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温めるのが逆効果な場合も?冷え症タイプチェック

手先や足先がいつも氷のように冷たい、風邪でもないのに体がゾクゾクするなど、つらい冷えのために日常生活に支障をきたすこともある「冷え症」。この冷え症は、伊藤先生の研究により原因や冷えの特徴などから4つのタイプに分けられます。自分のタイプを知り、正しい対策ができれば、つらさの軽減につながりやすいはず。早速チェックしてみましょう!

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冷え症タイプチェック。あなたの冷え症を「見える化」しよう

冷える部位などの特徴や、冷えの起こる原因などから大きく4つに分類される「冷え症」

以下の5つの質問に対して該当するものがあれば加点し、A、B、Cそれぞれの合計点数を算出してください。A、B、Cのなかで最も点数の高かったものが、あなたの冷え症のタイプです。

冷え症タイプのチェック

1普段の手足の冷え状態は?

A. 手と足が冷たい(2点)
B. 足は冷たいが手は温かい(2点)
C. さわる手も足もどちらも温かい(2点)

2普段の汗のかき方は?

A. 汗はあまりかかない(1点)
B. 上半身に汗をかきやすい(1点)
C. 全身に汗をかきやすく、冷えやすい(1点)

3普段の食事の量は?

A. 少なめだと思う(1点)
B. 普通だと思う(1点)
C. 多めだと思う(1点)

4寒い場所にいるとき、どこに最も冷えを感じる?

A. 手と足の指先(1点)
B. 足先やふくらはぎ(1点)
C. 下腹部や二の腕(1点)

5冷えたときに起こりやすい症状は?

A. 頭痛や不眠(1点)
B. 顔のほてり(1点)
C. お腹の張りやガス貯留(1点)

あなたの「冷え症のタイプ」は……

  • Aの点数が高かった人は……「四肢末端型冷え症」
  • Bの点数が高かった人は……「下半身型冷え症」
  • Cの点数が高かった人は……「内臓型冷え症」
  • Aの点数が高く、かつ人から「手が冷たい」とよくいわれたり、わきで測る実測の体温がいつも低い人(36.2℃以下(女性は高温期の場合))は……D「全身型冷え症」

以上の可能性が高いといえます。
なお、A、B、Cのうち2つの点数が同じくらいの人は、2つのタイプを合わせもつ「混合型冷え症」の可能性があります。

それでは、A「四肢末端型冷え症」、B「下半身型冷え症」、C「内臓型冷え症」、D「全身型冷え症」が、それぞれどんな症状なのか解説していきます。

A:「四肢末端型冷え症」とは?

特徴

四肢末端型冷え症は、名前のとおり、手足(四肢)の末端が冷えるタイプの冷え症。「冷え性」として昔から最もよく知られたタイプ。大げさではなく、「手先や足先が常に氷のように冷たい」と訴える方が多いのも特徴です。

このタイプに該当する人は、体内で十分に熱がつくられていないことが冷えの主な原因です。体内でつくられる熱が少ないので、体温維持に必要な熱を逃さないようにする体の防御反応が過剰に働き、交感神経が強く緊張して末端の血管を収縮させます。すると、血流が減り、手足の末端に十分な熱が運ばれず、結果的に手足の先が極端に冷えてしまうのです。

四肢末端型の冷え症の傾向としては、若い女性などでダイエット志向の強い人や、やせ型の人に多いです。汗はほとんどかかず、冷えとともに頭痛や不眠などの症状を感じやすいことも特徴。

対策

体内で熱が生まれやすくなる体づくりをしましょう。そのためには、まず「燃料」となる食事をしっかり摂ること。糖質は運動しないと熱になりにくいため、デスクワークが多く運動できないような人は、運動しなくても熱を産生するたんぱく質の摂取を心がけるとよいでしょう。また、運動できる人は、ウォーキングなどの運動で基礎代謝をしっかりと上げたり、筋肉をつけたりすることが◎。

体内で熱が生まれやすくなる体づくりをしましょう。

手足を温めるだけでは改善しない!?

