耳の中をのぞいてみよう!
私たちが普段「耳」と呼んでいる部位には、音(空気の振動)を捉えるとともに、音のする方向や位置を特定する役割があるよ。左右の耳が音を受け取るわずかな時間差や音の強弱で方向を特定しているんだよ。
耳介で捉えた音を中耳に届ける道だよ。大人で3cmくらいの長さがある。手前の1/3くらいまでは軟骨で、それより奥は硬い骨に囲まれている。皮膚は薄くて、案外傷つきやすいんだ。
外界からの音を受け取って、その振動を中耳に伝えるよ。厚さは約0.1mm。耳垢の一部は、実は古くなってはがれた鼓膜だって知ってた?
鼓膜に集まった音は、3つの小さな骨を介することで増幅され、22倍もの振動エネルギーになって内耳に伝わっていくよ。
中耳の中は空気で満たされていて、太鼓のように音を増幅させるのに役立っているよ。
中耳と鼻の奥をつなぐ管で、普段は閉じているけど、あくびしたりすると開いて鼓室内の圧を調整しているよ。だけど、かぜをひくと、耳管を通ってのどや鼻から耳へと炎症が広がってしまうことも。かぜの後に中耳炎になったこと、あるでしょう?
かたつむりみたいなこの部屋で、振動として伝わってきた音のエネルギーは電気信号に変換されるんだ。
電気信号となった音は、神経を通って脳に伝えられ、初めて「音」として認識されるんだよ。
体の傾きや加速度を感知して、姿勢を保つ役割を担っているよ。半規管は3つの管だから三半規管とも呼ばれる。耳のもう1つの大事な機能を担う部位だね。
【監修】小森 学 先生
(聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科学教室 主任教授)
「耳」診療のエキスパート。耳科手術を多く手掛けるほか、小児の耳鼻咽喉疾患も専門とする。補聴器適合判定医・補聴器相談医。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.52
「耳の不調」より転載(2024年6月17日発行)