「子どもが病気になったとき、薬を飲ませるのに苦労した」。そんな経験はありませんか? 薬を飲むのを嫌がられると「無理やり飲ませても……」とためらってしまうこともありますが、正しく服用しなければ薬の効果を十分に得られず、病気が長引いたり悪化したりしかねません。
薬の味や食感など、子どもが薬を嫌がる理由はさまざまですが、ちょっとした工夫で飲みやすくなることもあります。
“知っているようで知らない”薬に関する基礎知識や、薬との上手な付き合い方についてお伝えする、本シリーズ。第3回目は、子どもに薬を飲ませるときの注意点や、上手な飲ませ方などをわかりやすく解説します。
- 教えてくれるのは・・・
-
- 中間 葉子さん
- 株式会社アイセイ薬局 薬剤師 アイセイ薬局千歳台店 店長
研修認定薬剤師/スポーツファーマシスト
地域の方々が気軽に相談に来ることができるような薬局を目指し、日々のホスピタリティを大切にしている。
- 第1回「薬はどう体を巡るの?薬が効くメカニズム」
-
皆さんは最近、どんなときに薬を使いましたか? 日常的に特定の薬を服用している、虫に刺されてかゆみ止めの薬を塗った、腰痛で湿布薬を貼ったなど、人それぞれ異なるでしょう。https://helico.life/feature/medicinebasics-mechanism/
薬は、健康な生活を維持するうえで心強い存在ですが、「薬さえ飲んでいれば大丈夫」と頼りすぎるのはよくありません。一方で、「副作用が怖いから薬は使いたくない」と必要以上に避けるのも、症状を長引かせる原因となります。
私たちにとって身近な存在である薬について、じつはよく知らないことも多いもの。このシリーズでは、“知っているようで知らない”薬に関する基礎知識や、薬との上手な付き合い方についてわかりやすく解説します。第1回目は、「薬って何?」という根本的な疑問を出発点に、薬が効くメカニズムに迫ります。
どうすればいい? 子どもへの薬の上手な飲ませ方・使い方
薬を嫌がったり、うまく服用させられなかったり、子どもに薬を飲ませるのは、なかなか至難の業です。薬の効果が発揮されるためにも、きちんと服用させたいものですが、どういった工夫を取り入れるとよいのでしょうか。
薬のタイプ別、服用時のポイント
●シロップ薬
付属の計量カップで飲むのが難しいときは、スプーンやスポイトで少しずつ口に入れてあげます。シロップの味が苦手な場合は、ヨーグルトやゼリー、アイスなどに混ぜるのもよいでしょう。
●粉薬
シロップ薬と同様に、ヨーグルトなどと組み合わせたり、服薬ゼリーを使用したりするのもおすすめです。赤ちゃんの場合は、水を少し加えてペースト状にしたものを頬の内側など、舌が直接当たらないところに塗り、飲み物を飲ませると服用しやすくなります。
●坐薬
坐薬の先に、オリーブオイルやベビーオイルをつけると入りやすくなります。薬から意識がそれるように、好きなアニメなどを見せながら挿入してもよいでしょう。ただし、入りやすくなる分、出やすくもなるため、挿入後はティッシュやおしりふきで軽くおさえてあげてください。
●点眼薬(目薬)
もし点眼薬が見えているのが怖い場合は、目を閉じたままで点眼をしてもかまいません。膝枕などをして仰向けに寝かせ、閉じた目に2、3滴ほど薬を落とします。そのままゆっくり目を開けてふたたび閉じてもらえば、薬が目の中に入っていきます。
●点鼻薬(噴霧タイプ)
後ろから抱きしめて動かないように固定してから、軽くアゴを引かせて噴霧します。噴霧したあとは薬が奥までしっかり届くように、頭を後ろに少し傾けましょう。
- 第2回「組み合わせに注意したい薬や食べ物は?」
-
医療機関を受診したときや薬局で薬を受け取るとき、いつも飲んでいる薬やサプリメントがないか聞かれたことはありませんか? それは、飲み合わせによっては薬の効果が強く出すぎたり、弱まったり、副作用が生じたりする可能性があるため。また、薬やサプリメントに限らず、日ごろ口にする食べ物や飲み物との組み合わせにおいても思わぬ健康トラブルを招くことがあり、注意が必要な場合もあります。https://helico.life/feature/medicinebasics-combination/
とはいえ、薬を受け取るときに、これから口にするだろう食品をすべて薬剤師に伝えるのは難しいもの。では、薬と食べ物の組み合わせによるトラブルを防ぐためには、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
“知っているようで知らない”薬に関する基礎知識や、薬との上手な付き合い方についてお伝えする、本シリーズ。第2回目は、知っておきたい薬と食べ物の組み合わせについて、よく見られる例を挙げながらわかりやすく解説します。
ホントに正しい? 子どもの薬の服用に関する素朴な疑問
最後に、子どもの薬の服用に関する疑問について、実際に薬局でよく聞かれるものをご紹介します。
母乳やミルクで薬を飲ませても大丈夫?
食事を摂れていなくても、薬は飲ませたほうがいい?
子どもが寝ていても、起こして薬を飲ませたほうがいい?
子どもは、薬のどんなところが苦手なのか、嫌いなのかをうまく言葉にして伝えられないもの。薬を受け取ったあとにきちんと飲めているか、困ったことはないかを把握して対応策を考えるのも、薬剤師の大切な仕事です。
かかりつけ薬剤師については、下記のページでも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
- おしえて薬剤師さん!第1回「かかりつけ薬剤師」
-
この番組は、身近にあるけどいまいちよく分からない薬局の機能やサービスについて、お笑い芸人三拍子の二人が実際の薬剤師さんにアレコレ聞いて教えてもらう、おもしろくってタメになるHELiCOオリジナルの番組です。第1回のテーマは「かかりつけ薬剤師」。https://helico.life/feature/pharmacist-tellme01/