四肢末端型冷え症の場合、たとえば手が冷えているから手袋を、足には厚手の靴下を、足浴を長めに……などと局所の温め対策を行ったとしても、根本である冷え症自体の改善は見込めません。なぜなら、先に述べたように、脳からの司令で交感神経が手足の血管をぐっと強く締めているために、冷えた部分を温めても血管は開かず、血流は改善しないのです。

この交感神経の働きを緩めるには、体温を上げることが重要。四肢末端型冷え症の人は手足が冷たい一方で、体幹に熱が集まっていることが多いため、体幹をさらに温めて体温を高めることが、脳の司令を解除する早道でもあります。つまり四肢末端型冷え症の場合、じつは冷えていない体幹部を温めることが、冷えへの対策になるのです!

B:「下半身型冷え症」とは?

特徴

下半身型冷え症は、冷え症のなかで最も多いタイプです。女性と男性いずれにも多く、50歳を過ぎて足の冷えをつらく感じる場合には、ほとんどがこのタイプといえます。

下半身型冷え症は、一種の老化現象です。ほとんどは、腰椎の変形やお尻の筋肉が硬くなって坐骨神経や血管を圧迫し、脚の血流を調節する交感神経が緊張した結果、下肢の血流が減少して下半身が冷えるのです。

ただ、下半身の血流は低下しても、体全体で見ると熱が不足しているわけではないケースが大半。そのため、行き場を失った熱は上半身に集まりやすく、足は冷たいのに上半身はほてったようになる、いわゆる「冷えのぼせ」の状態になる人も。

対策

下半身型には、その人のライフスタイルが強く影響しており、姿勢や座っている時間の長さを見直したり、運動を習慣づけたりするだけでよくなることもあります。また、筋肉の凝りをほぐすことで神経の圧迫が解除されると、ぱっと血管が開いて全身に熱が広がりやすくなり、冷えとのぼせ、両方の改善が期待できます。

手軽で効果的な対策としては、このタイプもウォーキングがおすすめ。特にお尻の筋肉を使うことを意識し、大股でしっかりと歩くようにしてみましょう。また臀部やふくらはぎの硬くなった筋肉をストレッチやソフトボールによるボールツボ押しで凝りをほぐしたり、凝りにくくしたり すれば、冷え症の改善につながります。(詳しくは、『冷え症のタイプに合わせた、今すぐできる「温活術」』の記事に掲載しています。)

足を温めるのは逆効果!?

心情的には、足湯などで冷えた部位である足を温めたくなりますが、一時的に気持ちよくはなっても、その熱は静脈を伝わって結局上半身に集まり、のぼせを助長することに。すると、上半身に汗をかいて、その汗でまた体が冷えて……と悪循環になることも多く、冷え症対策としてはおすすめできません。

C:「内臓型冷え症」とは?

特徴

内臓型冷え症は、手も足も温かいのに、体のなかが冷えるタイプの冷え症です。「お腹が冷える感じがする」「お腹が張る」といった訴えが多く聞かれます。

内臓型冷え症は、体質的に副交感神経が優位である人に多くみられ、交感神経が強く働きすぎる四肢末端型冷え症とは反対に、寒くても皮膚の血管は収縮しにくいため、皮膚表面から熱がどんどん逃げてしまいます。その結果、手や足は温かいのに、体の内部(内臓)が冷えていってしまうのです。

このタイプの人は、冷えによって腸の機能が低下しやすく、お腹にガスが溜まりやすかったり、腹痛や便秘といった症状を伴ったりすることが少なくありません。

一方で、副交感神経が優位であることから、食欲はしっかりあることが多く、太り気味だったり、アレルギー体質だったりする人もいます。

そのほかに、腹部手術をしたことがある人では、腹腔内の癒着により血行が悪くなり、内臓型の冷えを生じることがあります。

対策

交感神経の働きが弱いことが原因のため、自律神経のバランスを整えることが対策に。おすすめは、自分のペースでできる運動(体操、ランニング、ウォーキングなど、人と競わない運動)を、10~15分でもいいので、できるだけ毎日習慣として取り入れること。運動によって交感神経と副交感神経の両方が適度に刺激され、偏りが軽減されます。また、根本的な対策とはいえませんが、岩盤浴のようなじんわりと体の内部を温める方法も、このタイプの冷え症には好相性です。なお、内臓型冷え症の人は、食べすぎにも注意しましょう。

交感神経の働きが弱いことが原因のため、自律神経のバランスを整えることが対策に。

D:「全身型冷え症」とは?

