3

その頭痛、あきらめないで!タイプ別頭痛の対処法

多くの方が経験するからこそ、「仕方のないこと」と片付けられがちな頭痛。頭痛が起こることが当たり前だと思ってしまっている方もいるのではないでしょうか。

でも、ちょっと待ってください! ひとくちに頭痛といっても、じつはいくつかのタイプに分類され、タイプによって対処法にも違いがあるのをご存じですか? 頭痛について理解を深めることで、上手な付き合い方が見つかるかもしれません。まずは、頭痛の基礎知識を一緒に学んでいきましょう。

INDEX
頭痛は主に2パターン。一次性頭痛と二次性頭痛
緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛。それぞれの原因や症状の特徴は?
「頭痛は我慢」ではない! 原因と対策を考えましょう

頭痛は主に2パターン。一次性頭痛と二次性頭痛

頭痛はその原因によって、「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分類されます。

一次性頭痛

「頭痛もちの頭痛」ともいわれ、主に「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」などがそれにあたります。基本的に一次性頭痛が直接的な原因となって命を落とすようなことはありませんが、痛みで動けなくなってしまったり、さらには寝込んでしまったりと、QOL(生活の質)を下げる要因になることも。きちんと原因を探って対処していくことが大切です。

二次性頭痛

別の病気によって引き起こされる頭痛のことを指します。たとえば、新型コロナウイルス感染時の症状として頭痛が生じるのも二次性頭痛の一つ。そのほか頭痛の原因として「くも膜下出血」や「脳腫瘍」など、ときには命に関わる病気が隠れていることもあるため、注意が必要です。

命に関わるような二次性頭痛については「命に関わる頭痛とは?危険なサインを見逃さないために」で詳しく解説していますので、ぜひそちらの記事もあわせてご覧ください。


緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛。それぞれの原因や症状の特徴は?

頭痛に悩まされている方の多くは、一次性頭痛にあてはまるのではないでしょうか。今回は、主に一次性頭痛の種類と対策についてご紹介します。

締めつけられるような痛みは「緊張型頭痛」

緊張型頭痛には2つの発生メカニズムがあります。1つは長時間同じ姿勢を取ることで、首や肩の筋肉が固くなり、血流が悪くなって頭痛を引き起こすパターン。そしてもう1つが、精神的なストレスなどによって脳の痛みを感じる部分が敏感になり、外からのちょっとした刺激を痛みと捉えるようになってしまうパターンです。特に後者の場合には、365日朝から晩まで頭痛がする(慢性緊張型頭痛)という方も。

頭の両側や後頭部にグーっと締めつけられるような痛みを感じますが、日常生活に支障が出るほどではないケースが多いとされています。また、体を動かしても痛みは悪化しません。

動くと痛みが増す場合は「片頭痛」の可能性大!

片頭痛の原因はまだ一部しか解明されていませんが、すでにわかっている原因の1つが「遺伝的要因」です。そのため、血縁者に「片頭痛もち」がいる場合には、片頭痛の可能性が高いといえます。

症状に個人差はありますが、頭がズキンズキンと痛む、動くと痛みが増す、などが主な特徴です。片頭痛もちの約60%は頭の片側のみに痛みを感じ、残りの約40%の方は両側に痛みを感じるそう。なかには頭痛とともに吐き気が生じる(あるいは実際に嘔吐してしまう)方も。さらに、光や音、匂いなどに敏感になる場合があり、「頭痛が起こったときは暗い静かな部屋でじっとしていたい」という場合には片頭痛の可能性大です。

また、片頭痛の大きな特徴といえるのが「予兆期」「前兆期」の存在。予兆期は頭痛が生じる数時間から1~2日前に起こるもので、あくびが出る、甘いものが無性に食べたくなる、首が痛む、手足がむくむ、疲労感などの症状が現れます。

一方、前兆期が生じるのは、頭痛が起こる1時間前~直前。視界の一部に突然キラキラ・ギザギザとした稲妻のような模様が現れ、次第にそれが広がって視界がさえぎられる、「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる症状がほとんどです。

ただし、予兆期・前兆期が生じるのは一部の方で、こうした症状が現れない方も多くいます。

片目の奥に激烈な痛みを感じる「群発頭痛」

群発頭痛の特徴は、片目の奥をえぐられるような激烈な痛み。また、痛みが生じる側の目から涙が出たり、鼻水、鼻づまり、目の充血などの症状が見られたりします。男性に多いのが特徴です。

これらの症状は一定の期間(2週間~2か月間ほど)ほぼ毎日起こり、その1回の発作は15分から3時間程度とばらつきがあります。この期間を「群発期」と呼び、この期間以外で同程度の痛みを伴うような頭痛が起こることはまずありません。また、群発期にアルコールを摂取するとほぼ確実に頭痛が起こるのも特徴です。

