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市川渚とアロマを学ぶ。頭痛が和らぐ香りの種類とは

テクノロジーとファッションの領域で、企業やブランドがもつ魅力を発信する市川渚さん。クリエイティブ・コンサルタントとして活躍しつつ、フォトグラファー、動画編集、執筆、モデルといったクリエイターの顔ももち、さまざまな面で活躍しています。そんな創造性にあふれる日々を送るなかで、頭痛に悩まされることも多いのだとか。

そんなとき、市川さんはアロマテラピーを暮らしに取り入れて心身のケアをしているといいます。日ごろから親しむ芳香療法に頭痛改善のヒントがあると聞き、香りの専門店「生活の木」を訪問しました。

市川渚さん
クリエイティブ・コンサルタント

1984年、千葉県生まれ。海外ラグジュアリーブランドのPRなどを経て、2013年に独立。ファッションとテクノロジーの分野を中心に、国内外の企業、ブランドのコミュニケーション施策の企画、クリエイティブディレクションに関わる。白いものに目がなく、ガジェットなどの身の回りのものは同色で統一している。

公式サイト:NAGISA ICHIKAWA
Twitter:@nagiko726
Instagram:@nagiko

長時間マスクをしていると……。市川さんが頭痛に悩まされるタイミングは?


―市川さんは、どんなときに頭痛を感じますか?

市川:環境や天候の変化によって、さまざまな場面で感じますね。とくにストレス、PMS、低気圧などが原因で頭痛になることがすごく多くて。いまは、長いあいだマスクをつける機会も増えましたが、そのせいで頭が痛くなることも結構あります。

市川渚さん

―長時間マスクをしていると耳が痛くなるという話はよく聞きますが、頭痛の原因にもなるんですね。

市川:はい。マスクをつけたまま、長時間会話をしたりタクシーに乗ったりするとよく頭痛に襲われます。鼻と口が覆われていると酸欠状態になりやすいのかもしれませんね。

じつはここに向かう車中でもマスク頭痛になりそうでした。でも、店内へ足を踏み入れた瞬間にやわらかな良い香りがしてきて、少し楽になったんです。私にとって香りはお守りのような存在。体調や気分に良い影響をもたらしてくれます。


―普段から、香りで不調の改善を試みることは多いのでしょうか?

市川:すべて解決! というわけではないのですが、先ほど挙げたように酸素が足りない状態で帰宅したときなど、けっこう頼っていますね。「頭痛い~!」ってベッドになだれ込みたくなっても、その前にいま必要だと思う精油(※植物から抽出された天然素材の香り成分、エッセンシャルオイル)を手にします。良い香りが体内を巡ることで、不快感が薄れていく気がします。


―精油を使用されているんですね。具体的には、どのように香りを取り入れているんですか?

市川:精油のときはアロマディフューザーを使うことが多いです。あとはインセンススティック(お香)もよく使います。煙によって香りが充満していくのが目に見えて良いですね。「あ、森の成分が広がってる~」なんて思いながら眺めていると、ワクワクしてくるんです。


―視覚からもアロマの息吹を感じて、パワーを取り戻しているんですね。ちなみに、不調を和らげるためにどんな香りを選ばれているんですか?

市川:心のざわつきを抑えたいときはユーカリやレモングラス、スギ、ヒノキ、ヒバが多いかも。あとは季節によって違ってきます。真夏はグレープフルーツ、寒い時期になるとオレンジスイートやゆずを手にする回数が増えます。精油を選ぶときは、本能で求めている香りが顕著に現れるので、おもしろいです。心身の状態を測るバロメーターにもしています。


―いま、必要なものを嗅ぎ分けているんですね。

市川:まさに! じつはこの2年間で香りの取り入れ方ががらりと変わったんです。これまでは「こんなふうに想われたい」というイメージを演出するために、フレグランスをまとっていました。第三者に見てもらうための、ファッションの一部という意識だったのかもしれません。

ところが、家で過ごさざるをえなくなった2020年のコロナ禍を経て、外へと集中していた意識が内へと向くようになって。すると、自分が本当に嗅ぎたいものを選ぶようになったんです。


―スイッチをオンにしていたフレグランスがご自愛グッズへとシフトしたんですね。香りの好みにも変化はありました?

