違いを正しくリメンバー!もの忘れ or 認知症
最近テレビでよく見るあの人の名前が思い出せない、欲しいものの固有名詞が出てこず「ほら、あそこにあったあれ、あれだよ」なんて言ってしまうことが増えた…これってもしかして認知症?と心配になったことはありませんか?実は「もの忘れ」と「認知症」には違いがあるんです。ここでしっかり確認しておきましょう。
脳にあるデータベースから情報が引き出せなくなっている状態で、加齢に伴って頻度が高くなる。体験の一部を忘れる、ヒントがあれば思い出せるといった特徴がある。
脳にあるデータベースそのものの機能が衰えた状態。体験を丸ごと忘れる、それまで問題なくできていた動作ができなくなるといった特徴がある。
認知症の一歩手前の状態をMCI(軽度認知障害)といい、年齢相応以上に少し前のことでも忘れてしまう、家事や仕事などで同時にいくつかのことを並行してできなくなるといった変化がみられます。この段階で予防として積極的に脳に刺激を与えるように努めると、症状の進行を防ぐことや、正常な状態まで回復することができます。
そして、初期の認知症では、仕事のミスが増える、外出がおっくうになる、身だしなみが乱れる、長く使っていた家電が使えなくなるといった、軽度な症状がみられます。
身近な人にこうした変化を感じたら、一度かかりつけ医やもの忘れ外来などを受診することをおすすめします。
【監修】浦上 克哉 先生
(鳥取大学医学部保健学科認知症予防学講座教授)
日本認知症予防学会理事長も務める、認知症診断・予防のエキスパート。著書に『科学的に正しい認知症予防講義』(翔泳社)など。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.43
「もの忘れ」より転載(2022年3月15日発行)