毎年受診する定期健康診断や人間ドックの際、迷うことも多いのが、オプション(追加)検査。「定期健康診断でいろいろ調べるのだから、オプション検査は不要では?」と思う方、あるいは「念のためつけたいけれど、何を選んだらいいのか分からない……」という方など、さまざまだと思います。
この記事では、成人以降の男女において、どのような観点でオプション検査を検討すればよいのか、年代や生活習慣を踏まえながら解説していきます。
- 年代別・健康診断「オプション」の選び方 ~女性編~
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健康診断・人間ドックを受診する際、オプション(追加)検査をつけるかどうか、考えたことのある方は多いのではないでしょうか。オプションにはさまざまな種類があるため、自分はどの検査を受けるのがよいのか、選択に迷うこともあると思います。特に女性は「婦人科領域」と呼ばれるような女性特有の病気があります。この記事では女性が検討したいオプション検査(気をつけたい病気)に注目して解説します。https://helico.life/monthly/230708healthcheck-option-forwomen/
- 大人も子どもも要注意!ロコモティブシンドロームとは
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みなさんは「ロコモ(ロコモティブシンドローム)」という言葉を聞いたことがありますか? なんだかかわいらしい響きに聞こえますが、ロコモとは、筋力低下や骨の病気などに伴い、立ったり歩いたりする能力が低下している状態を指します。自分はまだ若いから大丈夫! と思った方も要注意。近年は新型コロナウイルス感染症の影響や生活様式の変化により、「子どもロコモ」など、高齢者以外の世代でもロコモが懸念されています。ロコモが進行すると将来、介護が必要になるリスクが高まってしまうので、若い世代から予防を意識することが大切です。https://helico.life/monthly/230304bonemuscle-locomo/
本記事では、子どもから大人まで誰もがなり得るロコモについて、基礎的な情報を解説します。
喫煙習慣がある場合に検討したい検査
肺がん検査
喫煙は肺がんの大きなリスクです。日本人の喫煙者と非喫煙者で肺がんでの死亡リスクを比較すると、男性では喫煙者が約4.7倍、女性では約3.2倍も死亡リスクが上がることが分かっています(※)。喫煙を続けている年数が長く、本数が多いほど肺がんにかかるリスクは高まっていきます。
※引用文献:Zha L,et al. J Epidemiol. 2019;29:11-7.
定期健康診断で必ず実施する、胸部X線検査も肺がんを発見するための検査で、対策型がん検診でも胸部X線検査が行われていますが、非喫煙者よりも肺がんのリスクが高い重度喫煙者(1日1箱以上の喫煙をする方)では、胸部CT検査での死亡率の減少が報告されているので、胸部CT検査を検討するのもよいでしょう。
動脈硬化検査
喫煙者では動脈硬化のリスクが高まります。高血圧や糖尿病、脂質異常症やメタボリックシンドロームを合併する場合は特に、先ほど「50歳代で検討したいオプション」でも紹介した動脈硬化検査をおすすめします。
また、本人が喫煙をしない場合も、受動喫煙によって肺がんのリスクが高まってしまうので注意が必要です。
オプション検査を検討するときに、気をつけたいこと
選択に迷うなら相談を
オプション検査の選択に迷う場合には、まずはかかりつけ医に相談してみるのがよいでしょう。すでに診断や治療を受けている病気がある場合、不要と思われる検査、逆に受けておいたほうがよい検査が出てくることもあります。かかりつけ医がなければ、検査を受ける医療機関に相談しましょう。
また、できるだけ毎年同じ医療機関で健診を受けることも重要なポイントです。同じ機関で定点的にデータを確認することで、余計な検査をせずに済むなどの利点があります。
受けること=ゴールではない
健診はあくまで健康かどうか、病気のリスクを測るためのものです。そのため、健診は決して受けることがゴールではありません。健診を活用することで、できるだけ病気を早期発見する、あるいは発症リスクを減らすための対策をとれる可能性も出てきます。結果を受けて、生活改善や治療などにつなげるところまでを健診の意義としてとらえることが重要です。
なお、すでに何らかの症状がある場合には、健診ではなく、より専門的に疾患を特定できる適切な診療科を受診するようにしましょう。
生活スタイルや病気のリスクは人それぞれのため、自分自身に合った健診オプションを選ぶことが大切です。健診は自身の体の状態を知るための重要な機会となるため、上手に健診やそのオプションを活用していきましょう。
- 教えてくれたのは・・・
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- 松本 知沙先生
- 東京医科大学病院 健診予防医学センター
2011年 Harvard 公衆衛生大学院 疫学修士。2011~2013年 Harvard 大学医学部、Brigham and Women’s Hospital Fellow。専門領域は内科、循環器内科、予防医学、循環器疫学。人間ドック健診専門医、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本高血圧学会認定専門医・指導医、米国心臓病協会フェロー、American Heart Association Fellow (FAHA)。病気の早期発見や予防を目標に、受診者ひとりひとりに寄り添った人間ドックの案内を目指す。