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1日何回トイレに行く?頻尿の定義と原因、対策を解説

日中トイレに行く回数が増えたり、就寝中に尿意を感じて何度も起きたり、「もしかして?」と思っても、なかなか人に相談しにくい「頻尿」の悩み。じつは、日中の頻尿に悩む方は約3000万人、夜間の頻尿に悩む方は約4000万人を超えるといわれています。頻尿そのものが命にかかわることはありませんが、QOL(生活の質)を著しく低下させる可能性もあり、きちんとケアをすることが大切です。

本記事では、そもそも頻尿とは何なのか、どのような原因で起こるのか、また、改善方法についても解説していきます。

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そもそも頻尿って? 目安となる排尿回数とは

「頻尿」とはその名の通り、尿の回数が多い症状を指します。ガイドラインでは、日中(起床から就寝まで)の排尿回数が8回以上、あるいは夜間(就寝中)の排尿回数が1回以上の場合に頻尿と定義されます。ただし、高齢になると回数が増える方も多く、一概に「○回以上だから頻尿」「○回以下だから頻尿ではない」とはいえません。回数だけではなく、本人の生活にどう影響しているか、不便に感じているかなども重要です。

また、頻尿はなんとなく恥ずかしいものだと感じ、なかなか人に相談できない方もいるかと思います。しかし、じつは40代で頻尿に悩む方は約40%もおり、特に夜間頻尿は年齢を重ねるごとに増加していきます。

頻尿の原因とは? 加齢のほかに病気のサインであることも……

では、頻尿はなぜ起こるのでしょうか。1つは加齢が原因です。加齢によって膀胱が固くなることで、風船のようにうまく膀胱が膨らまなくなり、尿を溜められる容量が小さくなってしまうことがあります。これを蓄尿障害(ちくにょうしょうがい)といいます。また、逆に尿がうまく出せずに膀胱に尿が多く溜まったままになってしまうことで、排尿後すぐに尿意を感じるケースも。これは、尿排出障害による頻尿とされます。

頻尿につながる病気の代表として挙げられるのが、突然急激な尿意に襲われる病気「過活動膀胱(かかつどうぼうこう)」です。過活動膀胱の原因はさまざまで、加齢によるものに加えて、脳血管障害(脳卒中や脳梗塞)やパーキンソン病など、脳と膀胱を結ぶ神経に障害が起こる神経系の病気が関連していることも。過活動膀胱は、急激な尿意に襲われてトイレまで間に合わずに尿もれをしてしまう場合もあり、頻尿と尿もれはまったく別の症状のようで、じつは深い関連があります

尿もれについては下記ページで詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

ひとりで悩まないで。尿もれの原因・対処法を解説
自分の意思とは関係なく起こる「尿もれ」。頻尿と同様に、QOL(生活の質)の低下にかかわる、非常に悩ましい尿トラブルのひとつです。「知られたくない」「恥ずかしい」という思いから、医療機関に行きづらいと感じてしまう方も多いはず。しかし、40歳以上の女性の4割以上は尿もれを経験しているとの報告もあり、実際には男女問わずもっと多くの方が尿もれに悩んでいると考えられています。

本記事では尿もれのタイプや原因、対処法を解説するとともに、医療機関で行われる治療の概要についても紹介します。悩んでいる方はもちろん今は大丈夫という方も、尿もれのこと、きちんと知ってみませんか。
https://helico.life/monthly/221112nyonayami-more/

さらに、女性は骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)男性は前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)によって膀胱や尿道が圧迫されて容量が小さくなる、あるいは排尿がうまくできずに残尿が多くなって頻尿が生じるケースが見られます。加えて、糖尿病などの生活習慣病も頻尿を引き起こす病気です。

こんな生活には要注意! 頻尿の原因となるNG習慣

一方で、体の機能ではなく、日常の生活習慣で頻尿が引き起こされている場合もあります。医療機関における頻尿の治療でも、まずは生活習慣の見直しからスタートするのが通常です。

頻尿を起こす原因となる生活習慣とはどのようなものでしょうか。自身に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。

NG習慣1:水分の摂りすぎ

「体のために1日○リットルは水を飲むのがいい」と耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。しかし、過剰な水分摂取によって頻尿になっているケースは多々あります。水分摂取の「適量」はその人の生活スタイルや季節、体格、年齢などによって異なりますが、純粋に飲み物で摂取する量は「体重の2%程度」を目安にしてみましょう。体重50kgであれば1リットル程度になります。また、カフェインやアルコールは利尿作用があるため、摂取しすぎないように注意が必要です。特に夜間頻尿に悩んでいる場合は、夕食以降は必要以上の水分や、カフェイン、アルコールの摂取は控えめにしましょう。

