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「子どもは風の子」はウソ?年代別の冷え症状と対策

「子どもは風の子だから、少しくらい薄着でも大丈夫」。そんなふうに思っていませんか? 子どもは寒さに強いと思われがちですが、じつは大人よりも寒さに弱く、体が冷えやすいのです。冷えはさまざまな不調の原因につながるので要注意。今回は、子どもの年代別での冷え解消法をご紹介します。冷えによる体調不良からお子さんを守りましょう。

INDEX
冷えを訴える子どもが増えている?
子どもにとって、冷え予防が重要な理由
年代別に適した方法で冷えを解消しよう
どの年代も適度な運動が必要。一方で急な激しいスポーツは要注意

冷えを訴える子どもが増えている?

近年、手足の冷えなどを訴える子どもが増えています。暖かい住まいや衣服など、昔よりも恵まれた環境で過ごしているはずの現代の子どもたちがなぜ、冷えを訴えるのでしょうか。

その原因は大きく2つあります。ひとつは恵まれた環境にいるからこそ、変化に対応する能力が乏しくなっていること。もうひとつは、ストレスによる影響です。現代の子どもたちは、昔に比べて大量の情報に触れており、なおかつ塾や習いごとなども活発。大人が想像している以上にいそがしく、多くのストレスを抱えています。

ストレスは自律神経を乱し、体を冷やす大きな原因になります。ストレスがかかると体は命の危険を感じ、生命を維持するために重要な脳や心臓、肺に熱エネルギーを集めていきます。その結果、手足などの体の末端や下半身から冷えていくのです。

子どもにとって、冷え予防が重要な理由

冷えは万病のもとです。大人も子どもも、体が冷えると、体内の酵素の働きが悪くなり、腸内細菌のバランスが崩れ、腸内環境が悪化してしまうケースがあります。とくに子どもの場合は、睡眠の質が下がり、成長ホルモンの分泌が悪くなることも。

さらにいえば、冷えにより白血球の働きが低下することで、免疫力も下がります。免疫力が高ければ、風邪などの感染症だけではなく、肝臓病や腎臓病、アトピー性皮膚炎、喘息など、さまざまな病気の予防につながります。

実際に、冷えを予防・改善したことで、慢性的な体調不良が治った人も数多くいます。子どもに必要な成長ホルモンの分泌を促進し、免疫機能を高めるためにも冷え対策はとても重要です。

年代別に適した方法で冷えを解消しよう

「子ども」といっても、幼児と中学生では、心や体の状態がそれぞれ大きく異なります。よって、冷えも年代に応じて対処することが大事。そこで、幼児、小学生、中学生の年代別で冷えの対策法を紹介します。

幼児は「消化管」に注目。体を内側から温める方法

幼稚園や保育園に通う年齢の子どもたちは、精神的にも肉体的にも未発達です。筋肉も皮下脂肪もまだまだ成長過程なので、熱をうまく体内にたくわえることができませんし、免疫機能も発展途上です。

さらに、自分の体調不良も言葉でうまく伝えることができません。ですから、親が気をつけて様子を観察し、変化に気づいてあげることが大切です。

幼児期の体は少し動くと急に熱くなり、そうかと思うとあっという間に体温が下がる「熱しやすく、冷めやすい」特徴があります。そんな子どもの体を冷えから守るには、体の外側と内側の両方から温めることを意識してみましょう。

まず、子どもの体を外側から温めるには、衣服の着方や選び方が重要です。活発な子どものために動きやすさを重視しつつ、体温に合わせて調節できる重ね着が基本です。また、効率的に体を温めるには、太い血管がとおる「首」「手首」「足首」がポイントに。冬には、厚手のマフラーや手袋、ソックスを着用することで、体内をめぐる血液から体を温められます。

一方、幼児の体を内側から温める方法としては、食事が重要です。食事は口から始まって食道、胃、小腸、大腸、肛門までの「消化管」をとおりますが、この消化管の筋肉が動くことで、体に熱が生まれます。

さらに温かいものを食べたり、飲んだりすることで、熱が体の隅々まで広がっていきます。特に寒い時期は、冷たい飲み物を与えるのではなく、白湯やホットミルクなど温かいものを飲ませてあげるなどの気配りも大切です。

また、朝食の習慣も冷えない体づくりの基本です。朝は1日で最も体温が低い時間帯なので、温かいものを取り入れると効果的。日中を活発に過ごしてもらうためにも、1日のスタートには体が温まる食事を。

小学生は「腸内細菌」を意識。発酵食品と食べ方がカギに

小学生は食事に加えて、運動もカギになります。幼児期よりも、少しずつ自分で判断したり考えたりできるようになるので、主体的に取り組む好きなスポーツや運動などを見つけてあげるといいでしょう。

