きずの応急手当 UP to DATE
切り傷やすり傷をつくってしまったとき、湿潤療法の考え方に基づいて、慌てず、家庭でできる手当の方法をチェックしておこう!
患部を流水で洗い、傷口や周りについた汚れをしっかり落として、清潔なペーパータオルやガーゼで水気を拭き取ろう。
※出血が多い場合には、洗うとさらに出血する可能性があるので、止血を優先してOK。もちろん患部の消毒は不要です。
出血があれば止血を。ガーゼやティッシュペーパーで押さえると傷口に張りつき、はがす際に再出血しやすいため、家庭にある食品用ラップを活用するのがお勧め。ラップを患部にあて、その上からタオルやガーゼなどで覆って局所的にぐっと押さえよう。
※血が止まったか確認するために中途半端に何度も圧迫をやめるのはNG。少なくとも15分程度、不快でない強さで患部を圧迫し続けて。
※市販薬の「白色ワセリン」をラップに塗ってから傷口にあてると鎮痛効果UP!
止血が完了したら、湿潤療法に適した素材のばんそうこうや保護材をきずにあてよう。手元にない場合には、白色ワセリンを塗った食品用ラップで保護してもOK。傷口からしみ出る体液が多いときは、ラップの上からガーゼや包帯を巻いて、あふれた分の体液を吸収させよう。
1日1回は、ばんそうこうや保護材をはがしてきずの状態(うみや腫れ、赤みがないか)を確認しよう。貼り替えるときには傷口や周りの皮膚についた汚れや汗をよく洗い流そう。
※夏季や代謝の活発な子どもは特に、ばんそうこうを貼った皮膚にあせもなどができやすいので要注意。
傷口からの体液を保持して潤いを保ってくれる代表的な素材として知られるのが「ハイドロコロイド」。ハイドロコロイドを使用した市販のばんそうこうには、キズパワーパッド(ジョンソン・エンド・ジョンソン)や、ケアリーヴ治す力(ニチバン)、ハイドロパッド(浅田飴)などがある。その他の保護材として、プラスモイスト(瑞光メディカル)も◎。
◉洗っても傷口に異物(砂や木片、ガラスなど)が残っている
◉1時間ほど止血しても血が止まらない
◉人や動物に噛まれた
◉異物が深く刺さっている(取り除かずにそのまま医療機関へ!)
◉痛みが強くなっている
◉発熱したり、患部が腫れてきた
◉患部より末端の部位にしびれや動かしにくさを感じる
◉その他、異変を感じた
【監修】手島 玲子 先生
(てしまクリニック 形成外科・皮膚科 院長)
きずをきれいに治すエキスパート。子どもを対象とした湿潤療法の講座や、保護者向けの講座を開催するなど、積極的に湿潤療法の普及活動を行っている。
●てしまクリニック:東京都文京区小石川1-3-23-B1F
URL: http://teshima-hifu-keisei.com/
ヘルス・グラフィックマガジンvol.30
「きず・やけど」より転載(2018年7月17日発行)