きこえにくい?は、ほっとけない。
「きこえない」「きこえにくい」は年のせいだけでなく、若い人にもしばしば起こる耳の不調です。「難聴」=完全にきこえない状態と考えがちですが、「きこえにくい」「きこえに不便を感じる」状態も難聴に含まれます。「私は大丈夫」と思わずに、気になる症状や当てはまる項目がないか、チェックしてみて!
老化現象のひとつとして誰にでも自然に起こってくる難聴。60歳頃から自覚する人が増え、両耳とも高い音域から徐々にきこえにくくなる。有効な治療法は今のところないものの、本当に加齢のみが原因の難聴かどうかを、一度耳鼻咽喉科で診てもらうのが◎。補聴器を適切に装用することで生活の不便さを改善できる。
ある日突然、片耳だけがきこえなくなったり、きこえが悪くなったりする原因不明の難聴。過労や体調不良をきっかけに発症するケースが多い。早期治療で聴力が回復する場合も多いため、気がついたらできるだけ早く(遅くとも2~3日以内に)耳鼻咽喉科へ。
ヘッドホンやイヤホンを大音量で使い続けることで起こる難聴。徐々に進行するため自覚しにくいが、一度低下した聴力は回復せず、有効な治療法もないため予防が重要。ヘッドホンやイヤホンの音量は最大音量の60%程度までとし、ノイズキャンセリング機能を活用すること、長時間使用を避け、耳を休める時間(1時間きいたら10分休む)をつくることで予防に努めて。
ストレス難聴とも呼ばれ、片耳もしくは両耳の低音域のみ、きこえなくなったり、きこえが悪くなる難聴。20~40歳代の女性に多く、ストレスや過労をきっかけに発症することが多い。数日~数週間で治るケースが多いものの、再発を繰り返すことも。睡眠をしっかりとり、ストレスを溜めない生活を大切に。一度は耳鼻咽喉科受診を。
※ここでは代表的な難聴を紹介しています。難聴の種類や原因はほかにもあるため、きこえに気になる点があれば受診を検討しましょう。
【監修】小森 学 先生
(聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教室 主任教授)
「耳」診療のエキスパート。耳科手術を多く手掛けるほか、小児の耳鼻咽喉疾患も専門とする。補聴器適合判定医・補聴器相談医。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.52
「耳の不調」より転載(2024年6月17日発行)