みなさんは「ロコモ(ロコモティブシンドローム)」という言葉を聞いたことがありますか? なんだかかわいらしい響きに聞こえますが、ロコモとは、筋力低下や骨の病気などに伴い、立ったり歩いたりする能力が低下している状態を指します。自分はまだ若いから大丈夫! と思った方も要注意。近年は新型コロナウイルス感染症の影響や生活様式の変化により、「子どもロコモ」など、高齢者以外の世代でもロコモが懸念されています。ロコモが進行すると将来、介護が必要になるリスクが高まってしまうので、若い世代から予防を意識することが大切です。
本記事では、子どもから大人まで誰もがなり得るロコモについて、基礎的な情報を解説します。
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すべての女性が気をつけたい「骨粗しょう症」
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「骨粗しょう症」という病名は聞いたことがあるけれど、高齢者の病気だろうし自分にはまだ関係ない。そう思っている人は多いのではないでしょうか。重篤な病気ではないととらえている人もいるかもしれませんが、骨粗しょう症による骨折が引き金となって寝たきりになったり、骨折を繰り返したりすることもあり、健康への影響はかなりのもの。また、骨量や骨密度は女性ホルモンの影響を大きく受けるため、とくに40代以降の女性は気をつけたい病気です。
骨粗しょう症予防は、症状が出る前からの対策がなによりも重要です。正しい知識を身につけて、生涯自分の足で歩ける丈夫な体づくりを目指しましょう。
https://helico.life/monthly/230304bonemuscle-osteoporosis/
運動しているのに筋肉が減る? 栄養面にも気を配ろう!
骨の健康を保つうえで欠かせないのが栄養面での配慮です。骨といえばカルシウム、というイメージが強いかもしれません。もちろん、骨にとってカルシウムは重要な栄養素のひとつですが、骨の約半分はコラーゲンでできているため、コラーゲンの元となるタンパク質の摂取も重要です。
また、骨がつくられる際に欠かせないのがビタミンD。しかし、ビタミンDは食事からの摂取がなかなか難しい栄養素といわれています。日光(紫外線)を浴びると体内で生成されますが、季節や地域によっては12時間も外にいないと十分な量が生成されない場合も……。そんなときには、ビタミンDを含んだサプリメントをうまく活用しましょう。
筋肉においては、やはりタンパク質が重要です。筋肉量を増やすために運動を行っている人も多いと思いますが、食事面にも意識を向けましょう。タンパク質はもちろんですが、適度な炭水化物や脂質などの栄養を摂らずに運動をすると、筋肉がつくどころか、逆に筋肉が破壊されてしまうこともあります。きちんと運動し、きちんと栄養を摂取する、そのバランスを大切にしましょう。
カルシウムやビタミンD、タンパク質を含め、より多様な食品から栄養を摂取するほうが、運動機能の低下が少ないといわれています。どのような食品を摂取すればいいのかは、下記の表を参考にしてください。合言葉は「さあにぎやかいただく」です。
これらの食材を1つでも多く食卓に取り入れられるように意識しながら、毎日の食事を楽しみましょう。
「骨と筋肉のつくり、役割」については下記ページで詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
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私たちの体を支える!骨と筋肉のつくり、役割を知ろう
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私たちが生きていくためには、呼吸や水分・食事の摂取、睡眠が欠かせません。では、こうした行動ができるのはなぜでしょうか。それは、骨や筋肉が私たちの体を支えたり、動作に必要な部位を動かしたりしてくれているからです。
いま、あなたがこの文章を読んでいる間も、骨が体全体を支え、呼吸や目を動かすための筋肉が働いています。本記事では、私たちの日々の生活の動作に欠かせない「骨」と「筋肉」について解説します。
https://helico.life/monthly/230304bonemuscle-kiso/
ロコモは正しく予防・対策をすれば、症状の進行を防ぎ、回復できる点が大きな特徴ではあるものの、骨や筋肉は一朝一夕では丈夫になりません。将来慌てることのないよう、いまのうちからコツコツと対策を始めてみてはいかがでしょうか。
- 教えてくれたのは・・・
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1985年東京大学医学部卒業。東京大学整形外科入局。東京大学医学部附属病院のほか関東圏を中心とした関連病院で整形外科全般の診療経験を積む。得意分野は手の外科、マイクロサージャリ―(顕微鏡下の微細手術)。ロコモティブシンドロームの提唱者の一人で、その研究・啓発活動にも力を入れている。2021年から現職。日本整形外科学会整形外科専門医。