自然の力でリラックス
冬に森林浴?? そうなんです。森林浴=春~夏のイメージがありますが、実は冬でも木々のある場所に身を置くことで、同様のリラックス効果が得られるそう。閉じこもりがちになる冬、運動不足解消もかねて外へ出て、身近な自然のもつパワーを活かしたストレスケアを実践してみませんか?
森林をはじめとして、美しい自然に触れると、なんとも言えない「心地よさ」を感じることがありますが、自然セラピーとは、まさにこうした自然がもっている力を上手に利用して、ストレスや体の不調を改善しようとするもの。人は自然に触れることで、①働きすぎの脳が休まる、②自律神経が調整される、③ストレスホルモンが減少する、④免疫細胞の活性が高まる、といったさまざまな健康効果(生体調整効果)を得られることが、近年次々と科学的に証明されてきました。
自然セラピーで大切なのは、自分が心地よいと思うもの、好きと感じる自然を選ぶこと。十分なリラックス効果を得るうえでは、「安全」が確保されていること、「怖い・寒い(暑い)・嫌い」がないことが大前提。虫が大嫌いな人が森に入っても、当然ながらリラックスはできません。それと同じで、冬に屋外で自然の恩恵を受けるには、マフラーや手袋等での十分な防寒が必須。その点を忘れずに、さっそく身近な公園へ出発!
こうした自然がもつ力の恩恵は、わざわざ山や森へ行かずとも、青葉が茂っていなくとも、木々のある公園や小道の散歩、庭木の観賞や土いじり、屋内に飾られた花を眺めたり、無垢の木材テーブルなどに触れることでも得られるそう。冬に森林浴なんて……とあなどるなかれ。自然のもつ力は想像以上なのです。
【監修】 宮崎良文 先生
(千葉大学環境健康フィールド科学センター自然セラピー研究室 名誉教授)
森林浴をはじめ、自然のもつ力を科学的に検証し、予防医学的な価値を見出した「自然セラピー」研究の第一人者。著書に『Shinrin-Yoku(森林浴): 心と体を癒す自然セラピー』(創元社)、『自然セラピーの科学』(朝倉書店)など多数。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.50
「肌荒れ」より転載(2023年12月15日発行)