多くのアレルギー疾患は子どものころに発症しますが、小児アレルギーは大人のアレルギーとは違った特徴があります。成長にともなって自然と症状が改善していくケースもあれば、もともとかかっていたアレルギーとは別のアレルギー疾患が現れる「アレルギーマーチ」という現象が起こることも。
そうした小児アレルギーの特徴を知っておくと、子どもの様子の変化に気づきやすくなったり、対処もしやすくなったりします。本記事では、アレルギーマーチとはどういうものなのか、典型的なパターンや症状改善のために家族ができることについて解説していきます。
- 知っておきたい!子どもの食物アレルギーの種類と特徴
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近年増加傾向にある子どもの「食物アレルギー」。家庭ではどう対処すればいいのか、予防はできるのかなど、日々悩んでいる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。https://helico.life/monthly/230102allergy-childfoodallergies/
アレルギーは、医師と相談しながら対処していくことが大前提ですが、家族も正しい知識を持っておくことが大切です。本記事では、子どもの食物アレルギーの種類や特徴を紹介しながら、望ましい対処法や医療機関のかかり方などについての情報をお届けします。
アレルギーマーチが起こりやすい人はいる?
アレルギーマーチは、アレルギーになりやすい体質の人に起こりやすいと考えられています。両親などの家族に、何らかのアレルギー疾患の人がいると、子どもがアレルギーを発症するリスクが高くなります。
また、アレルギーマーチの出発点は、乳児期に皮膚からアレルギーの原因物質(アレルゲン)が体内に入り込むことが一因だと考えられています。なかでも、アトピー性皮膚炎の子どもは皮膚のバリア機能が破綻しているために、ダニ、花粉、食物の成分などのアレルゲンが皮膚を介して体内に入り込みやすくなっています。
つまり、湿疹やアトピー性皮膚炎などの肌トラブルを経験した赤ちゃんは、そのときに侵入してきたアレルゲンに対してアレルギー反応を起こす準備が整ってしまい、その結果、アレルギーマーチが進行しやすいと考えられるのです。
家族にできることは「子どもの変化に敏感になること」
アレルギーマーチの進行は、体質のほかに生活環境も大きく関係しています。
乳児期から幼児期にかけて起こるアレルギーマーチのアレルゲンは、食物からハウスダストなどに変化していくケースが多いとされているため、こまめな掃除でダニやホコリなどを除去するとよいと考えられています。
さらに、ウイルス感染回避のための手洗いやうがい、運動などで体力をつけておくといった対策も取り入れると有効でしょう。まずは、無理のない範囲でできることから心がけてみましょう。
子どものアレルギー疾患は、成長にともない自然に、あるいは適切な治療によって一定の確率で治っていく可能性があります。
まずは正しい診断を受け、適切な治療に早くつなげることが重要です。そのためには、保護者がアレルギー疾患の発症の可能性に早く気づいてあげることが大切なので、子どもの変化を見逃さないように、日ごろから様子をよく見ておきましょう。
- 教えてくれたのは・・・
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- 今井 孝成先生
- 昭和大学医学部小児科学講座 教授
東京慈恵会医科大学医学部を卒業後、昭和大学小児科学講座に入局。独立行政法人国立病院機構相模原病院小児科を経て、2019年より現職。専門は小児アレルギー全般、特に食物アレルギーやアナフィラキシー。診療や後進の指導に当たりながら、厚生労働科学研究班「食物アレルギーの栄養指導の手びき」の作成委員長を務め、日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」の作成委員や、自治体の食物アレルギー対応マニュアルの監修にも携わる。近著に『こどものアレルギー基礎BOOK 心配になったら一番先に読む本』(日東書院)などがある。