックで購入したレトルト食品を食べる
  • 就寝前に下剤を飲む

問診日にクリニックで購入した、「検査前日用のレトルト食品」というものがこちら。こんなものがこの世にはあるとは知りませんでした。

本題と関係ないですが、口に出したら魔法が発動しそうな名前だと思ってしまいました。ちなみに1,440円です。

このレトルト食品、食べてみると意外とうまい! 検査に関係なく食べてもいいくらいです。

レトルトのハンバーグ。量は少ないけどうまい!!!

昨日はおかゆや素うどんくらいしか食べていないので、このハンバーグにかかっているデミグラスソースの豊かなコクがたまりません。レトルト食品がうまいということが、食事制限のなかで救いになりました。

ただ、このレトルト食品以外に食事はできず、いよいよ空腹がつらくなってきます。今日はアメをなめるのもダメです。

そして、クリニックで渡された「下剤」を飲んでから就寝しました。僕は快便なので前日から下剤を飲みましたが、日ごろから便秘気味の人は、2週間ほど前から下剤を飲む場合もあるそうです。このあたりは、問診の際に先生や看護師さんに相談してください。

明日の検査に備えて、今日はさっさと寝よう……。そう思って、早めに床に就きました。ただ、下剤を飲んでいたために、夜間に腹痛で何度か目が覚めてしまいます。最後までなかなか大変です。

いざ! 内視鏡検査の当日

検査当日の朝は絶食です。水は飲むことができます。でも、今日で終わると思うとがんばれますね。検査が終わったら、クリニックの近くにある二郎系ラーメンの店に行くぞと決めて、徒歩で家を出ました。検査で鎮静剤を使う予定なので、自転車や車の運転のない移動が推奨されています。

検査の前に1リットルの下剤を飲む

さて、クリニックに行ってもいきなり内視鏡検査ができるわけではありません。ここで再び下剤を飲んでお腹のなかをカラッポにする必要があります。

このようなブースに案内されます。ここで下剤を1リットルほど飲むんです(画像右の紫の容器が下剤)。今回は、モビプレップ®を服用しました。

昨日の就寝前にも少量の下剤を飲んでいましたが、あれとはワケが違います。というか、1リットルの下剤なんて、あるんだ……。

飲んでみると、スポーツドリンクに梅やシソの味を足したような味がして、決してまずくはありません。看護師さんによると「この味が好き」という人もいるそうです。

これを以下のように飲んでいきます。

  1. 下剤をコップ1杯分(約180ml)、15分かけて飲む
  2. 1と同じように下剤をコップ1杯分、15分かけて飲む
  3. 麦茶(水、お茶、ウーロン茶などでもOK)をコップ1杯分、15分かけて飲む 
  4. 1~3を3~4回ほどくり返す(回数には個人差があります)

当たり前ですが、下剤を飲んでいるとトイレに行きたくなります。何度もトイレに行き、最終的に尻から無色の液体が出てきたら完了とのことです。サラッと「尻から無色の液体」と書きましたが、なかなかすごい体験ですよね。

そして、気づいた方もいると思うのですが、下剤を飲むのにかなりの時間がかかります。なにか暇つぶしになるようなものを用意するといいでしょう。

僕はiPadで映画を見ていました。『ブレット・トレイン』という、殺し屋がたくさんでてくるアクションコメディ映画です

スカッとしたアクション映画は、下剤を飲みながら見るのにちょうどいい。これはおすすめ。って、ブラッド・ピット(主演)もそんなことにおすすめされたくはないと思いますが……。

映画を見ながら下剤を飲み、お腹が痛くなってきたらそのつど映画を中断してトイレに。こんなことを2~3時間ほど繰り返していると、ついに尻から出てくるものが無色透明になってきました。

いよいよ内視鏡の検査が始まります。検査着に着替えて(この検査着の尻の部分は穴が空けられるようになっていて、なんとも生々しい)、いざ内視鏡のある部屋へ。

まずは胃の内視鏡から始めます。看護師さんが水分補給のために点滴をしてくれました。そして、鼻の穴に麻酔の液を入れていきます。この液は鼻を伝って、喉まで流れていきます。

やがて、喉の筋肉が麻痺してきたのがわかります。ツバをうまく飲み込めないんです。こんなの初めてだ。

うまく声も出せないんですが、なんとか看護師さんにそのことを伝えると「いいですね。それはちゃんと麻酔が効いているということですよ」とさわやかに答えてくれます。そうかそうか、ならよかった。

ベッドに横たわります。やがて川原先生がやってきて、「それではやっていきましょうね」と声をかけてくれました。いよいよ鼻から胃内視鏡を通していきます。

麻酔は効いていて、痛みはありません。ただし、圧迫感があってちょっと苦しい。

うう……。

この状態、つらいな……。

ちょっと、なんとかならないものか……。

そう思っていると……。

僕が次に見た光景はこれでした。えっ? さっきの部屋と違うじゃん? 検査はどうした?

そこに川原先生がやってきます。「ちょっと苦しそうだったので、早めに点滴経由で鎮静剤を入れました」とのこと。検査も無事終了しているそうです。

ウワー。内視鏡検査の本番について、なにもわからなかった。レポート記事としてこれでいいのか? そう思うのですが、鎮静剤が効いていて、目は覚めてもまだ頭がもうろうとしています。あまりものを考えられない。

このままクリニックのベッドで30分ほど休んで、帰宅しました。

帰り道に予定通り二郎系ラーメンを食べたのですが、このときもまだ頭がぼんやりしていて、「久しぶりのボリュームのある食事の喜び」のようなものは、特に感じませんでした。

まさかの診断結果が……!

後日、結果を聞きに行ったところ……。

詳細は伏せますが、けっこういろいろな疾患が見つかりました! マジか……。ただし、いずれも重いものではなく、現段階では経過観察で治療の必要はないとのこと。写真も見せてくれたので、理解しやすかったです。

いやー。内視鏡検査しておいて本当によかったです。 ここまでお伝えしているとおり、内視鏡検査を受けるには準備が必要で、そうそう気軽に受けられるものではありません。

それでも、やっぱり内視鏡検査は受けておいた方がいい、と僕は思いました。自分だけでは、どんな病気があるかなんて、わからないのです。

そうそう、ひとつだけ、今回判明した僕の病気をお伝えします。

つまり痔です。でも、お尻が痛くなったことなんてないし、こうして伝えられた後にも、なんの違和感もありません。本当に自分の体って、わからないんです。

冒頭で「やりたくないんだけど、仕事だからな……」なんて書いちゃって、申し訳ありませんでした! この企画を持って来てくれたHELiCO編集部、そして検査をしてくれた川原先生、ありがとうございました!

CREDIT
取材・文・イラスト:斎藤充博 編集:HELiCO編集部+ノオト
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