NG習慣2:塩分の摂りすぎ

塩分を摂りすぎることで尿量が増えたり、のどが渇いて気づかぬうちに水分摂取量が増えてしまったりすることがあります。そのため、日々の食生活での塩分摂取量には気を配るようにしてみましょう。濃い味付けの市販のお弁当やお惣菜を食べて「塩辛い」と感じないようであれば、日ごろから塩分を取りすぎている可能性があります。自炊する際は、醤油や塩の量を意識的に減らしたり、塩味のかわりに香味野菜や柑橘類、スパイスなどを活用して味付けをしたり、できることから取り組んでみてください。

NG習慣3:運動不足

夕方に、散歩などの軽い運動をすることで夜間頻尿が改善したという報告があります。理由はまだはっきりとはわかっていませんが、運動により、排尿や尿をコントロールするうえで重要な骨盤底筋の筋力低下を防いだり、汗をかくことによって尿ではない形で水分を体外に出したりすることが、頻尿の回避につながっているのではないかと考えられています。

NG習慣4:緊張状態が続く

緊張や不安を感じることで頻尿が引き起こされることがあります。ただし、こうした状況での尿意は誰にでも起こり得ますので、一時的な緊張状態であれば特に気にする必要はありません。もし、仕事などでつねに緊張状態が続いている場合には、ゆったりとお風呂に浸かるなど、積極的にリラックスする時間を設けるようにしましょう。

また、「すぐにトイレに行きたくなってしまう」という不安を抱えることで、頻尿が加速する悪循環に陥る場合も。トイレ(尿意)のことを考えると余計に尿意を感じやすくなるため、むやみに考えすぎないことも大切です。

生活に不便を感じている場合には、医療機関の受診を

自身で症状を感じているものの、「頻尿くらいで医療機関に行ってもいいのだろうか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに頻尿そのものが命にかかわることはありませんが、頻尿がQOL(生活の質)に影響を及ぼすケースは多々あります。また、夜間頻尿がある方は、うつ病のリスクや死亡率が高まるという研究データもあります。原因はまだ明確になっていませんが、夜間に何度も目が覚めることによる睡眠の質の低下が関係しているという説があります。

頻尿において最も大切なことは「本人が生活に支障をきたしていると感じるかどうか」です。たとえ、日中の排尿回数が7回以下の場合でも、本人が生活に不便を感じていれば、医療機関を受診しても問題ありません。

「旅行に行きたいけれど、トイレが近くて漏らしてしまうのではないかと不安」「コンサートに行きたいけれど、トイレが間に合うか心配」などの悩みを持っている方は、自身の生活を思い切り楽しむためにも、ぜひ医療機関(泌尿器科や内科、婦人科など)を受診してみましょう。医療機関では、症状・状況に応じた生活習慣の改善のほか、薬による治療が可能な場合もあります。

泌尿器科については下記ページで詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

女性も安心して受診できる。「泌尿器科」はこんな場所
泌尿器科に対して、「なんとなく行きにくい」「男性の患者さんが多い」というイメージを持っている女性は少なくないと思います。でも、尿のトラブルは性別や年齢を問わず誰にでも起こりえるもの。泌尿器科は、女性はもちろん、子どものおしっこの悩みも相談できる診療科です。

そこで本記事では、女性には受診のハードルが高いと思われがちな、泌尿器科について詳しく解説します。「内診はあるの?」「診察は痛くないの?」などの疑問や不安について、女性と小児の泌尿器科「自由が丘ウロケアクリニック」院長の佐藤亜耶先生に教えていただきます。
https://helico.life/monthly/221112nyonayami-urology/

頻尿は老若男女関係なく、多くの人が悩んでいる症状で、決して恥ずかしいものでありません。自身の暮らしを豊かにするためにも、ぜひ生活習慣の改善や医療機関の受診を検討してみてください。

教えてくれたのは・・・
吉田 正貴先生
桜十字病院 上級顧問・泌尿器科医長

すっきりぐっすり排尿外来を開設。
1981年熊本大学医学部卒業。1987年同大学院医学研究科修了。熊本大学医学部泌尿器科准教授、国立長寿医療研究センター手術・集中治療部長などを経て、2017年より同センター副院長、泌尿器外科部長。2021年より桜十字病院上級顧問、泌尿器科医長。日本排尿機能学会元理事。「夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]」の作成委員長をはじめ、各種排尿障害ガイドラインの作成委員を務めた。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:pum
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