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どんなときに頭痛は起こる?シチュエーション別頭痛

日頃から頭痛に悩んでいる方は多いと思いますが、「どんなときに頭痛が起こっているか」を振り返ったことはありますか? 頭痛を引き起こすシチュエーションはさまざまですが、そのきっかけは人によってまちまち。

頭痛をコントロールするうえでは、「頭痛が起こりやすいシチュエーション」を理解することも重要です。本記事では、どんなタイミングで、あるいはどんな方に頭痛が起こりやすいのかを紹介します。記事を読むことで自分の頭痛のきっかけを発見できるかもしれません。

INDEX
多くの片頭痛もちは経験済み? 「光や音、においがきっかけとなる頭痛」
仕事・勉強の環境を整えて! 「在宅勤務頭痛」
冷たいもので頭がキーン! でも食べるのはやめられない「アイスクリーム頭痛」
天気予報のチェックが欠かせない? 「低気圧に伴う頭痛」
身だしなみにも要注意? 「ポニーテール頭痛」
眠りの質と時間が重要。「睡眠が関連する頭痛」
コロナ禍で増加中! 「マスク頭痛」
ストレスや空腹、旅行など、ほかにも頭痛を引き起こす原因はたくさん

多くの片頭痛もちは経験済み? 「光や音、においがきっかけとなる頭痛」

頭の片側がズキンズキンと痛む症状が特徴の「片頭痛」。頭痛の発作が起きる、または悪化する原因として多いのが、太陽光や明るい光、大きな音、そして香水などのにおいです。そのため、頭痛が起こった際には、暗い静かな部屋でじっと体を休めると楽になるという方もいます。

これらの原因がきっかけで頭痛を起こしたことがある方は、学校や仕事場での座席は窓側を避ける(周囲にも伝えておく)、使用する洗濯用洗剤(柔軟剤)は香りの強くないものを選ぶ、日差しの強い日にはサングラスを着用するなど、日常生活のなかで原因を回避するよう工夫してみましょう。

「私も片頭痛もちかも?」と思った方は、別の記事「その頭痛、あきらめないで!タイプ別頭痛の対処法」で片頭痛について詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

仕事・勉強の環境を整えて! 「在宅勤務頭痛」

ここ1~2年で急激に導入企業が増えた、在宅勤務(テレワーク)。通勤のストレスなどが軽減されたという方がいる一方で、自宅にはモニターや長時間座るのに適したオフィスチェアなどがないことから、首や肩、背中の凝りが悪化したという方も。これによって起こるのが、頭を締めつけられるような痛みが生じる「緊張型頭痛」です。緊張型頭痛についても、別の記事「その頭痛、あきらめないで!タイプ別頭痛の対処法」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

さらに、家族が自宅にいる時間が増えた、家族が自宅にいる状態で仕事をするなど、これまでと違った生活環境になることでストレスが生じ、片頭痛が悪化したというケースもみられます。これらの症状を軽減するために、まずは仕事環境を整えて、体の負担を減らしていきましょう。また、お風呂にゆっくりと浸かるのもおすすめです。筋肉がほぐれ、精神的なリラックスにもつながるので、緊張型頭痛と片頭痛、どちらにも効果がありますよ。ただし、片頭痛が起こっているときは、入浴で頭痛が悪化することも多いので注意が必要です。

冷たいもので頭がキーン! でも食べるのはやめられない「アイスクリーム頭痛」

アイスクリームやかき氷など、冷たいものを食べた際に頭が「キーン」とする、あの現象。じつは医学的に、「アイスクリーム頭痛」という名前がついているのです。誰にでも起こりうる頭痛ですが、片頭痛もちの方には特に起こりやすいといわれています。

アイスクリーム頭痛が起こるメカニズムは、まだ正確には解明されていません。しかし、ひとつの説として温度(熱い・冷たいという感覚)や痛みを脳に伝える「三叉神経」の関連が挙げられています。この説は、冷たい物がのどを通過し、三叉神経が刺激されて脳に信号が行きわたるときに、脳が「冷たい」という感覚を「痛い」と勘違いしてしまう、というものです。

この頭痛を回避するには、急激に口の中に冷たい刺激を与えないことが重要。おいしいものを口いっぱいに頬張って食べたい気持ちは分かりますが、ゆっくり少しずつ食べたり、常温や温かい飲み物と交互に食べたりすることを心がければ防ぐことができます

天気予報のチェックが欠かせない? 「低気圧に伴う頭痛」

片頭痛が起こったり、悪化したりするきっかけは、低気圧や台風、湿度など、気象の変化であることも。そのため、気象の変化に伴って、片頭痛が起こりやすい時期(季節)があると考えられています。ただ残念ながら、気象の変化がなぜ片頭痛につながるのかという点は解明されていません。

気圧が大きく変化するという意味では、飛行機に乗った際にも頭痛が生じる場合があります。

最近では気圧の変化を予測するアプリなどもあるので、そうしたツールを活用し、低気圧が予想される日や飛行機に乗る日には鎮痛薬を準備しておくとよいでしょう。鎮痛薬に関して詳しく知りたい方は別の記事「探そう、自分に合う薬。正しい服用で頭痛コントロール」もぜひご覧ください。

