2

肌の老化、原因の8割は紫外線?「肌」のトリビア5選

肌の状態は年齢とともに、気温や湿度、大気の状況、紫外線などにすぐに影響されてしまいます。また、寒暖差により人の免疫能力は不安定にもなるため、春夏秋冬で気候の変化がはっきりしている日本は、肌にとってもハードな環境。季節の変わり目に肌の調子が悪くなる人も多いのではないでしょうか。

今回は「肌」に関するトリビアを、東邦大学医学部皮膚科学講座客員教授の関東裕美先生に教えていただきました。みなさんは自分の肌のこと、どのくらい知っていますか?

教えてくれるのは・・・
関東 裕美先生
東邦大学医学部皮膚科学講座客員教授

皮膚科専門医。日本皮膚科学会代議員、日本皮膚免疫アレルギー学会学術教育委員会委員、日本接触皮膚炎研究班班長、日本美容皮膚科学会理事などを歴任。特殊外来でアトピー性皮膚炎と接触性皮膚炎診療を担当する、皮膚アレルギーのスペシャリスト。

トリビアその1「肌が生まれ変わる周期は年齢によって異なる」

「肌が生まれ変わる」といっても、あまりピンとこないかもしれません。まずはそのメカニズムについてご説明します。

みなさんは「ターンオーバー」という言葉をご存知でしょうか? 肌の内側で生まれた細胞は、表面に向かって徐々に押し上げられ、すでにあった表面の肌の細胞と入れ替わります。そして、さらに次の細胞が押し上げられてきたら、垢となってはがれます。この肌の細胞が入れ替わるまでの期間のことを、ターンオーバーと呼びます。

ターンオーバーが規則的に行われていれば、病原菌が肌から体内へ侵入するのを防ぐことができます。また、肌の内側の水分を蒸発させないようにする「バリア」としての役割も果たします。しかし、ターンオーバーが乱れたり、肌をこすって表面の細胞を無理にはがしてしまったりすると、バリア機能が低下し、肌荒れなどのトラブルにつながってしまうのです。

大人の健康な肌の場合、ターンオーバーは約4週間(28日)の周期で繰り返されます。しかし、年齢を重ねるうちにその期間は長くなり、肌のもっとも外側にある角質層が厚くなって肌がくすんで見えるように。くすみを防ぐためには肌状態に適したスキンケアを続けることが必要で、過剰に擦っての洗顔は新たな肌トラブルを起こしてしまいます。

女性の肌は、30代後半ごろからうるおいを守る皮脂の分泌が少なくなります。そのため、何度も洗顔して皮脂をとりすぎてしまうと肌荒れの原因となるのです。日頃から自分の肌をよく観察して、自分の体質や年齢、季節などに応じて洗顔の頻度を調整しましょう。

また、顔はもちろん、体の皮膚を強くこするのもよくありません。肌に負担がかかり、かゆみや乾燥の原因になります。体を洗うときは、湯舟に入って皮膚をやわらかくしてから、手でやさしく垢を落とすくらいで十分です。基本的に石けんを使って洗う必要があるのは、汗がたまる場所、鼠径部、わき、手足の指のあいだです。

トリビアその2「肌が老化する原因の8割は紫外線」

肌にシミやしわが増える「老化」の原因は、加齢だけではありません。紫外線による「光老化(ひかりろうか)」も大きな原因の一つ。日光にあたる部分の肌は、約80%が光老化によるものといわれているほどです。紫外線を避け、肌の老化防止につなげましょう。

肌への紫外線対策は、日焼け止めクリームがメジャーです。しかし、「夏が来たら塗ればいいんでしょ?」という人は要注意。春は気温がそれほど高くはないものの、紫外線量は真夏とあまり変わりません。また、夏に比べると少量ですが、冬でも紫外線は出ています。雨の日も同様のため、年間をとおした紫外線対策が必要です。

具体的には、SPF20から30くらい、PA++から+++と表記のある日焼け止めを毎日使いましょう。春先以降で日光に長時間あたるときは、さらにSPFの強いものも効果的です。

日焼け止めは、2時間から3時間おきに塗り直すことで、その効果が持続します。耳、首(特に首の後ろ)、手の甲は塗り忘れがちなので注意しましょう。日焼け止めのほか、帽子、日傘、サングラスなども忘れずに。

大人だけでなく、子どもも紫外線を避ける必要があります。屋外で体を動かすことは子どもの心身の発達にとって重要ですが、紫外線を過剰に浴びると免疫力や体力の低下につながります。帽子や子ども用の日焼け止めなどで紫外線を避けましょう。

