足はけっこう危険地帯
「足の悩み」と一口に言うものの、日本人に多い主なトラブルを挙げてみるだけでも、こんなにたくさんあるんです。あなたの足にも心当たりはありませんか?
爪が内側へ巻いてしまった状態で、通常痛みは伴わない。親指に起こりやすく、指にかかる荷重バランスが悪い人や、ほとんど歩かない高齢者に多い。
爪の端に皮膚が食い込んで炎症が起きている状態。痛みがあり出血もしやすい。巻き爪が悪化して生じることがほとんどだが、巻いていなくても起こりうる。
水虫と同様、白癬菌(はくせんきん)が爪に感染したもの。爪が白~黄色に変色して厚くなり、白い筋ができたりボロボロと崩れるのが特徴で、多くは足の水虫とともにみられる。
親指の付け根が発作的に痛む病気。関節をつくる骨同士がぶつかり合い、かみ合わせが悪くなった状態。親指を上へ反らせなかったり、親指が曲がらなかったりするならこの病気の可能性大。痛風と間違えられることも。
足指の付け根(特に中指と薬指の付け根~足指の内側)にしびれや痛みが現れる病気。中高年女性に多く、足の骨格構造(アーチ)の崩れが元になって足全体が歪むことで、神経が圧迫されて起こる。
足の指が曲がったままになり戻らない病気。指の曲げ伸ばしにかかわる腱が過剰に引っ張られたり、靴が脱げないように指先をギュッと縮めて歩いたりすることで起こる、代表的な足の変形。
親指の付け根が「くの字」に曲がってしまう病気。女性に多く、靴が原因とされがちだが、生まれもった足の骨格や骨格構造(アーチ)の崩れが根本にある。進行すると歩行にも支障をきたし、手術が必要になることも。
足の骨格構造(アーチ)の崩れや、足に合わない靴などが原因で局所に圧力が集中し、皮膚の角層が厚く硬くなった状態が「たこ」。圧力にねじれの力が加わると、硬い芯ができて皮膚に食い込み痛みを伴う「うおの目」となる。
白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が皮膚に感染して起こる病気。かゆいというイメージがあるが、かゆみを伴わないことも多く、共用の足ふきマットやスリッパなどを介して感染が広がる。
たこやうおの目によく似た小さなできもの。ヒトパピローマウイルスと呼ばれるウイルスが皮膚の小さなキズから入り込むことで起こる。子どもにもよくみられる。
足裏には汗を分泌する汗腺が多く存在し、たくさんの汗をかく上に乾きにくい。皮膚にいる常在菌がこうした汗や垢を分解することで生じるイソ吉草酸(きっそうさん)などの物質が原因となってにおう。
朝起きて最初の一歩(特にかかと)に強い痛みが出るのが特徴の病気。足の骨格構造(アーチ)の崩れが元になって、足裏を覆っている「足底腱膜」が必要以上に引き伸ばされ、足底腱膜の付け根であるかかとに痛みが出る。男性に多い。
【監修】桑原 靖 先生
(足のクリニック表参道 院長)
日本で初めて「足専門」のクリニックを開設し、年間6000人もの足の診療を行う、足病変診療のエキスパート。一般向け著書に『女性のつらい「外反母趾」がラクになる!』(PHP研究所)、『元気足の作り方』(NHK出版)など。
足のクリニック表参道:東京都港区南青山5-6-24南青山テラスハウス3F
TEL:03-6434-1082
URL:https://ashi-clinic.jp/
ヘルス・グラフィックマガジンvol.38
「足の悩み」より転載(2020年6月15日発行)