ゲリラ腹痛注意報
突然襲ってくる腹痛に、冷や汗をかいた経験のある人も多いはず。あのつらさと緊張感は、できれば回避したいところ。下痢とは便の水分量が多くなっている状態を指しますが、そのとき体内ではどんなことが起きているのでしょうか。原因とあわせて学んでみましょう。
浸透圧性下痢 浸透圧が高い(水分を引き付ける力が強い)食べ物が腸内にあると、腸の外から水分が引き出されます。そして増えた水分の吸収がうまく行われず、下痢に…。
主な原因人工甘味料(キシリトールなど)の過剰摂取や一部のフルーツ・豆類、牛乳を飲むと下痢をする乳糖不耐症など、食品によるもの。
分泌性下痢腸内にウイルスや細菌が入ると、悪いものを排除しようと腸粘膜からの水分分泌が増加し、水のような下痢(水様便)になります。発熱や吐き気を伴うことも。
主な原因ノロウイルスやコレラなどのウイルス・細菌によるもの。
ぜん動運動性下痢食べたものを肛門側に移動させる腸の動き(ぜん動運動)が活発になりすぎると、食べ物が腸内にとどまる時間が短くなり、水分の吸収が不十分なまま下痢として排泄されます。
主な原因暴飲暴食により消化不良となった食べ物や、冷たいもの、油っこいもの、香辛料などによる刺激、ストレスや甲状腺の異常などによるもの。
滲出性下痢 腸粘膜に炎症が発生し、そこから細胞液などがにじみ出ることにより便の水分量が増加します。また炎症による腸の水分吸収能力の低下も下痢の要因です。
主な原因潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸内で炎症が起こることによるもの。
※このほか、薬剤が原因となる場合もあります。1週間ほど下痢が続く場合には、医療機関の受診を検討しましょう。
【監修】鳥居 明 先生
(鳥居内科クリニック 院長)
下痢・便秘治療のエキスパート。慢性便秘症診療ガイドラインの制作で副委員長を務めるなど、豊富な経験を活かしながら、体に優しい検査・治療をモットーとして日々診療を行っている。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.35
「下痢・便秘」より転載(2019年9月17日発行)