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第6回「何をどうチェックする?処方せんの見方を解説」

医療機関で受け取った処方せんに、どのようなことが書かれているかをご存じですか? 急いでいるときなどは処方せんをあまり見ずに、薬局で受付をすることがあるかもしれませんが、処方せんには薬を使用するうえで大切な情報が記載されています。

また、薬を受け取る際に、医療機関で伝えたことを薬局でも聞かれるなど、少し面倒に思う場合もあるでしょう。けれど、処方せんを受け取った薬剤師が内容に問題がないかをしっかり確認することで、使用する薬の安全性は保たれているのです。

“知っているようで知らない”薬に関する基礎知識や、薬との上手な付き合い方についてお伝えする、本シリーズ。第6回目は、薬の処方せんの見方についてわかりやすく解説します。

教えてくれるのは・・・
笠原 志乃さん
株式会社アイセイ薬局 薬剤師 アイセイ薬局東十条店

研修認定薬剤師/スポーツファーマシスト
患者さんのお話を親身になってお聞きすること、患者さんとの信頼関係を築くことを大切にしている。

INDEX
処方せんは何のためにある?
処方せんに書かれていること
処方せんはいつまで使える?
じつはこんなしくみも。「リフィル処方」って何?
今後は身近な存在に?「電子処方せん」のしくみ

処方せんは何のためにある?

処方せんとは、医師が患者さんを診察し、その診断結果に基づいて処方する薬の情報を記載した書類のことです。処方せんは、診察を担当した医師によって発行され、薬剤師はその内容が適正であることを確認したうえで調剤します。

薬の処方は医師が行い、調剤は薬剤師が行います。医薬分業といって、医薬品の処方について、医師と薬剤師がそれぞれの専門領域で業務を担当することで、患者さんがより安全かつ有効にお薬を使用できる体制を整えています。

笠原さん

医師は、患者さんを診察した時点で必要な治療薬を、必要な期間で処方しています。だからこそ、お薬を効果的に使用するためには、指定された用法・用量を守ることがとても大切です。

処方せんに書かれていること

受診する医療機関によって処方せんの体裁は異なりますが、主に次のような項目が記載されています(保険処方せんの場合)。

<処方せんの記載事項>

  • 処方する薬の情報
    薬の名称、分量、用法、用量
  • 患者さんの情報
    氏名、生年月日(年齢)、性別、保険者番号、被保険者証の記号・番号
  • 医師や医療機関の情報
    医療機関の所在地、名称、連絡先、薬を処方した医師の名前(押印もしくは署名)
  • その他
    交付年月日、処方せんの使用期間、ジェネリック医薬品への変更の不可、使用上の注意事項など
笠原さん

医療機関で処方せんを受け取られたら、まずは氏名、生年月日、性別に間違いがないかをチェックしてください

 
薬剤師は、処方せんを見てどのような症状で受診されたのかを推察いたしますが、可能であれば患者さんから受診した背景や具体的な症状を伝えていただけると、薬剤師は処方内容について改めて確認できますし、患者さんはより適切な服薬指導を受けていただくことができます

処方せんを受け取ったら、下記をチェックしましょう!

・氏名
・生年月日
・性別
医療機関を受診した背景や、具体的な症状を薬剤師に伝えることで、適切な服薬指導を受けることにつながります。

処方せんの内容に疑問がある場合はどうすればいい?

もし処方せんの内容に不明点や疑問点がある場合は、そのままにせず、必ず薬剤師に相談しましょう。

笠原さん

処方せんの内容に疑わしい点がある場合、薬剤師は処方した医師に問い合わせをする必要があります。その疑問が解決してからでなければ、薬剤師は患者さんにお薬を渡すことはできません。気になることがあれば、気軽に薬剤師に相談してくださいね。

処方せんはいつまで使える?

処方せんには有効期限があることをご存じですか? 医療機関で発行される処方せんの使用期間は、特別な事情や医師からの指示がない限り、発行日を含めて4日以内と定められています。

笠原さん

処方せんの使用期間には、土日祝日も含まれるので注意が必要です

 
使用期間が設けられているのは、医師が診察してから4日以内であれば、患者さんの症状はそれほど大きく変わらず、処方されたお薬で症状の緩和が期待できるためです。処方せんの使用期間を過ぎると、患者さんの状態が変わるなど、お薬の効果を十分に得られない可能性も考えられます。

使用期間を過ぎた処方せんは無効とされ、薬を調剤することはできません。薬の効果を適切に得るためにも、処方せんの使用期間内に薬を受け取るようにしましょう。

処方せんの使用期間を過ぎてしまったら

では、処方せんの使用期間を過ぎてしまった場合、どうすればよいのでしょうか。

笠原さん

処方せんの使用期間を過ぎると、再度診察が必要となるケースがあります。患者さんご自身が処方せんを発行した医療機関に行き、どのように対応したらよいか医師に相談してください。
 
なお、長期での旅行など、特別な事情があってすぐにお薬を受け取ることができない場合は、医師の判断で使用期間を調整されることもあります。

じつはこんなしくみも。「リフィル処方」って何?

