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症状が出る前に対策を!アレルギー性鼻炎のケアと治療

早ければ1月下旬から飛散が始まるスギ花粉。「まだ真冬なのに、鼻がムズムズし始めた」という方もいるのではないでしょうか。なかには1年を通じて「風邪ではないのにくしゃみが出る」「サラサラとした透明な鼻水が止まらない」などの症状で困っている人もいるかもしれません。アレルギー性鼻炎は、花粉の飛散時期だけ症状が出る場合もあれば、年間を通じて症状が出る場合もあり、それぞれ適切なケアが大切です。

この記事では、アレルギー性鼻炎の基本や治療法などについて詳しく解説します。つらい症状が少しでも軽くなるよう、アレルギー性鼻炎に関する理解を深めて、しっかり対策をとってみませんか?

INDEX
アレルギー性鼻炎の基本を知ろう
季節性・通年性で異なるアレルギー性鼻炎の原因
鼻水や鼻づまりのほかにどんな症状が起こる?
適切な治療を受けて、快適な生活を目指そう
市販薬はどう使う?
症状を少しでも楽にするために、日常生活で意識したいセルフケア

アレルギー性鼻炎の基本を知ろう

「アレルギー性鼻炎」とは、アレルギーの原因となる物質が鼻の粘膜に侵入し、免疫が過剰に反応することで、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどが引き起こされる病気のこと。アレルギーの原因となる物質は「アレルゲン」と呼ばれ、花粉、ダニなどがあります。

アレルゲンは本来、人間の体に害をおよぼすものではありません。しかし免疫反応のエラーによって細胞がそれらを「敵」だと勘違いをして、体の外に出そうとした結果、くしゃみなどのアレルギー反応が生じてしまうのです。

もしアレルギー性鼻炎という病名にピンとこなかったとしても、「花粉が飛び交う時期になると鼻水や鼻づまりが起こる」「ホコリっぽい部屋に入ると鼻がむずむずしてくしゃみが止まらない」と聞くと、自分にもあてはまると思う方は多いはず。こういった症状も、アレルギー性鼻炎特有のものです。

このようにアレルギー性鼻炎は、非常に身近なアレルギーです。2019年に行われた「鼻アレルギーの全国疫学調査」では、調査対象の約2人に1人がアレルギー性鼻炎にかかっていることがわかりました。

季節性・通年性で異なるアレルギー性鼻炎の原因

アレルギー性鼻炎には、季節性と通年性のものがあり、それぞれ原因が異なります。詳しく見ていきましょう。

季節性アレルギー性鼻炎の主な原因は、草木の花粉

「花粉症」は、アレルギー性鼻炎のなかでも、特定の草木の花粉が飛散している時期に症状が起こるものを指します。症状を引き起こす原因となる花粉が一定時期に飛散することから、「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれます。

日本で最も代表的なのはスギの花粉症ですが、アレルゲンとなりえるのは、スギ花粉だけではありません。日本では、じつにさまざまな種類の花粉が1月から10月ごろにかけて飛散しています。

代表的な花粉と飛散時期

・スギ:飛散時期は2月〜5月くらい。3月にピークをむかえる。
・ヒノキ:スギより遅れて3月下旬ごろから飛び始め、5月くらいまで飛散。4月にピークをむかえる。
・シラカンバ(シラカバ):主に北海道で飛散。4月ごろから飛び始め、5~6月にピークをむかえる。
・イネ科:飛散時期は3~10月くらい、関東では5~6月にピークをむかえる。
・キク科(ブタクサ、ヨモギなど):8〜10月ごろ飛散。東北や関東では9月にピークをむかえる。

通年性アレルギー性鼻炎の主な原因は、室内にひそむアレルゲン

季節性アレルギー性鼻炎に対し、ダニのフンや死骸、ホコリなどの原因により、年間を通じて症状が出るものを「通年性アレルギー性鼻炎」と呼びます。 通年性アレルギーで最も多いのは、ダニ起因のものです。

通年性と季節性のアレルギー性鼻炎は併発しているケースが多く、特にダニとスギのアレルギー性鼻炎は併発しやすいとされています。

鼻水や鼻づまりのほかにどんな症状が起こる?

アレルギー性鼻炎には、同じアレルゲンで起こりえる、ほかのアレルギー疾患を合併しやすいという特徴があり、なかでも「アレルギー性結膜炎」を併発するケースが目立ちます。花粉症で鼻と目の両方に症状が出てつらさを実感している人も少なくないでしょう。

もともと喘息やアトピー性皮膚炎を持っている場合、アレルギー性鼻炎の症状と一緒にそれらの症状も悪化することがあります。症状を悪化させないためにも、日ごろから喘息やアトピー性皮膚炎の適切な治療を行うことが大切です。

アレルギー性結膜炎については下記ページで詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

どうする?つらい目のかゆみ。眼科医に聞く目の労り方
花粉症は、鼻だけではなく目の症状もつらいもの。花粉が飛ぶ時期は目のかゆみや涙目に悩まされ、「目が疲れやすい」「眠れない」「仕事や勉強に集中できない」などとお困りの方も多いでしょう。花粉以外にも、ダニやホコリが原因で、同様の症状に悩まれている人もいるのではないでしょうか。

アレルギーによる目のかゆみは、原因を回避しながら点眼薬をうまく使えば、症状をある程度コントロールしていくことができます。本記事では、目のアレルギー症状を少しでも楽にするために注意すべきことや、点眼薬の上手な使い方、眼科での治療法、家庭でできることについて解説していきます。
https://helico.life/monthly/230102allergy-conjunctivitis/

