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食事で冷え対策!もっとも重要なのは、たんぱく質!?

鍋やシチューなど、温かいものが恋しくなる寒い季節。温かいものを食べると体のなかからポカポカしてきますよね。このように体の冷えと食事は密接に関係しているので、毎日の食事を見直せば、冷えの改善も期待できます。では、具体的にどんな食材がいいのか、どんな摂り方がいいのか知っていますか? 今回は、体が温まる食材とおすすめの取り入れ方を紹介します。

体温を上げるには「たんぱく質」

私たちの体では、代謝によって体熱が生み出されます。代謝のパターンは大きく分けて、「基礎代謝」「食事誘発性熱産生」「活動代謝」の3つ。

まず注目したいのは、1日のエネルギー消費量の60%を占める「基礎代謝」です。人は基礎代謝として安静時にも心臓などの臓器や、筋肉がエネルギーを消費しています。ただ、その消費量は筋肉量に比例しているため、食事の栄養バランスが悪かったり、定期的な運動習慣がなかったりすると加齢とともに減少傾向に。基礎代謝が落ちると次第に血流が悪くなって体温も下がり、さらに体温が低下すると免疫力も下がるという悪循環が起こります。

しかし、たんぱく質の摂取や適度な運動を心がけて筋肉がつけば、基礎代謝が高くなり、冷えにくい体質になっていきます。特に、男性に比べて筋肉が少ない女性は、たんぱく質を積極的に摂る必要があります。毎回の食事で手のひらと同じくらいの大きさのたんぱく質を含む食材を摂るのが理想的です(たんぱく質の目安量は20~30g)。肉類・魚類・豆類など、種類は問いません。

次に注目したいのが「食事誘発性熱産生」。食事を摂ると体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されます。このため食事をしたあとは、安静にしていても代謝量が増えます。この代謝の増加を「食事誘発性熱産生」と呼びます。

この熱産生は、消費エネルギー全体の10~15%とけっして高くはないものの、どのくらい熱を生み出すかは栄養素の種類によります。三大栄養素である糖質、脂質、たんぱく質はどれも熱を産生しますが、その割合は異なり、糖質が6%、脂質が4%であるのに比べて、たんぱく質はなんと30%! ほかの栄養素と比べて、たんぱく質ははるかに多くの熱を産生するのです。

しかし、現実には毎日、毎食バランスよくたんぱく質を摂ることは難しいかも。そんなときは、糖質あるいは脂質でも熱を産生する効果がありますので、最低限、一日三食をきちんととるように心がけることが大事です。

体を内側から温めよう

上に書いた基礎代謝を高めるには体を内側から温めることも大切です。食事のときには、以下を意識してみましょう。

温かいものを摂る

スープ、味噌汁、温かい飲み物は、当然ですが体を温めます。とくにもっとも体温が下がっている朝食時に摂るのが効果的。飲み物は夏でも温かいもの、少なくとも常温以上のものを摂るようにしましょう。

加熱したものを摂る

同じ食材でも加熱するだけで熱産生の効率がアップします。たとえば生野菜のサラダではなく温野菜のサラダにするだけで、同じ食材のメニューでも熱産生が高まります。

体が温まる薬味を摂る

生姜、ネギ、ニラ、にんにく、唐辛子などは、血流を良くしたり、代謝を上げながら体を温めたりしてくれます。同様に、根菜も体を温める作用があります。ただし、重要なのはあくまでも「たんぱく質」を摂ること。そこに、これらの食材をプラスして取り入れるのがおすすめです。

体を内側から冷やすものを避ける

パスタやパン、洋菓子という精製された炭水化物や白砂糖などは食べたあとに血糖値を上げやすく、その上がった血糖値を下げようとインスリンの放出が増加します。この血糖値が低下するときに、体温も一緒に下がってしまいます。

