課長と部長の、不調な日常。
加齢によって目の調整力が低下してくると、ものが二重に見えたりぼやけたりすることがあります(乱視)。我慢して無理に見ようとしていると眼精疲労につながることもあるので、眼鏡などで見え方を調整しましょう。また、白内障になっている場合も、ものが二重三重に見えることがあります。
起床時の目やには、目の代謝活動によって発生した老廃物なので心配ありません。細菌やウイルス感染が疑われる目やには黄緑色でドロッとした膿状(細菌感染)、涙のようにさらっとした水状(アレルギー)、白くネバっとしている(ウイルス感染)など。このような場合は清潔なティッシュや綿棒などでふき取り、その後石鹸で手を洗います。医療機関では症状に応じて抗菌作用のある目薬が処方されます。
手元の小さい字が見づらかったり、近くから遠く/遠くから近くに視線を変えたときにピントが合わなかったりする場合は、老眼の可能性があります。老眼の症状は40歳前後で出始めることも珍しくありません。我慢して過ごしていても老眼の進み方が変わるわけではないので、一度眼科で検査をしてみましょう。
暗さを感じやすかったり、視界が白っぽくかすんで見えたりする場合、初期の白内障が起きている可能性があります。室内を明るくしたり、電気のスイッチ部分に蓄光シールを貼ったりして安全に過ごすための工夫をしましょう。
目のかゆみは結膜の炎症によって引き起こされる症状のひとつ。結膜の炎症にはアレルギー性結膜炎(花粉、ダニ、ペットの毛などが原因)と感染性結膜炎(細菌、ウイルスなどが原因)があり、炎症の原因を調べるには眼科の受診が必要です。かゆいからといって目をこすると角膜を傷つけたり、手に付いている菌などが目に入って症状が悪化したりするので注意。
実際にはいないのに、視界の中に黒い虫のようなものが飛んでいるように見える症状のことを飛蚊症(ひぶんしょう)といいます。透明なアメーバ状のもの、糸くずや髪の毛状のものがちらつく場合も。加齢によっても起こり、通常は治療の必要はありませんが、動いているものの数が増えたり、色が濃くなったりする場合は眼科の受診を。
普通は苦痛を感じないような光がまぶしく感じられる場合、初期の白内障の可能性があります。他に、角膜などに炎症が起きてまぶしさを感じている可能性も。いずれも、治療によって見え方は改善するので、原因を調べるためにも眼科を受診しましょう。
悲しくないのに涙が出てきてしまうのは、目頭にある鼻涙管(びるいかん)という涙を排出する管が詰まっているからかもしれません。詰まりを取り除く治療で症状は改善します。他の原因としては、加齢によってたるんだ結膜が鼻涙管の入り口をふさいでいる場合や、結膜炎の症状、白内障の初期症状であることが考えられます。原因を調べてもらうためにも、一度眼科を受診しましょう。
黄色っぽい:肝臓や胆嚢の不調や機能低下が疑われます。一度内科を受診しましょう。
ほくろのような点がある:白目にできるしみのようなもの(結膜母斑:けつまくぼはん)で、多くの人にみられ、治療の必要はありません。ただ、皮膚のほくろのように、まれに腫瘍化する場合があるので、心配な場合は眼科へ。
黄色く盛り上がっている部分がある:これも加齢によってできるしみのようなもの(瞼裂斑:けんれつはん)です。紫外線、涙不足による乾燥、ハードコンタクトレンズによる物理的な刺激などが原因と考えられています。炎症を起こしている場合は点眼薬による治療が行われますので、気になる場合は眼科を受診しましょう。
井上 賢治 先生
井上眼科病院グループ理事長
140年の歴史をもつ眼科専門病院で理事長を務める、眼科診療のエキスパート。著書に『視力0.1でも豊かな生活を送る目の健康を守る本』(幻冬舎)など。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.41
「目の不調」より転載(2021年9月15日発行)