「フェーズフリー」で、無理せず備える。非常食は普段食!!
備えたいけど、場所をとるし、割高だし、いつの間にか賞味期限が切れてるし…なんて、非常食(長期保存食)の備蓄を負担に感じていませんか?
それなら、もっと気軽にできる備えを。普段食べている食品も「常温保存ができて・日持ちして・調理が簡単」なものなら、立派な非常食になるんです。
日常と非日常、どちらのフェーズも区別せずに、いつもの生活で便利なものを非常時にも役立てる、という考え方のこと。食品に限らず、フェーズフリーの観点で防災を考えると、負担感なく備えやすくなります。
普段使っている身近な食品を見回してみると、非常食ほどでなくても常温で中〜長期保存できるものがたくさん。飲料やお菓子なども含め、自分や家族がお気に入りのものを、いつも少し多めに買っておく→食べる→また買い足す……のサイクルで、まずは3日分から、無理なく備えてみましょう。
災害時に配布される食品は、おにぎりやパンなど、炭水化物がメイン。タンパク質やビタミン・ミネラル、食物繊維などが不足しがちになるなかでは、野菜ジュースや粉末青汁、ビタミン類のサプリメントやゼリー飲料、プロテインパウダーなど、意外なものも健康維持に役立つ非常食になります。
病気療養者向けの食品に加え、一般のインスタント食品のなかにも、アレルギーや減塩等に対応した商品が増えています。いろいろ試して、好みに合ったものを見つけておきましょう。
非常時には特に「温かいもの」が食べられると、心がホッと落ち着きます。普段食のストックに加え、カセットコンロや食品加熱パックなどの「熱源」の備えも、ぜひお忘れなく。
魚の水煮、コンビーフ、焼き鳥、カニ、ホタテなど、タンパク源になるものが多いほか、水煮野菜やフルーツ缶は食物繊維を手軽に補うのにも便利。
調理ができる環境があれば、小麦粉やホットケーキミックス、乾麺も大活躍。2~3分でゆであがる早ゆでパスタや早ゆでうどんなら、水と熱源を節約できます。
わかめやひじき、切干野菜など、水で戻せばそのままでも食べられるものが便利。手近なものを包んでさっと食べられる生春巻きの皮も、水戻しのみで使えて◎。
カレーやスープ、米飯、ラーメン、おかゆ、ハンバーグや煮物など、種類が豊富で「温めなくても食べられる」ものも多数!
【監修】宮丸みゆきさん
(NPO法人ママプラグ理事、防災士)
自ら考えて動く「アクティブ防災®」を提唱するママプラグのコアメンバーとして、全国各地で防災講座などを担当する、防災のエキスパート。共著書に『全災害対応! 子連れ防災BOOK』(祥伝社)など。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.48
「災害と健康」より転載(2023年6月15日発行)