間違いだらけの痛痛トレイン
膝が痛いときは安静に? 軟骨サプリを飲んでいれば運動は必要なし? デスクワークは膝にやさしい? など、膝にいいと思ってやりがちな間違ったことをご紹介します。
膝痛を遠ざけるには、サプリメントに頼るよりも運動で膝関節を支える筋肉や靱帯が衰えないようにすることが大切です。体重増加による膝への負担を減らしたり、血流改善により痛みをやわらげたりするという意味でも、「膝の痛み対策の基本は運動」と心得ましょう。
膝の痛みは中高年に多いとはいえ、30~40代から痛み始めることも。膝(半月板)の損傷や、ハイヒール・合わない靴などが原因になり得ます。放置は痛みの悪化につながるので、予防が重要。
仕事のテレワーク化などによって通勤時間が減り、座って仕事をする時間が増えた人は要注意。長時間のデスクワークは猫背になりやすく、猫背によって重心が前に傾くと結果的に膝痛の原因になります。30分に一度は立ち上がって伸びをする、運動する時間を作るといったことを意識してみましょう。
膝関節を支える筋力がUPすると痛みが軽くなりますが、膝の痛みが軽減したからといって、治ったわけではありません。筋力を維持しないと元に戻ってしまいます。運動習慣の継続を。
サッカー、バドミントン、バスケットボールなど、膝を酷使する運動を長年続けている人は、同年代の人よりも軟骨がすり減っていることが多く、膝痛リスクはむしろ大。特に40歳を過ぎたら自分の膝を過信せず、ジャンプしたり深く踏み込んだりするスポーツは控えめに。
痛いからといって動かないでいると、膝関節を支える筋力が落ち、逆に症状が悪化する原因に。痛みが激しいときは、ある程度おさまるまでは安静が必要ですが、動けるようになってきたら「痛くても少しずつ運動」が正解です。
日常生活に支障が出るほど痛みが強い場合は手術も検討されますが、運動と歩き方の改善+減量で痛みが軽減し、問題なく生活ができる状態になる可能性も十分あります。医療技術が進歩しているとはいえ、手術ではメスを入れるので身体に負担がかかりますし、生まれつき備わっている膝の機能に勝るものはありません。ずっと自分の膝で歩くために、痛くなる前からの予防・対策が大切です。
【監修】巽 一郎 先生
(一宮西病院 整形外科部長/人工関節センター長)
膝関節手術のエキスパートでありながら、まずは手術しない保存療法をすすめるポリシーをもつ。著書に『100年足腰』(サンマーク出版)など。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.45
「膝の痛み」より転載(2022年9月15日発行)