処方せんは、基本的に診察を行ったうえで発行され、薬もその都度調剤しますが、なかにはそうではない場合もあります。

繰り返し使えるリフィル処方せん

リフィル処方せんのリフィルとは、「詰め替え」のこと。しばらく通院を控えても症状の悪化が起こらないであろうと医師が判断した場合に、一定期間、同じ処方せんを最大3回まで繰り返し使用できます。

笠原さん

リフィル処方せんの対象となるのは、患者さんの症状が安定しているケースです。1回目は、通常の処方せんと同じく4日以内が使用期間となります。

 
2回目は、初回の調剤日を起点として薬剤師が算出し、処方せんに記入します。ちなみに、2回目以降は、調剤予定日の前後7日以内が処方せんの使用期間です。患者さんにとっては、医療機関を受診する回数が少なくなって通院の負担が減りますし、医療費の抑制効果も期待されます

リフィル処方と似ているけれど違う「分割調剤」というものも

分割調剤とは、医師によって薬剤師のサポートが必要と判断された場合などに行われる処方です。薬剤師は医師が指定した薬の処方日数を、最大で3回まで分割して調剤することができます。

笠原さん

基本的には、長期の治療が必要な患者さんが対象となります。分割調剤をするケースは、ご家庭でお薬を長期間保管するのが難しい場合や、ジェネリック医薬品の使用が初めてで、患者さんが長期間使用することに不安がある場合、服薬状況など、薬剤師のサポートが必要だと医師が判断した場合などです。

 
処方するお薬の日数を分割することで、患者さんは薬局を訪れることになり、薬剤師よりこまめに服薬指導を受けることができるようになります。

今後は身近な存在に?「電子処方せん」のしくみ

電子処方せんとは、紙の処方せんを電子化したものです。電子処方せんを導入することにより、患者さんは紙の処方せんの受け取り・手渡しを行う必要がなくなります。

笠原さん

電子処方せんを利用すれば、患者さんの同意のもとで、複数の医療機関や薬局における過去3年分の薬剤情報を、医師や薬剤師とで共有できるようになります。

 
また、電子処方せんを通じて患者さんのお薬に関する情報を一元管理することで、お薬の重複やよくない組み合わせの処方を防ぐことができ、患者さんがより安心・安全な医療を受けられることにつながります

電子処方せんを希望する場合、受診する医療機関と薬を受け取る薬局の両方が電子処方せんに対応している必要があるため、利用を考えている場合は、事前に確認をしておきましょう。電子処方せんに対応している医療機関や薬局のリストは、厚生労働省のウェブサイトで確認できます。

電子処方せんの発行は、マイナンバーカードがあると便利ですが、現在、マイナンバーカードを持っていない場合も、処方内容(控え)もしくは引換番号と健康保険証を提示すれば、利用することができます。

笠原さん

ちなみに、オンライン診療もしくは対面診療と、オンライン服薬指導もしくは対面服薬指導の組み合わせは、自由に行うことができます。

 
オンライン・対面診療のどちらでも、電子処方せん、オンライン服薬指導を選択した場合は、薬局へ行ったり、郵便やFAXで処方せんのやり取りをしたりする必要はありません。ご自宅で服薬指導を受けられ、お薬を受け取ることができます。なお、オンライン診療が可能かどうかについては、医師による判断が必要となります。

医療機関で発行される処方せんには、適切に治療を進めるうえで重要な情報が記載されています。処方せんを受け取ったら、まずは不明点や疑問点はないかをきちんと確認して、気になることがあれば必ず薬剤師に相談しましょう。受診後すぐに薬局に行くことが難しい場合は、処方せんの使用期間を過ぎることがないように注意して、なるべく早めに薬を受け取ることがとても大切です。

CREDIT
取材・文/藤田幸恵 イラスト/Mariko Fukuoka 編集/HELiCO編集部
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