あれもこれも、花粉ショー
花粉症の主な症状は、水のような「鼻水」、繰り返す「くしゃみ」、苦しい「鼻づまり」。これらの「鼻症状」以外にも、体のさまざまな部位に症状が現れることがあります。

花粉が目の粘膜に付着し、アレルギー性結膜炎を起こすことで生じます。かゆみのほかに、目の充血やごろごろとした異物感、涙目、目やになどの症状が出ることも。


花粉を原因として気道の粘膜に炎症が起こり、せきが出ることがあります。また、喘息の人はアレルギー性鼻炎も合併することが多く、花粉シーズンは症状が悪化することが報告されています。


花粉を飲み込むことにより、不快感や下痢・便秘などの胃腸症状が生じます。また、消化管に炎症が起きてさまざまな症状を引き起こす好酸球性胃腸炎も、花粉により悪化することがわかっています。


花粉症による鼻粘膜の炎症が鼻の奥にある副鼻腔にまで広がると、頭が重い感じや、額・目・頬などに痛みを感じることがあります。


花粉が原因の肌荒れは「花粉皮膚炎」とよばれ、肌の乾燥や赤み、かゆみなどが生じます。皮膚には外からの異物の侵入を防ぐバリア機能が備わっていますが、乾燥などでバリア機能が低下すると花粉が侵入しやすくなり花粉皮膚炎が起こります。


のどの粘膜に花粉が付着するとそこでアレルギー反応が起こり、かゆみや異物感が生じます。また、鼻づまりにより口呼吸の時間が増えてのどが乾燥することでかゆみが生じることもあります。


花粉症の人の中には、特定の果物や野菜などを食べると口の中の腫れやのどの痛みが生じる人がいます。通常はしばらくすると自然におさまりますが、豆乳ではまれにアナフィラキシー症状が起こることがあります。過去に豆乳を問題なく飲めていた人は心配ありませんが、初めて豆乳を飲む人は念のため少量からとるようにしましょう。


【監修】川島 佳代子 先生
(大阪はびきの医療センター 耳鼻咽喉・頭頸部外科 主任部長)
アレルギー性鼻炎診療のエキスパート。一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が推進するプロジェクト「花粉症重症化ゼロ作戦」にてアレルギー性鼻炎の重症化予防の啓発活動なども行う。

ヘルス・グラフィックマガジンvol.54
「花粉症」より転載(2024年12月16日発行)