ココロがつらいと思ったら
災害は誰にとっても大きなストレスで、心にも、目には見えない負担がかかります。
もし、自分が自分でなくなってしまったように感じても大丈夫。
それらは、大きなストレスを前にしたときに起こる、自然で正常な防御反応だからです。
災害時、避難所には保健所のスタッフや、心のケアを専門とする医療者が定期的に巡回訪問を行っています。こうした専門家に相談することもできます。
不安、恐怖、イライラ、落ち込み、怒り、罪悪感、無気力……これらは、身に迫る危機から自分を守り、ストレスに対応するために誰にでも起こる自然な心の反応です。集中力や思考力が低下したり、短期的な記憶喪失などが起こることもあります。また、動悸や手足の冷え、食欲減退、嘔吐や下痢、頭痛、腹痛など、ストレスが身体反応として現れたり、ケンカや暴力などの攻撃的行動として現れることもあります。
怒りや不安、悲しみなどの感情は、我慢せず表に出してもいいし、無理に出さなくても大丈夫。つらいこと、困っていることを、家族や友人など、心を許せる人に話してみると、気が楽になることもあります。できるだけ災害以前の生活リズムを保つ(食べる・寝る・動く・リフレッシュする)ことも、気持ちを和らげるのに役立ちます。呼吸が浅いと気づいたなら、深呼吸。不安や緊張が少し楽になるはずです。
災害後、急にわがままを言ったり、赤ちゃん返りしたり、寝つきが悪くなる、反抗的になる……など、子どもに普段と違う様子がみられるかもしれません。そんなときは、一緒にいる時間やスキンシップを増やし、子どもが話したがることを、話したいだけ、否定せずにゆっくり聴く、災害のごっこ遊びなどを無理にやめさせない、保護者が落ち着きを取り戻し、できるだけ災害以前の生活リズムを保つ、などの関わりを。
もし、心がつらく、生活が思うように送れない日々が長く続くときには、第三者に相談することで心が軽くなることがあります。
▶︎厚生労働省[まもろうよ こころ]
電話やSNSなど、さまざまな手段で相談ができます。
匿名での相談も可能です。
【監修】髙橋由美 先生
(仙台青葉学院短期大学看護学科地域・在宅看護学 教授)
【特別協力】阿部幹佳 先生(仙台青葉学院短期大学看護学科精神看護学 准教授)
自らも東日本大震災の被災経験をもつ災害看護学のエキスパート。現在も被災地に暮らす高齢者に対する健康支援等を行っている。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.48
「災害と健康」より転載(2023年6月15日発行)