群発頭痛の発生メカニズムは、体内時計を調整している脳の視床下部というところが関連していることが推測されていますが、残念ながら現段階でははっきりとはわかっていません。


「頭痛は我慢」ではない! 原因と対策を考えましょう

頭痛が起こったときは、薬を飲んで、痛みに耐えながらただ治まるのを待つ……そんな対処をしている方も多いと思います。しかし、その対処法が正しくないこともあるのです。

頭痛薬の使いすぎが頭痛を招くことも

頭痛もちにとって、頭痛薬(痛み止め)は強い味方。しかし、頭痛薬の飲みすぎが、逆に「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」という頭痛を引き起こしている可能性もあります。1か月のうち15日以上頭痛があり、10日以上頭痛薬を飲む生活が3か月以上続いている場合には、薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛の)可能性が高いため、ぜひ、脳神経内科(あるいは頭痛外来)など頭痛の診療に詳しい医師がいる医療機関を受診してください。
一般社団法人日本頭痛学会 認定頭痛専門医一覧

頭痛のコントロールを目指そう

頭痛もちの方の多くは、頭痛が起こっても「いつものことだ」と我慢してしまうこともあるはず。しかし頭痛によって生活に支障が出ている状態は、決して「いつものこと」で片づけてよいものではありません。

本当は休みたいにも関わらず無理をして仕事や家事、育児などを行うような状態にある方など、頭痛が自身の生活に支障をきたしていると感じる方は、一度医療機関の受診を検討してみてください。2021年には片頭痛の新しい予防薬(皮下注射薬)が発売されるなど、医療機関での頭痛治療における選択肢も広がってきています。頭痛のコントロールを目指すことは十分可能になってきているのです。

頭痛が起こる頻度やシチュエーションを記録してみよう

  • 月に何回くらい頭痛が起きるのか
  • どんなときに頭痛を起こしやすいのか(天気・環境・月経など)
  • どのような痛みがどの程度続くのか
  • 頭痛が起こる前に共通していることはないか(食事や自分の行動など)

これらの質問に対して、すぐに明確な回答ができますか? 頭痛診療では、こうした問診を非常に重視します。つまり、頭痛をコントロールするためには、まずは「自分自身の頭痛」について知ることがとても大切なのです。

「医療機関を受診するほどでもない」と思うような場合でも、このような記録をすることで、自分が頭痛を起こしやすいシチュエーションを明確化し、頭痛を意図的に回避することができるかもしれません。まずは、自分の頭痛について記録をとることから始めてみましょう。

経験したことのない程の痛みを感じた場合には、すぐに医療機関の受診を!

頭痛のなかでも、いままでに経験したことのないような強い痛みを感じた場合や、数週間にわたって痛みが増していく場合には、くも膜下出血などをはじめとする二次性頭痛の可能性があるため要注意。なかには「頭をハンマーで殴られたような痛み」と表現する方も。

頭痛のほか、体が動かしにくくなったり、ものが二重に見えたり、意識が遠のくような感覚が生じたりした場合には、すぐに脳神経外科または脳神経内科を受診しましょう。


多くの方にとって身近な「頭痛」。意外と知らないことが多かったという方もいるのではないでしょうか。長年頭痛に悩んでいるという方も、これを機に「頭痛のコントロール」を目指してみませんか?

教えてくれたのは・・・
五十嵐 久佳先生
富士通クリニック頭痛外来・北里大学医学部神経内科客員教授

1979年に北里大学医学部を卒業。現在は神経内科医として、特に頭痛の診断や治療にあたる。患者に寄り添う丁寧な診療に、妊娠中や授乳中の女性からの信頼も厚い。自身の知見を活かし、テレビ・雑誌・Webなど幅広い分野で活躍中。主な監修に『頭痛女子バイブル』『さよなら!不快症状 頭痛』『頭痛をなんとかしたい 解消&予防』など。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:相馬 涼
3

この記事をシェアする

関連キーワード

HELiCOとは?

『HELiCO』の運営は、アイセイ薬局が行っています。

アイセイ薬局が掲げるビジョンに
ヘルスデザインカンパニー(Health Design Company)というものがあります。
『あなたとともに、あなたの健康を描く』
そういう思いが込められています。
健康を描くのに必要なのは「薬」だけではありません。だから、わたしたちは、調剤薬局企業でありながら、健康情報発信も積極的に行っています。

HELiCOをもっと知る

Member

HELiCOの最新トピックや新着記事、お得なキャンペーンの情報について、いち早くメールマガジンでお届けします。
また、お気に入り記事をストックすることもできます。

メンバー登録する

Official SNS

新着記事のお知らせだけでなく、各SNS限定コンテンツも配信!