また、カフェインの入ったものは、血管収縮作用や利尿作用によって体温を下げてしまうため、なるべく避けたほうが◎。温かいものを摂る以上に、内側から冷やすものを避けたほうが、冷え対策としては効果が期待できます。とはいえ、これらのものを絶対に摂ってはいけないわけではありません。パンなら全粒粉を選ぶ、甘味はハチミツに変える、あるいは摂る回数を減らすなどの工夫で、無理せず冷え予防に取り組みましょう。

食生活が乱れると熱を作るエネルギー源が不足したり、血流の流れが悪くなったりするため、冷えにつながります。たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、青魚に含まれるような良質な油脂などをバランスよく摂取しましょう。腸内環境を整えるために食物繊維や発酵食品を多めに摂ること、和食中心の生活にすることもおすすめです。

ほかにもある冷えの原因

冷え対策にたんぱく質の摂取が望ましいことは老若男女共通ですが、原因によっては、それ以外の対処法も有効です。

原因①:ホルモンバランスの乱れ

女性ホルモンには、「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2つがあります。そのうち体温を上げる作用があるのは、妊娠に備えるホルモンのプロゲステロンです。プロゲステロンは妊娠に備えて体温を高める働きがありますが、無理なダイエットをしたり睡眠不足やストレスがあったりすると、プロゲステロンは分泌されにくくなります。バランスのいい食事を心がけ、心身ともにストレスを減らすことが、女性ホルモンのバランスを整え、その結果冷えの緩和にもつながります。

原因②:ストレス

ストレスが溜まると、いつも以上にお酒を飲む、甘いものをたくさん食べる、食事を抜くなど、つい体にとって負担が大きな行動をしてしまいがち。気持ちはとてもわかりますが、これらは、自律神経系・内分泌系・免疫系などのバランスを崩し、体温低下だけにとどまらず、さまざまな病気を引き起こす原因にもなります。

ストレスを感じたときこそ、お酒や甘いものではなく、ストレス軽減につながる豚肉などに多く含まれるビタミンB群、海藻などで摂取しやすいマグネシウム、牛乳に代表されるカルシウムなどを摂るように意識しましょう。

体を温めるには、ハーブも効果的

体を温める方法として、植物(ハーブ)を取り入れるのも◎。なかでも、もっとも身近で簡単に取り入れられるのは、ハーブティー。

とくに体が温まるとされているのはエルダーフラワー、ジンジャーです。ほかにも、パッションフラワー、レモンバーム、リンデンフラワー、カモミールなどはストレスの緩和が期待できるハーブなので、体にいい影響をもたらしてくれるはず。また、ローズマリーも血行促進効果があるといわれているのでおすすめです。

ハーブティーになじみのない方は、味のクセが少なくて手に入りやすいカモミールやエルダーフラワーから始めてみましょう。毎日コーヒーを数杯飲んでいる方は、そのうちの1~2杯をハーブティーに変えるだけで、より体を温められるはずです。ぜひお試しください。

冷え対策には、食生活の改善を

ここまで、体が温まる食材とおすすめの取り入れ方などをお伝えしてきましたが、もっとも大切なのは根本となる毎日の食生活を見直すことです。特定のものにこだわらず栄養バランスの良い食事を心がけ、しっかり噛んで食べること。これらも重要な冷え対策となります。

時間がないときはホットミルクだけでも飲んだり、コンビニで食品を買う際もできるだけたんぱく質を多く含むものや温かいものを選んだりなど、できることから始めてみましょう。体が温まる食材をうまく取り入れながら食生活を整えて、冷えを改善していきましょう。

教えてくれたのは…
齋藤 亜紀子さん
株式会社アイセイ薬局
管理栄養士/自然療法士(ナチュロパス)

日本の病院で臨床での栄養指導経験を経て、未病・予防領域に興味を持ちオーストラリアにて自然療法士の資格を取得。食事だけでなく、心と身体のトータルケアを楽しんで行うことにより、もっと健康な人を増やせるように、健康情報の紙面の監修やレシピ開発等も精力的に活動中。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:くぼあやこ
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