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冷え症のタイプに合わせた、今すぐできる「温活術」

冷え症の改善には生活習慣の見直しが大切。そうはいっても、この冷えている状態をすぐに何とかしたい……! そんなときにはプラスαの「温活」を。「冷え症タイプチェック」の記事で、自分が当てはまる冷え症のタイプを確認したら、こちらの冷え症対策を実践しましょう!

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INDEX
四肢末端型冷え症には、足の指へのストレッチ&ツボ押し
下半身型冷え症には、ソフトボールでお尻のツボ押し&ストレッチ
内臓型冷え症は、仙骨の周りを温める
全身型冷え症には、背中のツボ押し

1.四肢末端型冷え症には、足の指へのストレッチ&ツボ押し

四肢末端型冷え症とは、手足(四肢)の末端が冷たくなるタイプの冷え症です。足先が冷たくて眠れない。そんなときに効果的なのが、足の指へのストレッチ&足先にあるツボ「八風(はちふう)」のツボ押し。足先の血流が改善されて、根本的な冷えの解消が期待できます。

冷えが強い場合は足指の筋肉が硬直しているため、曲げると痛みますが、本来曲がる方向に曲げているので痛くても心配ありません。血流が改善してくると曲げても痛まなくなります。

ストレッチ

  1. 椅子に座り、右足の足首のあたりを左足の太ももにのせる。
  2. 右の足の甲と指を左手で覆うように持って、足の指を曲げるように手前に引っ張り、そのまま5秒キープ。
  3. 5秒経ったらパッと離し、5秒そのまま待つ。
  4. これらを左右の足の指で各5回程度繰り返す(1日1~2セットが目安)。
    ※入浴中に行うのも効果的。

【①】足の甲と指を手で覆うように持ち、強めに曲げる。 【②】5秒経ったらパッと離して5秒そのまま待つ。左右の足でそれぞれ5回程度行う

 

ツボ押し

  1. 足の指と指の間にあるツボ(八風)を探す(押すと痛みがある箇所)。
  2. 4本の手の指をそれぞれのツボに当て、皮膚に対して垂直に押すかこする(強めに5秒)。
  3. 5秒経ったら手を離し、5秒そのままで待つ。
  4. 左右のツボで各3~5回繰り返す。1日1~2セットを目安に。
足の指のつけ根にある関節のすぐ手前にあるくぼみ(赤い●の部分)で、足先が冷えている場合、押すと痛み(圧痛)がある。4本の指の腹でツボを垂直に押すかこする

2.下半身型冷え症には、ソフトボールでお尻のツボ押し&ストレッチ

下半身型冷え症とは、その名のとおり下半身が冷えてしまうタイプ。下半身型冷え症の人は、お尻の筋肉が硬くなり、足の動脈血流を調節している交感神経や足の筋肉を動かす坐骨神経が圧迫されていることが多いのです。これらを緩めるためには、お尻にあるツボ「臀中(でんちゅう)」のツボ押し&ストレッチが◎。

このとき役に立つアイテムが、ソフトボール! ソフトといっても「軟らかいボール」ではなく、競技用(表面が皮ではなくゴム製の練習用のほうがよい)のソフトボールを使います。このボールの硬さと球面が指で押しにくい背面のツボ押しにピッタリ! ボールを使うことで筋肉を引き伸ばすストレッチにもなるため、手元に1つあると便利です(※競技練習用のソフトボールは、スポーツ用品店やインターネットなどで購入できます)。

さらに、ふくらはぎの筋肉を足首からひざ裏に向けてしごくように行うマッサージは、下肢の静脈の流れを改善するので、併せて行うと効果的です。

ツボ押し&ストレッチ

  1. ベッドや布団の上など、硬すぎない場所でひざを立てて仰向けになる。
  2. お尻の下にボールを入れ、ボールがツボに当たるように身体を45°に傾け体重をのせる。
    ※まずはだいたいの位置にボールを当ててから痛みを感じる部位を探しましょう。
  3. 1回あたり30秒ほどにとどめ、反対側のツボも同様に行う。左右で1日1セットを目安に。
    ※体に強い痛みを感じるときなどは無理に実施しないでください。

左右にあるお尻の筋肉の真ん中あたりのくぼみで、こっている場合、押すと痛み(圧痛)やしこりがある位置(赤い●の部分)が臀中。ソフトボールをお尻の下に入れて痛みを感じる部位を探し、身体を45°に傾け骨盤の中心に向かって押すように体をのせる

