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爪を見れば健康状態がわかる?「爪」トリビア5選

普段、自分の爪のことって気にしていますか? じつは爪には、私たちの健康状態について教えてくれる大切な働きがあるのです。今回はそんな「爪」に関する5つのトリビアを、赤須医院 院長で皮膚科専門医の赤須玲子先生に教えていただきました。爪から自分の健康を見つめ直してみませんか?

教えてくれるのは…
赤須 玲子先生
赤須医院 院長

山梨大学皮膚科、トロント大学病理学教室を経て、1998年六本木に赤須医院を開設。確かな臨床経験と美容に精通したきめ細やかな診療が定評。専門はニキビ、シミ、ホクロ、スキンケア全般。著書に『赤ちゃん肌に変わる「顔そり」スキンケア』『2週間でつるつる美肌になる本』(マキノ出版)などがある。医学博士、日本皮膚科学会専門医。
「女性専門皮膚科クリニック 赤須医院」のホームページ:http://www.akasu.or.jp/

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INDEX
トリビアその1「爪の色の変化は健康状態の異常サイン」
トリビアその2「頻繁なマニキュア、ジェルネイルは爪の負担に」
トリビアその3「爪は手足によって伸びるスピードが違う」
トリビアその4「加齢以外にも、ストレスなどで爪に筋が入る」
トリビアその5「肺や心臓に病気があると爪の形に異変が」

トリビアその1「爪の色の変化は健康状態の異常サイン」


じつは、爪の色は「健康のバロメーター」。体に起きている異常を知ることができます。ふだん私たちが見ている爪は薄いピンク色に見えますが、爪そのものの色は透明です。爪の下ある「爪床(そうしょう)」という皮下組織が透けて浮かび上がるため、健康な爪はピンク色のように見えるのです。この場合は、十分な血液が流れ、酸素が血液に乗って運ばれていることを意味します。

しかし、薄いピンク色ではなく、以下のような色だった場合は注意が必要です。

蒼白

爪が、青みがかった蒼白になっている場合は、貧血や冷え症の可能性があります。これは血流が悪いことを示しているので、爪だけでなく、指も白っぽくなっているはずです。

貧血気味の人は、積極的に鉄分を摂取するようにしましょう。レバーや青のり、のりの佃煮などに鉄分が多く含まれています。食事だけでは不十分ということであれば、サプリメントで補ってもOKです。立ちくらみや、ふらつきなどの症状もあるようなら、内科を受診してください。

冷え症の人は、入浴時に手足の先をマッサージするのがおすすめです。湯船にゆっくり浸かって、手足の指を開いたり閉じたりを繰り返すと、血流が良くなります。寒い季節は手袋の着用も忘れずに。冷たい飲食物は体を冷やすので、サラダは温野菜にしたり、ホットや常温の飲み物を飲んだりして対策をとり、冷えないようにしましょう。

真っ白や黄色

爪の根元には白っぽい部分がありますが、これは「爪半月(そうはんげつ)」といい、水分を多く含んで白く見えるだけなので問題はありません。

しかし、足の爪が全体的に真っ白に濁っていたり、黄色くなったりしていると注意が必要です。これは水虫菌(白癬菌[はくせんきん])が増殖している証拠。水虫は足の指のあいだにできると思いがちですが、放っておくと皮膚から爪に感染が広がってしまいます。気づいた段階できっちり治すようにしましょう。

皮膚の水虫は2か月ほどで治りますが、爪が水虫になると治療に時間がかかり、1年間ほど薬を飲まなければいけないケースもあります。なので、皮膚にできた段階で早めに治療しましょう。また、高温多湿の春夏は、水虫菌が増えやすいので要注意。冬場も、ブーツや厚手のソックスを長時間履いていると、足が蒸れて水虫になることが多いです。

水虫はバスマットやスリッパを介して感染するので、水虫がある人とは共有しないようにしましょう。ジムや温泉など公共の施設で感染する可能性もありますが、感染が成立するまでには24時間ほどかかります。帰ったあとは必ず足の指のあいだをせっけんで洗い、感染対策を。

緑色

「緑色!?」と驚いた人もいるかもしれませんが、ある日突然、緑色になることがあります。これは「グリーンネイル」と呼ばれる症状で、「緑膿菌(りょくのうきん)」という細菌が爪に感染することで起こるのです。健康な爪には感染せず、爪に水虫がある場合や、手荒れや頻繁なマニキュア、ジェルネイルなどによって爪がもろくなっている場合に感染しやすくなるので気をつけて。

マニキュアやジェルネイルをしていると、爪の変化に気がつきにくいので、取り除いてはじめて爪が緑色になっていると知ることも。爪が緑色になったら、皮膚科の受診が必要です。緑膿菌を退治するための抗菌薬を2週間ほど飲むことで完治します。

爪が黒くなる原因として考えられるのは2つ。まずは「ほくろ」です。爪の根元である「爪母(そうぼ)」にほくろができると、爪の根元から先に向かって黒い線ができますが病気の心配はいりません。

もう一つは「メラノーマ」という悪性腫瘍です。ほくろと同じ爪母に現れますが、ほくろの場合は爪の表面をさわるとなめらかで、爪が剥がれることはありません。一方、メラノーマは爪の表面がデコボコになったり、変形したりする特徴があり、違いが目に見えてわかります。