また、食事では食べ物の好き嫌いが出てくる年ごろ。独特な匂いと味がする納豆などの発酵食品を嫌う子もいますが、じつは発酵食品を食べることが冷えの予防にもつながると知っていますか? 発酵食品は冷えの症状のひとつにあげられる「便秘」を解消してくれるのです。

便秘は血流を悪くし、体の冷えの原因になります。人の体には約150兆個の細菌が生息していて、そのうち約70%は腸内にいるといわれているのですが、腸内細菌の活動が弱まれば食べ物の消化吸収能力が低下し、便秘がちになります。つまり、冷えの原因である便秘を解消するには、腸内細菌の活動を活発にすることが大切なので、乳酸菌・ビフィズス菌・エクオール産生菌など、腸内細菌そのものを成分として含む発酵食品が効果的なのです。

どのような発酵食品を食べさせればいいか迷う場合は、お母さんがよく食べている発酵食品をメニューに入れ、一緒に食べるようにすれば大丈夫。子どもは産道をとおるときにお母さんから腸内細菌を受け継いでいるので、お母さんに合った発酵食品は子どもにとっても相性がいいケースも多いです。加えて、ニラやネギ、ショウガなどの体を温める効果がある食材も合わせて取り入れられると理想的。

また、小学生になって自分の意思で食事ができるようになると、ついつい急いで食べてしまう子も多いですが、よく噛んで食べることも冷え知らずの健康な体をつくる要素に。噛むことで交感神経を刺激し、内臓脂肪を燃焼させて体温が上昇します。さらには口の周りの筋肉が鍛えられ、口をきちんと閉じて鼻呼吸ができるようになり、風邪も引きにくくなります。よく噛んで食べるように、大人が教えてあげましょう。

中学生は「睡眠」に注意。眠りの質を高める工夫とは?

中学生は、成長過程でホルモンバランスが大きく変わる時期で、心身の状態を自分でコントロールしにくくなります。それほど急激な変化が体のなかで起きているのです。

この時期に親ができることは、幼稚園生や小学生と同様に、生活環境を整えて、正しい生活習慣を身につけさせること。とはいえ、中学生になると反抗期を迎え、服装は親のいうことを聞かなくなるかもしれません。

しかし食事に関しては、親が気をつけることで改善できます。たんぱく質、脂質、炭水化物のバランスがよく、食物繊維を含んだ食事をつくってあげましょう。いそがしい朝でも、みそ汁や温かいスープをメニューに加えると冷えの予防につながります。

また、睡眠の質を高めるための工夫を凝らすことも冷えに効果的です。質のよい睡眠は、脳と体をしっかり休息させます。すると、成長ホルモンが分泌し、免疫力が高まるのです。

睡眠の質を高めるには、寝る前に白湯を飲むのがおすすめ。人間の体は夕方から夜にかけて、少しずつ体温が下がっていきます。冷えは眠りの妨げにもなるので、就寝前に白湯を飲み体温を上げておけば、眠りにつきやすくなるでしょう。

どの年代も適度な運動が必要。一方で急な激しいスポーツは要注意

ここまで年代別に冷えの対策を解説してきましたが、どの年代の子どもにもいえる大切なポイントは、体を動かすこと。しかし、いまは新型コロナウイルス感染症による影響も気をつけなければなりません。

まだ予断を許さない状況なので、特に団体競技は感染対策への意識が必要です。さらに、長い自粛生活を経て多くの子どもが運動不足になっているため、強く体を動かすとかえってケガの原因になってしまうことも。急な激しい運動も控えたほうがいいかもしれません。

手軽に体を動かす方法としておすすめなのが、深呼吸。呼吸に使う横隔膜は、とても大きな筋肉です。この横隔膜を使うように意識しながら、ゆっくりと鼻から息を吸い、ゆっくりと鼻から息を吐くという深い呼吸を3回繰り返すことで、内臓が活発に動くようになり、体温上昇が期待できます。

また、どの年代でもお母さん、お父さんが子どもに触れることで変化に気づきやすくなります。特に、自分で異変に気づきにくい小さい子どもの場合は、頭をなでたり、手をさわってみたり、1日1回でもいいのでスキンシップを取りましょう。

このときに「冷えていないか」をチェックしてみてください。さまざまな不調は冷えから始まるので、毎日のスキンシップで体調不良を防げるかもしれません。

教えてくれたのは・・・
今津 嘉宏先生
芝大門いまづクリニック 院長

日本がん治療認定医機構専門医・暫定教育医。日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。藤田保健衛生大学医学部を卒業。慶應義塾大学病院で外科医として働きながら、漢方医学を学ぶ。その後、慶應義塾大学医学部漢方医療センター助教、麻布ミューズクリニック院長などを歴任し、東京都港区に芝大門いまづクリニックを開院。西洋医学、東洋医学の両方に精通し、両方を融合した診療を行っている。病状のみでなく、人を取り巻く環境や性格にも留意し、患者の心に寄り添う医療を実践している。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:山内マスミ

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