 

ひざを使ったふくらはぎのマッサージ

  1. 椅子に座り、右足のふくらはぎを左足のひざ頭にのせる。
  2. 足首からひざ裏に向けて、ひざ頭でふくらはぎをしごくように右足をゆっくり動かして押していく。
    ※静脈の流れと同じ方向に、足首からひざ裏に向かってしごいていくのがポイントです。
  3. 左右の足で押して痛むところは10回くらい繰り返す。1日1~2セットを目安に。
椅子に座り、ふくらはぎを反対の足のひざにのせる。足首からひざ裏に向けて、ひざ頭でふくらはぎをしごくように押していく。静脈の流れと同じ方向に、足首→ひざ裏に向かってしごくのがポイント

3.内臓型冷え症は、仙骨の周りを温める

内臓型冷え症とは、手も足も温かいのに、体のなかが冷えるタイプの冷え症です。お腹が冷えやすい内臓型冷え症の場合、まずはお腹を温めたくなりますが、お腹の周りには脂肪が多く、深部まで温熱を届けるのが難しいことも。そのため、体の背面、特に骨盤内に入る神経が多く通っている仙骨(せんこつ)の周りを温めるほうが、内臓を温めることにつながります。

仙骨の温め方

貼るタイプの使いすてカイロを衣類の上から仙骨上に当てる。
※皮膚に直接貼ったり就寝中に実施したりするのは避け、やけどに注意してください。

仙骨は、いわゆるお尻の真ん中の骨

お腹を温めるなら……

お腹側から温めたい場合は、内臓につながる神経が多く集まるツボ「子孕(こはら)みの灸点」を意識してみましょう。「子孕みの灸点」は、その名前からわかるように、不妊症治療の灸点として有名な場所でもあります。子宮、卵巣、膀胱、直腸など下腹部の血流を改善します。仙骨を温めるのと同様に、衣類の上からカイロを貼ります。

おへそを頂点とした正三角形の角の位置。三角形の1辺の長さは「口幅」(自分の唇の右端から左端までの長さ)が目安

4.全身型冷え症には、背中のツボ押し

全身型冷え症は、文字どおり、手や足だけでなく、体のなかも冷えている状態の冷え症。さらに背中の冷えや悪寒を感じる場合も。その際は、背中にあるツボ「膏肓(こうこう)」が役立ちます。

手が届かない背面のツボには、「2.下半身型冷え症」で紹介したようにソフトボールを使うのが便利です。

ツボ押し

  1. ベッドや布団の上など、硬すぎない場所でひざを立てて仰向けになる。背中の下にボールを入れ、ツボが当たるように体重をかける。
    ※だいたいの位置にボールを当ててから痛みを感じる部位を探しましょう。
  2. ボールをツボに当てるのは1回あたり30秒ほどにして、反対側のツボも同様に行う。左右で1日1セットを目安に。
    ※体に強い痛みを感じるときなどは無理に実施しないでください。

さわるともっとも出っ張っている首の骨(第7頸椎)から4つ分、下にある骨の高さで、そこから指4本分、外側(肩甲骨のふち)の位置(赤い●の場所)。押すと痛みを感じる点を探す。 ソフトボールを背中(肩甲骨の内側付近)の下に入れて、痛みを感じる部位を探し、背中の中心に向かって押すように体重をかける。この際、体重をのせるだけでゴリゴリしない。ゴリゴリ押しすぎると後で「もみ返し」が起こり、かえって痛みが出ることもあるので要注意

 

なかなか解消しない冷えに悩む方も多いはず。冷え症にはセルフケアがとても大切なので、ぜひ試してみて、自分に合った方法を見つけましょう。

教えてくれたのは…
伊藤 剛先生
北里大学客員教授
北里大学東洋医学総合研究所(漢方診療部・鍼灸診療部)

漢方専門医・消化器病専門医・内科認定医。日本東洋医学会指導医・代議員、日本自律神経学会評議委員、他。北里大学(医学部・薬学部・医療衛生学部)・浜松医科大学非常勤講師。1982年に浜松医科大学卒業。内科・消化器を専門とする西洋医学と漢方(湯液)と鍼灸を専門とする東洋医学の両面からさまざまな疾患に対する治療を行ってきた数少ない医師。「冷え症」研究と診療の第一人者。日本で最初に開設された東洋医学総合研究所の「冷え症外来」にても診療中。メディア出演多数、著書複数有。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:はしのちづこ
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