メラノーマの場合は手術が必要ですので、見つけたらすぐに皮膚科を受診してください。早期発見であるほど、簡単な手術で済み、完治もしやすいです。

これらとは別に、指先をぶつけた衝撃で爪の下に黒い血の塊ができることがあります。これは爪が伸びるのに伴って爪の先に移動し、伸びた部分を切るとなくなります。とくにぶつけた覚えもなく、爪が黒くなっている場合は皮膚科で調べることができるので、受診してみてください。

トリビアその2「頻繁なマニキュア、ジェルネイルは爪の負担に」

ネイルサロンや自宅でマニキュアやジェルネイルを楽しんでいる人は多いのではないでしょうか。きれいな爪だと気分も高まりますが、ネイルの頻繁なつけ外しは、爪にとってあまり良いものとはいえません。爪の根元の甘皮を取り除きすぎたり、表面を削りすぎたりすることは爪への負担につながります。

また、ネイルリムーバーには脱脂性の強い成分が含まれていることがあるので、その影響で爪が乾燥してもろくなり、菌に感染して前述のグリーンネイルや水虫になることもあります。ときどきマニキュアやジェルネイルをやめて、爪を休ませることも重要です。

【対策】1週間で爪がなめらかに! 簡単セルフケア

家事でお湯を使うと、手だけでなく爪の油分も奪われて乾燥してしまいます。ハンドクリームで手は保湿していても、爪のことは意外と忘れがち。そんな爪の乾燥にはワセリンが有効です。

入浴後など、柔らかくなった爪の根元から爪全体にワセリンを塗り、ラップで上から保護した状態で寝て、一晩浸透させてみましょう。就寝中にラップが取れないように、テープなどで止めておくのがおすすめ。これを1週間ほど続けると、驚くほど爪がなめらかになります。ワセリンはドラッグストアなどで手軽に購入できますので、一度試してみてはいかがですか。

トリビアその3「爪は手足によって伸びるスピードが違う」

手と足の爪、どちらを切る頻度が高いですか? たとえば、手にマニキュアを塗ると1か月もすれば、爪が伸びて根元3分の1ほどが白くなりますよね。個人差はありますが、手の爪は3か月前後で生え変わるようになっています。

対して、足の爪は生え変わるのに半年前後かかるといわれています。ですから、症状にもよりますが足の爪に異常が起きた場合、手の爪に比べて長期的な治療が必要です。

【アドバイス】知っていますか? 正しい足の爪切り


「足の爪が皮膚に食い込んで歩くときに痛い……」という経験はありませんか? 足は体重を支え、地面からの衝撃を受け止める役割があります。そのため、深爪をしたり角を落としてしまうと、指先にかかる荷重を爪の面で受け止めきれず、爪の角が皮膚に食い込んだり、脇の肉が盛り上がって炎症や痛みが出たりしやすくなるのです。

理想的な足の爪の形は両角を残した四角い「スクエア型」です。丸みをつけず、爪の角と爪の中央が水平になるようまっすぐに整え、長さは足指の先端と同じぐらいにしましょう。とがった角は爪やすりやツメキリに付帯するやすりで削ってなめらかにするのがおすすめです。

トリビアその4「加齢以外にも、ストレスなどで爪に筋が入る」

表面がつるんとしてなめらかな爪が理想ではありますが、加齢によって縦に筋が入ることがあります。主な原因は爪が栄養不足であることと、保湿が足りないことです。爪はたんぱく質でできているので、バランスの良い食事と保湿を心がけることで縦筋が入りにくくなります。

一方、手足の爪に横筋が入ることもあり、これは加齢とは関係ありません。横筋は、高熱や過度のストレス、下痢などの栄養障害、手術で体に大きな負担がかかったときに入ります。爪への負担により栄養が行き届かなくなると、一時的に伸びる爪が薄くなり、そのときの痕跡が横筋になってあとから現れます。

つまり、爪のどのあたりに筋があるかで、いつ頃体に異常が起こったのかを推測できます。たとえば、約3か月で生え変わる手の爪の真ん中あたりに横筋があれば、1、2か月前になんらかの異常が起こったと推測できるわけです。

爪をかむ癖がある方や、靴の刺激で爪に横筋が入ることもあります。ただし、これらの場合は物理的な刺激を受けた爪だけに横筋が入ります。対して体に異常が起こったときの横筋は、手足の爪すべてに入るという違いがあります。

トリビアその5「肺や心臓に病気があると爪の形に異変が」


トリビア1で「爪の色は健康のバロメーターである」と解説をしましたが、じつは色だけでなく、形からも健康状態を推測できるのです。

肺や心臓に病気があると、「ばち指」という太鼓のばちのように指先と爪が丸くなる症状が現れます。円形脱毛症や尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)という皮膚病では、爪の表面が細かくデコボコに。これらの爪の症状は、病気の治療を行なうことで改善します。

また、生まれつき手足のすべての爪が小さい、爪がない、爪が厚く硬いといったケースがあります。これらのなかには皮膚や歯の異常を伴う遺伝性の病気が隠れていることがあります。爪は、皮膚や歯と同じ「外胚葉(がいはいよう)」という組織でつくられるため、この組織に由来する、ほかの部位とも関係があるのです。赤ちゃんがいる家庭では、保護者が注意して爪を観察し、心配なことがあれば小児科を受診するようにしましょう。

 
爪は自分の体の健康状態を目で見て知ることができる大事な場所。普段から注意を払う習慣を身につけておきましょう。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:ニッパシヨシミツ
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