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頭痛の症状をどう伝える?種類別にイラストで紹介

「痛み」を人に伝えるとき、苦労したことがある方はいませんか? 頭痛の診療においては「どのようなタイミングで起こるか」「どれくらいの頻度か」に加えて「どのように痛むか」もとても重要。頭痛の種類の特定や対処法を医師から正しく教えてもらうためにも、問診で的確に症状を伝えられると良いでしょう。また、痛みは本人にしかわからないからこそ、きちんと言葉にすることが大切。

本記事では、頭痛の種類別に痛みの特徴や症状をご紹介。問診で痛みを伝える際の参考にしてみてください。

INDEX
痛み方によって異なる頭痛の種類
ズキンズキン、脈打つような痛みの「片頭痛」
頭が重く、締めつけられている感覚がする「緊張型頭痛」
片目の奥で激痛が起こる「群発頭痛」
こんなときにはすぐに受診を

痛み方によって異なる頭痛の種類

大きく一次性頭痛と二次性頭痛の2つに分類される頭痛ですが、「頭痛もちの頭痛」ともいわれ、多くの人を苦しめているのが一次性頭痛。代表的な一次性頭痛としては、「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」がありますが、発生する症状や痛みがそれぞれ異なります。
(※頭痛の種類などの基礎知識をより詳しく知りたい方は「その頭痛、あきらめないで!タイプ別頭痛の対処法」もあわせてご覧ください)

ここからは、3種類の頭痛についての「痛みの特徴」と、それらを的確に医師へ伝える際の「参考フレーズ」を紹介していきます。

ズキンズキン、脈打つような痛みの「片頭痛」

片頭痛は、強い痛みを繰り返す頭痛で、原因はまだすべてが明らかにはなっていません。しかし、遺伝が関連していると考えられており、家族に片頭痛をもつ方がいる場合は発症しやすくなっています。

【痛みの特徴】

  • 脈打つように痛む
  • 頭の片側が痛むことが多いが、両側のこともある
  • 頭痛が起こると太陽光を含む明るい光、においや音などに敏感になる(あるいは頭痛が始まる)

【参考フレーズ】

「頭がズキンズキンするんです」

「せっかくの晴れの日なのに……。体を動かすと、痛みが強くなってしまいます」

「においや音を感じるだけでも痛みが襲ってくるような感覚があります」

片頭痛の特徴のひとつは、周囲の環境が痛みに影響しやすいこと。いつもより光がまぶしく感じたり、周囲の音が気になったりするなど、痛みが増す具体的なシチュエーションがあれば、伝えるとよいでしょう。

また、痛みに付随して起こる症状もあります。吐き気あるいは嘔吐が起こったり、視野の一部にギザギザとした稲妻のような模様が現れたりする場合も、片頭痛が原因かもしれません。頭痛の前後で体の異変を感じたら、それも医師に伝えましょう。

頭が重く、締めつけられている感覚がする「緊張型頭痛」

緊張型頭痛とは、肉体的・精神的なストレスなどで引き起こされる頭痛。なぜ頭痛が起こるのかはまだはっきりとはわかっていませんが、頭や首の筋肉こりなどによる場合や、痛みを感じる脳の部分が敏感になり、些細な刺激を痛みと捉えてしまうことによるのではないかと考えられています。症状の強さは片頭痛と比較して軽度な場合が多いものの、毎日のように頭痛が起こってしまい、生活に支障をきたすこともあります。

【痛みの特徴】

  • 頭が締めつけられる感覚
  • 圧迫感がある
  • 頭が重く感じる

【参考フレーズ】

「ベルトやはちまきなどで、頭をグーっと締めつけられている感じがします」

「万力で頭を挟まれているみたいです」

「頭がズーンと重くて……。頭の上に何かが乗っているようです」

片頭痛とは異なり、動くと痛みが和らぐ人もいます。どんなときに楽になったかも合わせて伝えてみましょう。

片目の奥で激痛が起こる「群発頭痛」

群発頭痛は10万人あたりおよそ50人から400人に起こる病気。20歳から40歳台での発症が多いとされ、1回の発作につきおよそ15分から3時間、痛みが続きます。ちなみに群発頭痛が起こる原因は、まだ明らかになっていません。

【痛みの特徴】

  • 2週間から2か月間ほど片目の奥に強烈な痛みを繰り返す
  • のたうち回るほどの痛み
  • 痛い側の目から涙、目の充血、鼻水、鼻づまりなどを伴う
  • この期間に飲酒すると痛みが起こる

【参考フレーズ】

「目の奥がえぐられているような激痛です……!」

「焼けた火箸で目を突き刺されたような衝撃で、じっとしていられません!」

「本当に我慢できない痛みで……。いつも同じ側の片方の目だけに起こります」

ほぼ毎日、1時間から2時間ほどの痛みを繰り返すことを伝えましょう。

こんなときにはすぐに受診を

この記事では主に一次性頭痛について説明しましたが、病気などが原因で頭痛が起こる二次性頭痛のなかには、くも膜下出血など命に関わるような病気が隠れていることがあります。「頭をハンマーやバットで殴られたような」これまで経験したことのない頭痛を感じた際には、すぐに脳神経外科あるいは脳神経内科を受診しましょう。
(※命に関わる危険な頭痛についてより詳しく知りたい方は「命に関わる頭痛とは?危険なサインを見逃さないために」もあわせてご覧ください)

また、そのような激しい痛みではない場合でも、1か月に10日以上頭痛が起こる(頭痛薬を飲む)生活が3か月以上続いているときには、脳神経内科(あるいは頭痛外来)の受診を検討しましょう。

本記事の最初でお伝えしたとおり、頭痛診療においては正しく診断をするために「頭痛が起こったシチュエーション(タイミング)」や「頻度」「痛み方」などの情報が非常に重要になります。正確に症状を把握するためにも日頃から以下のような点をメモしておき医師に見せるとスムーズです。

【メモしておくとよいこと】

  • どのような痛みがどの程度続くのか
  • どんなときに頭痛を起こしやすいのか(天気・環境・月経など)
  • 月に何回くらい頭痛が起きるのか
  • 頭痛が起こる前に共通していることはないか(食事や自分の行動など)

など


あなたを悩ませている頭痛はどの表現に近かったでしょうか。「たかが頭痛」と思わずに、頭痛による困りごとがある場合には、ぜひ医療機関の受診を検討してみてください。その際、あらかじめ「どんな頭痛か」をしっかりと伝えられるようにしておくようにしましょう。

教えてくれたのは・・・
五十嵐 久佳先生
富士通クリニック頭痛外来・北里大学医学部神経内科客員教授

1979年に北里大学医学部を卒業。現在は神経内科医として、特に頭痛の診断や治療にあたる。患者に寄り添う丁寧な診療に、妊娠中や授乳中の女性からの信頼も厚い。自身の知見を活かし、テレビ・雑誌・Webなど幅広い分野で活躍中。主な監修に『頭痛女子バイブル』『さよなら!不快症状 頭痛』『頭痛をなんとかしたい 解消&予防』など。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:沼田 光太郎
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