特徴

全身型冷え症は、文字どおり、手と足、体の外も内も冷えている状態の冷え症です。このタイプの人はあまり多くはありませんが、代表的なのは「ゾクゾクするような寒気がする」「体全体が冷え冷えする」といった症状です。

全身型冷え症の原因は、体内で熱を十分につくれないこと。そのため、必要なときに体温を上げることができません。栄養失調や代謝機能の低下、不摂生や昼夜逆転生活、慢性的な疲労や睡眠不足、強いストレスなどによる自律神経の乱れが原因となることもあります。また女性では軽度の甲状腺機能低下症が隠れている場合もあるので注意が必要です。

全身型の冷えでは、体温のセットポイント(脳に設定された体温の基準値)自体が下がってしまい、そもそも冷えを感じない人もいます。この場合、冷えを苦痛に思ってはいないため、冷え症とは言えませんが、実際には冷えており、内臓の機能が低下するため、「だるい」「食欲がない」「下痢が多い」といった症状が目立つことも。このような冷えを「隠れ冷え」と呼んでいます。

対策

睡眠不足が続いたり、ストレスの多い生活が続いたりしていないか、生活習慣全般を見直してみましょう。特に仕事、インターネット、ゲームなどで深夜まで起きている生活をしていると、体温の日内リズムが狂い、日中は体温が低下し、身体不調の原因になるので正しい生活のリズムで生活していけるように改められるところを改めていきましょう。また食事をしっかり摂ることや体を動かすことも対策になります。また思い当たるところがない場合は、血液検査で甲状腺ホルモン(TSHやFT3)を調べてもらうとよいでしょう。

睡眠不足が続いたり、ストレスの多い生活が続いたりしていないか、生活習慣全般を見直してみましょう。

その他の冷えのタイプ

これまで紹介してきたタイプのほかに、身体の一部など特定の部分の冷えがつらいタイプの「局所型冷え症」や、2つのタイプが混ざった「混合型冷え症」があります。

混合型冷え症で最も多いのは、下半身型とほかのタイプが混ざった冷え症で、若い頃に四肢末端冷え症だった女性が、中年期に入って下半身型冷え症を合併するパターンなどもみられます。

冒頭のチェックリストで、同じくらいの点数がついたものがあれば、混合型の可能性があります。その場合、よりつらく感じているほうの冷え症の対策を優先して取り組んでみるのがよいでしょう。

冷え症は「生活習慣病」!

ここまで順にチェックした方は気づいたかもしれませんが、どのタイプの冷え症にも、根本には食生活や運動不足などの生活習慣が関係しているケースが多いです。つまり冷え症は、自分の心がけ次第で改善が見込めることも多い「生活習慣病」ともいえます。

世間にはさまざまな「冷えとりグッズ」「温活グッズ」がありますが、安易に身体を温めるだけの間違った対処療法では冷え症の改善は得られません。まずは自分の生活習慣を見直してみることこそ、もっとも身近な解決策かもしれません。漢方薬や鍼灸など東洋医学的な治療も役立ちますが、実際には冷えを理解して治療ができる専門家はごく限られているので、まずはセルフケアを試みましょう。

教えてくれたのは…
伊藤 剛先生
北里大学客員教授
北里大学東洋医学総合研究所(漢方診療部・鍼灸診療部)

漢方専門医・消化器病専門医・内科認定医。日本東洋医学会指導医・代議員、日本自律神経学会評議委員、他。北里大学(医学部・薬学部・医療衛生学部)・浜松医科大学非常勤講師。1982年に浜松医科大学卒業。内科・消化器を専門とする西洋医学と漢方(湯液)と鍼灸を専門とする東洋医学の両面からさまざまな疾患に対する治療を行ってきた数少ない医師。「冷え症」研究と診療の第一人者。日本で最初に開設された東洋医学総合研究所の「冷え症外来」にても診療中。メディア出演多数、著書複数有。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:大川久志
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