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私たちの体を支える!骨と筋肉のつくり、役割を知ろう

私たちが生きていくためには、呼吸や水分・食事の摂取、睡眠が欠かせません。では、こうした行動ができるのはなぜでしょうか。それは、骨や筋肉が私たちの体を支えたり、動作に必要な部位を動かしたりしてくれているからです。

いま、あなたがこの文章を読んでいる間も、骨が体全体を支え、呼吸や目を動かすための筋肉が働いています。本記事では、私たちの日々の生活の動作に欠かせない「骨」と「筋肉」について解説します。

INDEX
体を支え、衝撃から守る。骨がもつ役割
血液の循環や代謝に関わるものも。筋肉がもつ役割
骨も筋肉も、日々生まれ変わっている
40歳を過ぎたら筋肉量と骨量を調べよう

体を支え、衝撃から守る。骨がもつ役割

骨は私たちの体内にあり、自分自身の目で直接見ることはできません。また、打撲や骨折などのトラブルが起きないと、その働き・存在を意識しないことがほとんどかもしれません。しかし、陰ながら日々私たちの体を支えてくれている骨たち。その役割をおさらいしましょう。

役割その1:体を支える

地球上で生活している誰もが「重力」を受けており、この重力に負けずにきちんと体を支えるために不可欠なのが骨です。人間の体には、なんと約200個もの骨があります。その一つひとつに役割があり、それらが組み合わさり、私たちの「骨格」をつくっています。骨があるから体が支えられ、姿勢を保つことができているのです

役割その2:筋肉の力を受け止める

私たちは全身をさまざまな方向・角度に動かすことができます。体を動かすのは筋肉の役割というイメージが強いかもしれませんが、骨と筋肉は「腱(けん)」という組織でつながっているため、筋肉が伸びたり縮んだりすることでその動きが伝わり、骨と骨の間にある関節がスムーズに動くことによって、曲げ伸ばしをはじめとしたさまざまな運動が可能になっています

役割その3:内臓を外の衝撃から守る

体のなかでも丈夫な組織である骨には、内臓を外部の衝撃から守る役割があります。たとえば、 頭の骨である「頭蓋骨(ずがいこつ)」は、脳を守るためのヘルメットのような役割を担っています。そのほか代表的なところを挙げると、「肋骨(ろっこつ)」は肺や心臓を、「背骨(脊椎:せきつい)」は、脳から続く脊髄(せきずい)を守っています。

役割その4:血液をつくったり、カルシウムなどを貯めたりする働きも

骨は先述の力学的な3つの働きのほか、血液を構成する成分である赤血球や白血球、血小板をつくったり、カルシウムなどを貯蔵し、血中でその濃度が低下した際に、放出したりする役割も担っています。まさに、私たちが気づかないところで全身を支えている、縁の下の力持ちのような存在なのです。

血液の循環や代謝に関わるものも。筋肉がもつ役割

人間の体には400個程度の筋肉があるといわれています。筋肉と聞くと誰もが思い浮かべる代表的な役割が、体を動かしたり、姿勢を保持したりすることではないでしょうか。私たちの体は、筋肉が収縮することにより骨がひっぱられ、関節が動くという仕組みで一つひとつの動作ができるようになっています

そのほかにも、筋肉には主に下記のような役割があります。

・血液を体内で循環させる(収縮して心臓に血液を戻す)
・体温を一定に保つためにエネルギー(熱)を生み出し、代謝を上げる
・外部の衝撃から内臓や血管、神経を守る
・体内の水分を蓄える
・免疫を上げる

筋肉量が多いほど、運動機能の低下が防げる、血液循環における心臓の負担が軽減される、エネルギー源(糖質・脂質)の代謝が高まり、生活習慣病の予防につながることなどが見込めます。

「無意識に動く筋肉」と「意識的に動かす筋肉」の違い

先述したとおり、筋肉には、骨を動かす動力の役割や、心臓に血液を戻すといった役割などがあり、「心筋」「平滑筋」「骨格筋」の3つに分けることができます。

心筋は、その名の通り心臓を動かす筋肉で、平滑筋は、消化管や気道、内臓壁、血管壁などで動く筋肉です。心筋、平滑筋ともに自分の意思では動かすことができません。また、これらは体の恒常性(一定の状態を維持しようとする働き)を保つために自律神経によってコントロールされる、「不随意筋(ふずいいきん)」とも呼ばれます。

一方、昨今の筋トレブームなどで「積極的に鍛えよう」といわれているのが、姿勢を保ったり、体を動かしたり、意識的に動かすことのできる「骨格筋」です

骨格筋には「速筋(そっきん)」と「遅筋(ちきん)」があり、それぞれの部位や人種、あるいはトレーニング方法などによって、速筋・遅筋量の割合が異なります。速筋はいわゆる「短距離走向き」の筋肉です。速筋は瞬間的に大きな力を発揮することに長けていますが、その状態を長くは続けられません。一方遅筋は「長距離走向き」の筋肉で、瞬間的に大きな力は発揮できないものの、繰り返し収縮が起こっても疲れにくいため、長時間コンスタントに力を発揮し続けることに長けています。たとえば、陸上の短距選手の太ももと長距離選手の太ももを比べると太さが違うのも、それぞれの競技特性に合った筋肉(速筋・遅筋)の割合になっているからです。

骨も筋肉も、日々生まれ変わっている

久々にスポーツをしたら、肉離れを起こしてしまった、骨折をしてしまったという経験がある方もいるのではないでしょうか。ただ、骨折などのけがをしても、幸いなことに骨も筋肉もある程度の時間をかければきちんと修復され、治っていきます。その人の健康状態やけがの重症度により違いはありますが、肉離れが治るのは大体3週間程度、骨折が治るのは2か月程度とされています。骨よりも筋肉のほうが圧倒的に治りやすいものの、骨と筋肉のどちらにもきちんと「修復作用」があるのです。

