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虫歯や口臭にもつながる「ドライマウス」の症状って?

ドライマウスは「口腔乾燥症」という、治療が必要な病気です。口の中が乾いた状態が続くと虫歯や口臭などのリスクが高まったり、食べ物の味がわかりにくくなったりする味覚障害が生じることも……。また高齢者の場合、放っておくと感染症などのリスクが高まることが知られています。口の中の乾きは、ただ水分を摂れば解決するわけではありません。この記事では、ドライマウスの原因と対策方法について解説します。

INDEX
口臭やネバネバ、会話のしづらさ。こんな症状ありませんか?
ストレスも要因に。ドライマウスは3つのタイプに分けられる
ドライマウスを放置すると食事や味覚に影響を及ぼすことも……
ドライマウス対策は、ストレス軽減と生活習慣の見直しが大切!
ドライマウスは神経質になりすぎないことも大切

口臭やネバネバ、会話のしづらさ。こんな症状ありませんか?

「ドライマウス(口腔乾燥症)」は、口の中が乾いた状態になる病気のこと。とはいっても、口の中の乾燥を「体の不調」と考える人は少ないかもしれませんし、その状態に慣れてしまい、問題があると感じなくなる場合もあるかもしれません。しかし、「ドライマウス」は口の中が単に乾燥するだけではなく、虫歯や口臭、味覚障害のリスクが高まります。また、放っておくと別の病気を引き起こすことも。次のような症状がある人は、ドライマウスの可能性があります。まずはチェックしてみましょう。

□ 口の中の乾きを感じる
□ 口の中がネバネバする
□ 口の中に痛みを感じる
□ 食べ物の味がよく分からない
□ 水分を摂取しないと、食べ物を飲み込みづらい
□ 虫歯や口臭が気になる
□ 会話がしづらい

ストレスも要因に。ドライマウスは3つのタイプに分けられる

ドライマウスは、いくつもの要因が重なって発症するケースが多く、唾液の量が減少する原因によって、大きく3つのタイプに分けられます。ここでは、それぞれのタイプと原因について詳しく見てみましょう。

「唾液分泌減少型」のドライマウス

唾液の分泌量が減少することによって生じるタイプのドライマウスです。唾液は唾液腺という外分泌腺(がいぶんぴせん)から分泌されますが、外分泌腺はリラックスした状態で働く副交感神経によって刺激されます。そのため、ストレスや寝不足などが続くと交感神経が優位に働くため、外分泌腺の機能が低下し、その結果としてドライマウスを引き起こすことも少なくありません。

また、外分泌腺は女性ホルモンのエストロゲンによって働きが促されるので、中年期以降の女性は、エストロゲンの分泌量が減ることで唾液の分泌量も減り、ドライマウスになりやすくなる場合があります。そのほか、薬の副作用、咀嚼回数の減少や筋力の低下などが原因となることも。唾液分泌減少型のドライマウスは口だけでなく目、鼻、肌、腟などの乾燥を伴いやすいのが特徴です。

また、免疫の異常によって自分自身の外分泌腺を攻撃・破壊してしまう「シェーグレン症候群」という病気が原因となっていることもあります。

「唾液蒸発型」のドライマウス

唾液の分泌量は正常なのに、口呼吸や口を開けたままでいることが多く、唾液がどんどん蒸発してしまうタイプのドライマウスです。高齢者に多いのはこのタイプとされています。唾液蒸発型のドライマウスは空気が乾燥しやすい秋から冬にかけて発症することが多く、さらにコロナ禍のマスク生活で口呼吸をする人が増えていることもあり、季節を問わず発症する人が目立ち始めています。

「心因性」のドライマウス

唾液の分泌量は正常で、口呼吸が多いわけでもないのに、口の中の乾きやネバつきなどがあるタイプのドライマウスです。はっきりとした原因は分かっていませんが、ストレスや不安感などの精神的な要因が関わっていると考えられています。このタイプのドライマウスは近年増えていて、口の中の状態が気になることがストレスとなり、その影響で唾液分泌量が減ってしまう……という悪循環に陥るケースも。なかには重い症状が見られる方もいますが、心因性のドライマウスは発症要因を取り除き、薬を服用することで治ることも多いのが特徴です。

ドライマウスを放置すると食事や味覚に影響を及ぼすことも……

ドライマウスは、虫歯や口臭のリスクを高めるほか、「味が分かりにくい」「話しにくい」といった、QOL(生活の質)までも下げてしまう症状を引き起こす可能性がある病気です。

また、唾液にはラクトフェリンや免疫グロブリンなど、病原体から体を守る物質が多く含まれているので、唾液が減少すると感染症にかかりやすくなります。ほかにも、唾液は食べ物を覆うベールとしての役割もあるため、量が減るとのどや食道の繊細な粘膜にダメージを及ぼし、咽頭炎や食道炎を引き起こすことも。さらに、食べ物が飲み込みにくくなることから、高齢者では誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。最近では、唾液量が減少すると胃の中の酸性度が高くなり、萎縮性胃炎という病気になりやすくなるという報告も多数上がっています。

このように、ドライマウスは私たちの生活と健康に大きな影響を与える可能性があります。ドライマウスの症状がある人は、できるだけ早めに適切な対策を行いましょう。セルフケアだけで改善しない場合は、ドライマウスの専用外来などを受診するのも、ひとつの方法です。

ドライマウス対策は、ストレス軽減と生活習慣の見直しが大切!

ドライマウスは年齢、生活習慣、ストレスなど、さまざまな要因が重なり合うことで発症します。そのため、ドライマウスの症状を改善するにはご自身のライフスタイルを見直して、その要因を取り除くことが最も大切です。

具体的には、次のようなことを意識してみましょう。

ストレスを解消しよう!

ドライマウスのリスク要因となる年齢や性別を変えることはできませんが、ストレスは、軽い運動や生活上の工夫、心の持ちようである程度はコントロールすることもできます。熱中できる趣味などを持つこともおすすめで、例えば、会話や歌を楽しむことはストレスが発散できるだけでなく、口周りの筋肉を動かすことになるので、唾液がよく出るようになります。

生活習慣を見直そう!

ドライマウスは咀嚼回数の減少によって引き起こされることがあります。時間がないときでもさっと摂れる食事や、柔らかく食べやすいメニューを口にする機会が多い人は要注意。日頃からなるべく意識的に、一口一口をよく噛んだり、噛みごたえのある食事を取り入れたりするようにしましょう。また、寝不足になりがちな人は睡眠時間をしっかり確保することも大切です。

ドライマウスは神経質になりすぎないことも大切

ドライマウスの予防や改善のために、口の中の状態をしっかりチェックすることはもちろん大切です。しかし、気にしすぎるあまりそれがストレスとなり、唾液の分泌量が低下して症状が進行してしまう……ということも少なくありません。

気になる症状がある場合は、クリニックで医師に相談したり、唾液の分泌を促す習慣を心がけたりして、改善していきましょう。

教えてくれたのは・・・
斎藤 一郎先生

ドライマウス研究会代表。鶴見大学歯学部 教授、元附属病院長。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:せとうち あんこ
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