適切な治療を受けて、快適な生活を目指そう

「鼻水が止まらない」「鼻づまりがひどく、思うように鼻がかめない」など、アレルギー性鼻炎の症状は不快なもの。でも、「この程度ならどうにかなるのでは」と医療機関での診察を受けず、自己流で対処している人もいるのではないでしょうか。

つらい症状があるのに我慢をしていると、集中力の低下や睡眠不足といった悪影響があり、それによって職場や学校で思うようにパフォーマンスを発揮できなかったり、疲れやすくなったりすることもあります。セルフケアを続けていても症状が改善しない場合は、医療機関での治療も検討したいところ。ここからは、医療機関ではどのような治療ができるのかを解説します。

診察ではまず問診が行われ、症状のことやほかのアレルギー疾患がないかなどを聞かれます。どんな症状があるのかを詳しく医師に伝えられるようにしておくと良いでしょう。

また、自分ではスギ花粉症だと思っていても、それ以外のアレルゲンに抗体がある場合もあるため、抗体検査を行い、治療方針につなげていくことが大切です。

季節性アレルギー性鼻炎の症状軽減を目的とした「初期療法」

初期療法とは、アレルゲンとなる花粉が飛散し始める前から実施する、薬を使った治療法です。

花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎は症状が悪化すると薬が効きづらくなるため、前もって治療を始めておくことで症状が軽くなる場合もあります。自分が住んでいる地域の花粉の飛散開始時期をテレビやインターネットなどで確認して、花粉が飛び始める前に医療機関を受診し、治療を始めると良いでしょう。

根本的な治療を目指す「アレルゲン免疫療法」

アレルゲン免疫療法とは、注射や舌の裏側の粘膜からアレルゲンを少しずつ体内に吸収させてアレルギー反応を徐々に弱める治療法で、根本的な治療となりえるものです。

皮下に注射をする「皮下免疫療法」に対し、舌の裏側に治療薬を置き、一定時間が過ぎてから飲み込む「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」は、自宅で治療薬を服用できるので、注射のたびに通院するといった負担が軽減します。ただし、毎日続けて治療薬を服用する必要があり、一般的に治療期間は3~5年と長期にわたりますので、舌下免疫療法を行っている医療機関で、医師とよく相談のうえで選択することが大切です。

即効性のある「レーザー手術」

アレルギー性鼻炎の手術療法にはいくつか種類があります。なかでも一般的なのが、レーザーで鼻の粘膜を焼いてアレルギー反応を起こしにくくする手術。入院の必要がなく痛みも少ないうえ、舌下免疫療法よりも即効性がありますが、効果は永続的ではなく、平均して約半年〜2年ほどといわれています。

市販薬はどう使う?

これからの時期、ドラッグストアの店頭にはたくさんの鼻炎薬が並びます。手軽に買えるのでつい頼ってしまいがちになりますが、市販薬はあくまで急場をしのぐために使うものと考えましょう。症状が出ている間に続けて服用するのは、医療期間で処方される処方薬が適しています。

特に市販の点鼻薬のなかには、血管を収縮させる成分が入っているものがあり、すぐに鼻づまりが解消される一方で、使い続けていると逆に鼻づまりが引き起こされ、悪循環におちいる可能性があるものも。このような症状を「薬剤性鼻炎」と呼びます。

薬剤性鼻炎になってしまうと、長期間にわたる治療が必要になります。点鼻薬を購入した際は、同封されている添付文書をチェックしてみましょう。「過度に使用すると、かえって鼻づまりを起こす場合があります」などの記載がある場合には注意が必要です。

市販の点鼻薬は、どうしても使う必要があるときに限るようにして、医療機関を受診するようにしましょう。

症状を少しでも楽にするために、日常生活で意識したいセルフケア

最後に、症状を少しでもやわらげるために、日常生活のなかでできる対策をご紹介します。

掃除などで原因を遠ざける

通年性・季節性ともに、アレルゲンを物理的に遠ざけることが対策の基本です。ダニやホコリが原因の場合は室内の掃除をこまめに行うことを心がけましょう。

花粉は重量があるので室内ではあまり舞い散りません。そのため、帰宅時に玄関で服についた花粉をはらうなど、部屋のなかに持ち込まないための工夫が有効といえます。

睡眠や食事など、生活習慣をととのえる

規則正しい生活も、大切な対策のひとつ。不規則な生活は自律神経の乱れにつながり、症状の悪化を引き起こしかねません。睡眠環境を整え、栄養バランスの良い食事を心がけるなど、健やかに暮らすことを意識してみましょう。

毎年花粉症に悩まされる人も、年間を通じて鼻炎に悩む人も、鼻の不快な症状が少しでも軽くなるように適切な治療とセルフケアに取り組んでみてはいかがでしょうか。

教えてくれたのは・・・
後藤 穣先生
日本医科大学耳鼻咽喉科 准教授、日本医科大学多摩永山病院 耳鼻咽喉科部長

日本耳鼻咽喉科学会専門医・専門研修指導医、日本アレルギー学会常務理事・指導医・専門医、医学博士。アレルギー性鼻炎の治療指針である『鼻アレルギー診療ガイドライン』作成委員を務める、アレルギー性鼻炎、免疫療法のエキスパート。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:ニッパシヨシミツ
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