身だしなみにも要注意? 「ポニーテール頭痛」

ポニーテール頭痛は、長時間にわたって頭皮が引っ張られることによって生じます。そのため、長時間同じ髪型を維持しなくてはならない場合にはポニーテールを避ける、髪をあまり引っ張りすぎずに結ぶ、あるいは数時間おきに一度髪をほどくなどの対策が有効です。

また、ポニーテール頭痛と似たものとして、きついヘッドバンドやゴーグル、帽子の着用によって長時間頭部が締めつけられることによる頭痛も。スキーやスノーボード、水泳などでゴーグルを着用する必要がある場合には、締めつけすぎないようにサイズを調節し、不要なタイミングでは頭部から外すなどの工夫をしてみてください。

眠りの質と時間が重要。「睡眠が関連する頭痛」

せっかくの休日なのに、頭痛がひどくて1日中ベッドのうえで過ごすはめに……という経験をしたことはありませんか? じつは片頭痛もちの方のなかには、休日に頭痛を起こしやすいという方が多いのです。その原因が「いつもより長く寝てしまうこと」。また、30分以上の昼寝が片頭痛のきっかけになることもあります。

その一方で、睡眠時間が足りていないと、それも頭痛を引き起こす原因になるのが難しいところ。「適切な睡眠時間」は人によって異なるので、自分にとってベストな睡眠時間を確保できるよう心がけましょう。

また、睡眠時間は適度にとっているつもりでも、睡眠の質が悪くなることで知らないうちに寝不足に……なんていうことも。その要因として考えられるのが、睡眠中に呼吸が止まったり、浅くなったりする「睡眠時無呼吸症候群」です。肥満の方に起こることが多いため、体重管理などを行うことで、片頭痛を改善できる可能性もあります。また、睡眠時無呼吸症候群では、片頭痛とは違う頭痛を起こすこともあるので、「毎朝頭痛がする」という場合は検査を受けることをおすすめします。

コロナ禍で増加中! 「マスク頭痛」

新型コロナウイルス感染症の影響で、いまやマスクは外出時に欠かせないアイテムとなりました。それに伴って増えているといわれるのが、マスク頭痛です。その原因のひとつが「酸素不足」。マスクを着用することで、呼吸時に体内に取り込む空気(酸素)の量が減少し、マスク内には二酸化炭素を含んだ呼気がとどまりやすくなります。こうした状態に対して、体が少しでも多くの酸素を体内に巡らせるために血管を拡張させ、頭痛が生じるのです。

また、マスク紐によって耳に負担がかかることで、頭痛を誘発することも。特に片頭痛もちの方は、通常であれば痛みと認識しないような刺激を痛みと感じる「皮膚アロディニア」という症状が出ることが多く、マスクの紐の接触が頭痛を引き起こすともいわれています。

そのほか、意外と見落としがちなのが、マスクをしている際の脱水状態です。マスク内は湿度が高く、のどの渇きを感じにくいため、気づかないうちに脱水状態に。それが片頭痛のきっかけになることもあるのです。

これらを回避するためには、新型コロナウイルス感染予防のためのマスク着用を前提に、周囲と十分な距離が取れる場合には短時間でもマスクを外して深呼吸をする、意識的に水分を摂取するなどの対策を行いましょう。

参考:NHK「きょうの健康」2021年9月「コロナ禍で増えているマスク頭痛の原因・対処法」

ストレスや空腹、旅行など、ほかにも頭痛を引き起こす原因はたくさん

ここまでで紹介した原因のほか、ストレス(あるいはストレスから解放されてホッとしたタイミング)ホルモンバランス(月経周期)気温差空腹(欠食)性行為旅行などのイベント(通常と異なる生活)など、片頭痛の原因になりうるものは数多くあります。

その原因は人によって異なるため、何よりも重要なのが「自分の頭痛」が起こりやすい原因やシチュエーションを知っておくこと。それにより、頭痛になりやすい場面を回避することもできます。頭痛に困っている方は、自分が頭痛になったときにどのような状況だったか、どんなことがあったのかをぜひ日頃から記録して、「自分の頭痛」を分析してみてください。


本記事では、頭痛のきっかけになりやすいシチュエーションについて紹介しました。頭痛が起こったタイミングをきちんと振り返り、自分が頭痛を起こしやすいシチュエーションを把握することで「頭痛のコントロール」の実現につながります。どんなときに頭痛が起こるのか、「自分の頭痛」を一度振り返ってみてはいかがですか。

教えてくれたのは・・・
五十嵐 久佳先生
富士通クリニック頭痛外来・北里大学医学部神経内科客員教授

1979年に北里大学医学部を卒業。現在は神経内科医として、特に頭痛の診断や治療にあたる。患者に寄り添う丁寧な診療に、妊娠中や授乳中の女性からの信頼も厚い。自身の知見を活かし、テレビ・雑誌・Webなど幅広い分野で活躍中。主な監修に『頭痛女子バイブル』『さよなら!不快症状 頭痛』『頭痛をなんとかしたい 解消&予防』など。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:ery
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