市川:正反対になりましたね。2019年までは男性のフレグランスでよく用いられているウッディ系に惹かれていました。バリバリ戦うモードだったんでしょうね(笑)

だから、ローズ系とかはフェミニン過ぎると感じていました。でも、いまではその甘い芳香によって緊張が解けるようになって。不安定な日々が長期化しているからこそ、癒やしを求めているのかもしれません。

また、香りを生活に取り入れていると、天然の香りか人工のものなのかもわかるようにもなりました。おのずと嗅覚も鍛えられている気がします。


―1日のなかで精油やお香を焚く時間は決めていますか?

市川:まずは、朝ですね。香りによって、1日の始まりのスイッチを入れています。

冬は起き抜けにお茶を飲みながらゆずの香りを堪能しています。一方で、執筆や創作に取り組むときはとくに使いません。作業に集中したいので、香りに心をもっていかれないためにもあえて漂わせないようにしています。

そして、夜はヒバの精油などをお風呂に入れて、リラックスできるようにしていますね。仕事をしてギュッと固まった体と心をゆるめてくれるんです。

頭痛の緩和にうってつけな香りを探しに「生活の木」へ


―市川さんのように環境や体調などがきっかけで起こる頭痛の改善方法の一つとして、アロマテラピーがあるようです。アロマテラピーとは、精油を用いて心身の調子をサポートする芳香療法のこと。ここからは、香りの専門店「生活の木」の鈴木優人さんを交えて、症状の緩和が期待できる香りとその方法を教えていただきます。

市川:わーい!(パチパチ) 鈴木さん、よろしくお願いします。

鈴木:おまかせください。

「生活の木」スタッフ 鈴木優人さん

―なぜ、アロマテラピーが頭痛の緩和に一役買うのでしょう?

鈴木:まず、嗅覚は五感のなかでも記憶力がずば抜けています。フレグランスの香りで昔の恋人を思い出す、というエピソードは聞いたことありますよね?

市川:あー、いま、思い出したくなかったのに……。みたいな瞬間ですね(笑)


鈴木:(笑)。においの分子を嗅覚がキャッチすると、脳のなかでも感情や本能をつかさどる部分や、自律神経系をつかさどる中枢にその情報が伝わり、体温や睡眠、ホルモンの分泌、免疫機能などのバランスを整えるよう働いていきます。

そのため、アロマテラピーには頭痛を和らげる効果が期待されているんです。

頭痛のタイプに応じて香りを選ぶことが改善のキーに


―では、頭痛がしてきたら、ひとまず精油を嗅げばいいのでしょうか?

鈴木:痛みの種類によって効果が期待できる香りが異なるので、見極めが肝心です。一般的によく起こる頭痛には、主に2つのタイプがあります。まずは、ギューっと締めつけられるような痛みを感じる「緊張型頭痛」。続いて、こめかみや目の周辺が発作的に痛む「片頭痛」。


市川:対策方法が違ってくるなんて、知りませんでした。タイプ別におすすめの香りを教えていただけますか。

鈴木:「緊張型頭痛」の原因の一つは血行不良なので、リラックスを促すアロマがおすすめです。ベルガモット、ラベンダー、ヒバ、ヒノキなど。張り詰めた心身をほぐして、血の巡りを整えましょう。平穏がポイントになるので、自分が好む香りを選んでも大丈夫です。

「片頭痛」の場合は、血管の拡張によって誘発されることがあります。そのため、ギュッと引き締まるような香りが効果的。グレープフルーツ、ローズマリーなどが挙げられます。

頭痛のタイプがわからない場合はユーカリ、ペパーミント、オレンジスイート、ラベンダーであれば安心。とくにユーカリはさっぱりとした香りで、気持ちを晴れやかにしたいときにもおすすめです。

手軽にケアしたいときは、タオルやティッシュを使おう

市川:勉強になります。頭痛に襲われたとき、精油はディフューザーで広げれば良いですか?