また、肌の細胞が一定の周期で入れ替わるサイクルを「肌のターンオーバー」と呼ぶことがありますが、じつは、骨や筋肉にも、ターンオーバーがあります

それぞれの細胞の生まれ変わりの周期のなかで、古い骨が壊されることを「骨吸収」、新しい骨がつくられることを「骨形成」といい、これらがバランスよく行われることで、健康な骨がつくられます筋肉も同様に、筋肉の元となるタンパク質の合成と分解をつねに行っており、このバランスが崩れると筋肉量の減少が起こります。部位によって異なるものの、骨は3~4か月程度、筋肉は2か月程度で徐々に新しくなっていくのです。

すべてが一度に入れ替わるわけではないので、変化が目に見えず実感しにくいですが、骨も筋肉も、現在のものと数年後のものは別物であるといえます。

40歳を過ぎたら筋肉量と骨量を調べよう

下半身の筋肉量低下に要注意!

筋肉量は生活スタイルなどにも左右されるものの、男女ともに大体20歳過ぎまでは増加し、その後は40歳ごろまである程度の量を維持しますが、それ以降は何もしなければ、徐々に低下していきます。とくに太もも(大腿四頭筋:だいたいしとうきん)などの大きな筋肉が衰えやすく、上半身よりも下半身のほうが減少の幅が大きいといわれています

ぜひ、ロコモ度テストにトライして、現在の筋肉量を確認してみましょう。

「ロコモティブシンドローム」については下記ページで詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

大人も子どもも要注意!ロコモティブシンドロームとは
みなさんは「ロコモ(ロコモティブシンドローム)」という言葉を聞いたことがありますか? なんだかかわいらしい響きに聞こえますが、ロコモとは、筋力低下や骨の病気などに伴い、立ったり歩いたりする能力が低下している状態を指します。自分はまだ若いから大丈夫! と思った方も要注意。近年は新型コロナウイルス感染症の影響や生活様式の変化により、「子どもロコモ」など、高齢者以外の世代でもロコモが懸念されています。ロコモが進行すると将来、介護が必要になるリスクが高まってしまうので、若い世代から予防を意識することが大切です。

本記事では、子どもから大人まで誰もがなり得るロコモについて、基礎的な情報を解説します。
https://helico.life/monthly/230304bonemuscle-locomo/

また、「昔スポーツを本格的にやっていたから私は大丈夫」と思っている方は要注意。筋肉は衰えるのも比較的早いので、継続的に運動をする必要があります。ハードな運動を毎日自分に課す必要はありませんが、エスカレーターではなく階段を使用するなど、日常でできる小さな積み重ねを大切にしましょう

骨量増加と減少のタイミングのカギは「性ホルモン」

人の体のなかにある骨の量を「骨量」といい、骨量が大きく増えるタイミングは、性ホルモンの分泌と密接な関係にあります。女性の場合は初潮がくるころから、男性の場合は急激に身長が伸び始める10代から骨量が増え始め、いずれも20歳ごろにピークを迎えます。なお、女性は以前と比較して初潮の年齢が早まっているため、骨量の増加時期も前倒しで訪れているとされています。

一般的に、骨量は女性のほうが減少しやすいといわれています。減少のタイミングにも性ホルモンが関係しており、女性ホルモンの分泌が大幅に減少する閉経前後は、特に骨量の減少に注意が必要です。一方で、男性の骨量の減少は比較的ゆるやかで、50代以降になって徐々に進行することが多い傾向にあります。

なお、骨量が減少すると、骨の強度が低下して骨折リスクが高まる「骨粗しょう症」になりやすくなります。骨折をして初めて骨量の減少を知るという方もいます。女性は40~50歳の間に、 男性も65歳ごろには医療機関で骨密度の測定を実施するとよいでしょう。骨密度を測定することで、現状を知り、生活するうえでの注意点なども把握できます。まだ一度もしたことがないという方は、ぜひこの機会に検討してみましょう。

「骨粗しょう症」については下記ページで詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

すべての女性が気をつけたい「骨粗しょう症」
「骨粗しょう症」という病名は聞いたことがあるけれど、高齢者の病気だろうし自分にはまだ関係ない。そう思っている人は多いのではないでしょうか。重篤な病気ではないととらえている人もいるかもしれませんが、骨粗しょう症による骨折が引き金となって寝たきりになったり、骨折を繰り返したりすることもあり、健康への影響はかなりのもの。また、骨量や骨密度は女性ホルモンの影響を大きく受けるため、とくに40代以降の女性は気をつけたい病気です。

骨粗しょう症予防は、症状が出る前からの対策がなによりも重要です。正しい知識を身につけて、生涯自分の足で歩ける丈夫な体づくりを目指しましょう。
https://helico.life/monthly/230304bonemuscle-osteoporosis/

年齢を重ねても健康に過ごすために欠かせない骨と筋肉。まずは自分自身の骨量や筋肉量を知り、増加・維持のために、なにができるのかを考えてみましょう。なにを始めるにも遅すぎることはありません。

教えてくれたのは・・・
大江 隆史先生
NTT東日本 関東病院 院長

1985年東京大学医学部卒業。東京大学整形外科入局。東京大学医学部附属病院のほか関東圏を中心とした関連病院で整形外科全般の診療経験を積む。得意分野は手の外科、マイクロサージャリ―(顕微鏡下の微細手術)。ロコモティブシンドロームの提唱者の一人で、その研究・啓発活動にも力を入れている。2021年から現職。日本整形外科学会整形外科専門医。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:かざまりさ
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