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大きな病気になる前に!知っておきたい「メタボリックシンドローム」

1999年にWHO(世界保健機関)が提唱した「メタボリックシンドローム(通称:メタボ)」という言葉。単にお腹が出ている、ぽっちゃりとした体型を指していると思っていませんか? じつはそれは大きな勘違い。メタボリックシンドロームは単なる肥満症ではなく、命に関わる病気のリスクが高い状態を指しているのです。

そう聞くと少し怖くなってしまうかもしれませんが、メタボは予防や改善が可能です。まずは、メタボをきちんと理解し、病気のリスクを減らすために日々の生活に気を遣ってみませんか?

教えてくれるのは…
砂山 聡先生
水道橋メディカルクリニック 院長

肥満や生活習慣病に特化した研究を続けてきた肥満治療におけるスペシャリスト。虚血性心疾患危険因子の臨床・研究、そして最近では院内の運動療法施設における肥満症の減量治療、心疾患リハビリテーション(心筋梗塞や心臓手術後の運動療法)などにも精力的に取り組んでいる。テレビ番組や雑誌等のメディアで紹介される機会も多い。肥満症患者のための記録式ダイエット法を考案するなど、ダイエット指南書も多く著している。

メタボで高まる脳卒中や心筋梗塞のリスク

メタボリックシンドローム(通称:メタボ)は内臓脂肪が蓄積し、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を複数発症した状態を指します。こうした生活習慣病によって動脈硬化が起こると、最終的には脳卒中や心筋梗塞などといった命に関わるような重大な病気のリスクが高まります。

高血圧や糖尿病、脂質異常症は、それぞれ単体でも動脈硬化を引き起こす要因になりますが、複数が組み合わさることで、たとえそれぞれが軽度でも、動脈硬化がより進行しやすくなることがわかっています。

単に太っている、お腹が出ていることを「メタボ」と認識している人もいますが、じつは「命に関わる病気にかかるリスクが特に高まっている肥満状態」がメタボなのです。

男性に多い「リンゴ型肥満」に要注意!

メタボのことを知るうえで欠かせないキーワードが「内臓脂肪型肥満」です。同じ脂肪でも、内臓脂肪と皮下脂肪ではそれぞれつく部位やつき方が異なります。

内臓脂肪とは

胃や腸などの臓器の周りにつく内臓脂肪は、蓄積するとリンゴのような体型(リンゴ型肥満)になります。そして、内臓脂肪は「溜まりやすく、燃えやすい」という特徴があります。これは内臓脂肪が血流が盛んなところに蓄積しているからです。血流が盛んだと、脂肪をエネルギーとしてしまい込む脂肪細胞のなかに血中の脂肪が溜まりやすく、すぐに内臓脂肪となる半面、血中にも戻っていきやすいのです。

しかし、これは裏を返せば内臓脂肪から分泌される、代謝異常や免疫異常、心血管障害などの原因となるさまざまな物質も、頻繁に血液に乗って全身を巡るため、体に悪影響を及ぼしやすいということになります。こうした特徴から、メタボにおいてはこの「内臓脂肪」の量が鍵となります。

皮下脂肪とは

一方、下腹部や腰回り、お尻などに皮下脂肪が蓄積すると、洋ナシのような体型(洋ナシ型肥満)になります。内臓脂肪と異なり、血流の影響をほとんど受けないため、「溜まりにくく、燃えにくい」という特徴があります。お腹に軽く力を入れた状態でおへその周辺をつまみ、たるみがつかめる場合には腹筋の外側に脂肪がついている「皮下脂肪型肥満」の可能性が高いといえるでしょう。

なお、内臓脂肪の蓄積は男性に多く、皮下脂肪の蓄積は女性に多いことがわかっていますが、なぜ男女性差による違いがあるのか、その理由はいまだ解明されていません。

あなたは大丈夫? メタボチェック

内臓脂肪の蓄積具合の目安となるのが「腹囲」です。男女でそれぞれにメタボ診断の指標となる「基準腹囲」が設けられています。

「腹囲」が男性85センチ以上、女性90センチ以上の場合は「腹部肥満」に該当します。腹部肥満の場合、「血糖(空腹時血糖)」「脂質(中性脂肪、またはHDLコレステロール)」「血圧」の数値によって、メタボに該当するかどうかを判断します。