鈴木:もちろん大丈夫です。とはいえ、不調時にディフューザーをセットするのはハードルが高いかもしれないので、タオルを用いたケアが手軽でおすすめです。「片頭痛」の場合は、水を張った洗面器やたらいに精油を2滴垂らしてタオルを浸し、よく絞ったらひたいに置きましょう。「緊張型頭痛」の方は、血行を良くすることが重要なので、水ではなくお湯で行います。

市川:想像するだけで気持ち良い~。ちなみに自宅以外では、マグカップにお湯を張って芳香浴をするときもあります。

鈴木:それも簡単で良いですね。先ほど「車中で頭痛が起こる寸前だった」とおっしゃっていましたよね。出先での対処法としてはティッシュやハンカチに精油を垂らして、鼻に近づけると良いですよ。もっとシンプルに、瓶から直接香りを嗅いでもOKです。

市川:ちょっと、試してみますね。


鈴木:手元から10cmくらいは瓶を離してくださいね。香りの成分がダイレクトに届くので、鼻から近すぎると刺激が強く感じることもあります。

市川:なるほど。香りが濃厚であれば良いというわけではないんですね。私の場合、外出中にアロマスプレーを持っていたら、吹きかけて対処することもあります。

鈴木:すばらしい。ちなみに、ぼくは「片頭痛」に悩まされることが多いので、自家製コロンを携帯していますよ。

市川:コロン!?

鈴木:といっても、ホホバオイル8mL~10mLにペパーミントを2滴垂らしただけのものです。容器代を除くと、この分量で必要な予算の最安値は90円程度。簡単でコスパも良いのでぜひチャレンジしてほしいです!

市川:精油はたった2滴でいいんですか? ついつい多く入れちゃいそう。

「生活の木」ではコロンをつくるためのオイルや、入れる瓶も販売されている

鈴木:数字で表すと少なく感じますよね。でも、ちゃんと香りは感じられるのでご安心を。ぼくは頭痛の兆候を察知したら、手首に塗って嗅ぎます。香りが充満する心配も少ないので周囲を気にしなくても良いですし。

ほかには、筋肉の痛みや炎症を抑える効果が期待できるアルニカオイルを選ぶのも良いでしょう。爽やかなハーブの香りが特徴的で、シダーウッド、サンダルウッドなどと合わせても相性抜群です。

香りの良いハーブティーも頭痛のときにおすすめ


―香りで痛みを和らげるのは、精油だけの特権なのでしょうか?

鈴木:いえ、ハーブティーも有効です。「緊張型頭痛」にはミントやカモミール、「片頭痛」ではフィーバーフューのハーブティーがおすすめですね。

市川:フィーバーフュー!? 初耳の名前が出てきました。


鈴木:たしかに、日本だとなじみが薄いかもしれません。古代ギリシャ時代には解熱や抗炎症の目的で使用され、現在は片頭痛の緩和にも役立つといわれています。草っぽい独特の香りが特徴でもあるので、さわやかな香りのレモンバームかレモングラスの茶葉をブレンドすると良いでしょう。

市川:レモングラスの香りは大好きです。ブレンドの割合は決まっていますか?

鈴木:フィーバーフュー1に対して、レモンバームかレモングラスは2が良いと思います。

市川:緊張型頭痛のときのおすすめブレンドはありますか?


鈴木:ゆったりとリラックスしたい場合は、カモミールに甘い香りが魅力のリンデンフラワーを混ぜると良いかも。比率としては1:1がおすすめです。

市川:ひとくちに「香り」といってもいろんなアプローチがあるんですね。本当に奥が深い。

今日は頭痛に効果的なたくさんの香りを教えていただきましたが、個人的にはアロマクラフトをハンドメイドできることも目からウロコでした。運命の一本を自分で生み出せるなんて、楽しい! 頭痛に備えて、帰ったらさっそくコロンをつくってみます。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 写真:佐藤 翔
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