目の不調

名画よく見えない?展

加齢に伴って起こる代表的な目の病気である、白内障、緑内障、加齢黄斑変性。これらの病気には、視界や視野の変化が生じるという特徴があります。世界的名画が、例えばこんなふうに見えたなら要注意。視界・視野に違和感や異常を感じたら、早めに眼科を受診しましょう。

名画①②
白内障

加齢によって水晶体が濁り、光が通りづらくなって見えにくくなる病気。白内障になると、①かすむ、②まぶしく感じるといった見え方になることが多く、他にも水晶体の濁る部分や濁り方の度合いによって見え方はさまざまです。
初期も含めると80歳では100%の人が白内障であり、高齢者の病気として珍しいものではありません。初期の段階では点眼薬で進行を抑える治療を行い、症状が進むと水晶体を人工のレンズ(眼内レンズ)に入れ替える手術を行うのが一般的です。手術は15~20分程度で終わることが多く、手術によって見え方の改善が期待できます。
単焦点眼内レンズは近距離・遠距離の、特定の距離でのみピントが合うように作られているので、手術後にどの距離を裸眼で見たいかを医師とよく相談して、入れる眼内レンズを決定します。手術後、眼内レンズでピントが合う距離以外を見るときには眼鏡が必要です。
一定の条件をクリアできれば、遠近両用メガネのように複数の距離にピントが合う多焦点眼内レンズを選べることもあります。

名画③④
緑内障

目と脳をつなぐ視神経が障害され、減っていくことで次第に視野が狭くなっていく病気。40歳以上の5%(20人に1人)が緑内障であると分かっており、進行すると最悪の場合は失明に至ります。
初期では③視野の一部がぼやけて見えはじめ、病気が進行すると④視野全体がぼやけて見えるようになる特徴があり、その症状を「霧の中にいるようだ」と表現する人も。
また、人間は左右両方の目から入った情報を脳で統合して「見える」と認識するため、どちらか一方の目に緑内障の症状があっても、両目で見ると視野に異常を感じないことがあり、これによって緑内障の発見が遅れてしまうこともあります。
点眼薬やレーザー治療である程度病気の進行を遅らせることができますが、進行した状態から戻すことはできないので、早期発見が重要です。眼圧の高さは緑内障の発症リスクと関連していますが、眼圧が正常でも緑内障になる人も多いので、定期的に眼科を受診することをおすすめします。
手術を行う場合は入院が必要になることが多いですが、近年では、数十分程度でできる日帰り手術も選択肢として加わりました。初期から中期の緑内障の場合は日帰り手術を行うことが今後増えるかもしれません。

名画⑤⑥
加齢黄斑変性

外部から目の中に入った光が像を作る、網膜の中心部(黄斑)が出血したりむくんだりすることによって視力の低下や視野の異常が起こり、最悪の場合失明に至る病気。比較的欧米で患者数が多い病気でしたが、日本でも高齢化や生活の欧米化などで患者数が増えており、50歳以上の人の約1%にみられます。
最初は⑤視野の中心が歪んで見え、進行すると⑥中心が見えなくなり、さらに進むと色が分からなくなります。
日本人に多い滲出型(しんしゅつがた)という加齢黄斑変性では、症状の進行が早く、突然視野の異常を自覚するという特徴があります。視力の維持や改善を目的として薬物療法やレーザー治療が行われます。ダメージを受けた部分は元に戻らないので、早期発見が重要です。病気を根本から治すことを目的とした、iPS細胞を使った治療法の研究も進んでおり、実用化が近づいています。

画像:井上 賢治 先生

井上 賢治 先生

井上眼科病院グループ理事長

140年の歴史をもつ眼科専門病院で理事長を務める、眼科診療のエキスパート。著書に『視力0.1でも豊かな生活を送る目の健康を守る本』(幻冬舎)など。

画像:ヘルス・グラフィックマガジンvol.41「目の不調」より転載(2021年9月15日発行)

ヘルス・グラフィックマガジンvol.41
「目の不調」より転載(2021年9月15日発行)

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