なお、2008年以降40歳から74歳を対象として実施されている「特定健診(メタボ健診)」は、メタボの早期発見・早期対策のために行う健診で、費用の負担なく受けることができます。企業に勤めている場合に毎年受ける定期健康診断(法定健診)だけでなく、こうした健診も活用して「まずは自分自身の状態を知る」ところから始めてみるのがよいでしょう。

この数値ってどんな意味?健診結果の見方を解説
健康診断は、多くの方がかかりやすく、放置すると命に関わる病気の兆候がないかを確かめています。しかし、健康診断を受けるだけで満足している、あるいは結果を見ても自分の体がどんな状態か、どのようなことに気をつけたらよいかわからないという方もいるのではないでしょうか。

本記事では、健康診断で行う主な検査項目と目的、それぞれの数値の見方、日々の生活で気をつけるべき点などについて解説します。
https://helico.life/monthly/230708healthcheck-results/
健康診断のあの検査、いったい何を調べているの?
「病気は早期発見が重要」とよくいわれます。しかし、実際には、初期段階では自覚症状がほぼない病気もあり、検査を行わないと早期発見が難しいケースも多々あります。そこで重要な役割を担っているのが「健康診断」。客観的な数値で体の状態をとらえる健康診断は、異常を早めに検知できる機会です。

本記事では、定期健康診断で実施する検査項目と、それらの目的などを解説します。
https://helico.life/monthly/230708healthcheck-kiso/

メタボ予防・改善には「食事」と「運動」が大切

メタボの予防・改善の基本は、やはり食生活の乱れ(食べすぎ・飲みすぎ・栄養の偏り)や、運動不足といった生活習慣の改善です。「結局それしかないのか……」と思った人もいるかもしれません。

しかし、たった数日で何キロもの脂肪が蓄積したわけではなく、長期的な毎日の積み重ねの結果であるのと同様に、脂肪を落とすにも長期的な視点で考え、毎日の習慣を見直すことが何よりも重要なのです。

「運動不足を解消してください」と言われると、ハードな運動や筋トレをしなくてはいけないと思いがちですが、注目したいのは「日常における活動量」。たとえば在宅勤務でデスクワーク(通勤等含めて歩くことがほぼない生活)をして週に2回ジムに行く人よりも、ジムには通っていないものの、毎日通勤時に1駅分歩いたり駅で階段を使ったりしている人のほうが、1週間のトータルで見ると消費カロリーが上回っていることが往々にしてあります。

以前は「運動は数十分間続けてやらないと意味がない」などと言われていたこともありますが、いまではたとえ1回の運動が5分から10分であっても、その強度が低かったとしても、それを積み重ねて総運動量を増やすほうがよいと考えられています。

現在は、メタボ改善のための指導や治療をしてくれる専門外来も多くあります。

先ほど紹介した特定健診で「メタボ該当者」あるいは「メタボ予備軍」と判定された場合、保健師や管理栄養士などの専門スタッフのサポートのもと生活習慣を見直す、特定保健指導を受けることができます。自分1人ではなかなか続かないという方は、こうした制度を活用するのもひとつの方法です。

内臓脂肪は適切に生活改善を行えば、誰でもしっかり落とすことができます。現代の医療では予防ができない病気がある一方で、メタボやメタボによって引き起こされる脳卒中や心筋梗塞は予防・改善ができるということでもあるのです。

そのままにしておくと命に関わる病気のリスクが高まるメタボ。心がけひとつで予防・改善できる病気だからこそ、これを機に普段の生活を少しだけ変えていくところから始めてみてはいかがでしょうか。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:フクイヒロシ 図版:新藤麻実(linen inc.)
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