やむを得ず日焼けをしてしまった場合は、とにかく患部を冷やしてください。日焼けは、皮膚がやけど状態にあることと同じ。冷やしても症状が改善しなければ、皮膚科の受診をおすすめします。

トリビアその3「子どもと大人ではニキビの原因が異なる」

「ニキビ=中高生のときにできるもの」といったイメージが強いかもしれません。しかし、大人になってからもニキビに悩まされる人は少なくないのです。さらに大人のニキビには、思わぬ不調が隠れていることがあります。

思春期になると皮脂の分泌が増えて毛穴に詰まり、白っぽいニキビができます。また、それが炎症を起こして毛穴の周辺が赤く盛り上がり、さらに進行すると化膿することも。

20歳以降では、女性ホルモンの影響により、生理前になると口やあごのまわりにニキビができることが多いといわれています。特にマスク生活が続くコロナ禍では、ニキビが治りにくく、悩んでいる方も多いでしょう。

ほかにも内臓の不調や生理不順、便秘・下痢などが原因でできる場合もあります。肝臓が悪かったり、甲状腺や副腎といった臓器がうまく機能しなかったりすると、赤く炎症した状態のニキビが突然できてしまうのです。そのため、ニキビではなくその背景にある症状が改善されないと治らないことがあります。

アトピー体質の方もニキビが治りづらいといわれています。この場合も、アトピーの治療によってニキビも改善されることがあるので、思春期を過ぎてもニキビが治らない場合は皮膚科を受診してみましょう。

トリビアその4「傷口は消毒せず、治るまで毎日洗った方がいい」

小さい頃、転んで擦りむいたときなどに、傷口を消毒してもらった経験のある人は多いでしょう。しかし2000年ごろから、消毒液が傷口に残っていると、アレルギーを起こしたり、人に本来備わっている治癒機能が損なわれたりしてしまうことがわかってきました。では、どのように処置をしたら良いのでしょうか。

まず、傷口を石けんでよく洗って水できれいに流し、泥などの汚れを落とします。その後、ハイドロコロイドという素材でできたばんそうこうを貼り、傷口の乾燥を防いでください。ハイドロコロイド素材のばんそうこうを使うと、傷口から染み出る体液で乾燥を防ぐことができます。

傷口に貼ったばんそうこうは、1日1回は貼り替えましょう。ばんそうこうでかぶれたり、健康な皮膚まではがれてしまったりすることもあるからです。また、貼り替える際には傷口とそのまわりを水でよく洗い流して清潔にしてください。

トリビアその5「コラーゲンたっぷりの食事をとっても、肌がプルプルになるわけではない」

飲食店に行くと「コラーゲンたっぷり!」と書かれたメニューを見かけることがあります。それを食べれば翌日には肌がプルプルになるような気がして、つい頼んでしまいがち。しかし残念ながら、コラーゲンを食べてもすぐ肌がプルプルになるわけではありません

コラーゲンはたんぱく質の一種で、皮膚だけでなく、血管、靭帯、軟骨などを構成する成分です。コラーゲンを食べると胃や腸で分解され、小腸から吸収されて体内に取り込まれたあと、血液によって体の各所に運ばれていきます。そのためコラーゲンが多く含まれる食べ物やサプリメントを摂取しても、そのまますべてが肌に吸収されるわけではないのです。

通常の食事で必要なたんぱく質量が取れていれば、コラーゲンが不足することはありません。1日あたり、成人男性は65g、成人女性は50gを目安にたんぱく質を摂るようにしましょう。

 
肌の老化を防ぐためには、紫外線対策と保湿が基本です。また、有名人がおすすめしている化粧品などに興味をもってしまいがちですが、肌の状態は人それぞれ違います。自分の肌をよく観察して、自分が心地良いと感じるケアを行い、健康で美しい肌を目指しましょう。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:ニッパシヨシミツ
2

この記事をシェアする

関連キーワード

HELiCOとは?

『HELiCO』の運営は、アイセイ薬局が行っています。

健康を描くのに必要なのは「薬」だけではありません。だから、わたしたちは、調剤薬局企業でありながら、健康情報発信も積極的に行っています。

HELiCOをもっと知る
  • TOP
  • 連載
  • 肌の老化、原因の8割は紫外線?「肌」のトリビア5選

Member

HELiCOの最新トピックや新着記事、お得なキャンペーンの情報について、いち早くメールマガジンでお届けします。
また、お気に入り記事をストックすることもできます。

メンバー登録する

Official SNS

新着記事のお知らせだけでなく、各SNS限定コンテンツも配信!