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ツボで花粉症を改善。スキマ時間におすすめのツボ5選

毎年花粉症に悩まされる、そんな方は少なくないでしょう。鼻水、目のかゆみ、くしゃみなどの症状がいったん始まると、QOL(生活の質)が大きく下がってしまい、毎日の仕事や家事も手につかない……なんてこともありますよね。

今回は、そんなつらい花粉症の症状を和らげるツボをご紹介。スキマ時間に自分で押せるツボの箇所や、押すときの注意点をお伝えします。毎年のようにあなたを悩ます花粉症が、セルフケアによってラクになるかもしれません。鼻水や目のかゆみがつらいけれど、薬を持っていない……そんなときにも、ぜひ実践してみてくださいね。

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東洋医学では、花粉症は「寒タイプ」と「熱タイプ」に分類される

花粉症の症状として現れる、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどは、東洋医学的には「水分代謝の異常(水毒/すいどく)」と考えます。鼻や目、気管支などに水分が蓄積された結果、つらい症状に悩まされる、ということです。

また、東洋医学的な観点では、花粉症は主に2つのタイプに分類されます。ひとつは、水のようなさらさらした鼻水が出る「寒タイプ」。この場合は、体に冷えがあると考えます。お灸など、体を温めるアプローチを行うと、症状が和らぎやすいタイプです。

もうひとつが、粘り気のある濃い鼻水が出る「熱タイプ」。熱タイプは頭痛を伴うことが多いため、首へのアプローチを同時に行うと、体が楽になることが多いです。また、鼻水が副鼻腔に溜まってしまう症状も。熱タイプの花粉症では、耳鼻科での治療も並行しながら、東洋医学的なアプローチを行っていくのがベターです。

東洋医学では、花粉症がもたらす具体的な症状に応じて、「寒タイプ」「熱タイプ」に分類しながら、鍼灸治療によって体質を根本から改善していきます。

今回は東洋医学の考えに基づき、ちょっとしたスキマ時間を生かして自分でできる、簡単なツボ押しの方法をご紹介します。

ツボは「痛気持ちいい」を探そう

ツボを刺激するとき、爪は立てずに指の腹を使いましょう。「軽く押しては離す」という刺激を5回ほど繰り返します。1回の刺激につき、3~5秒程度が目安です。ツボの周囲で、「痛気持ちいい」と感じる箇所を探すのがコツです。

強く押したり、ツボ押しの回数が多くなりすぎたりすると、翌日にもみ返しのような症状や内出血が起こることがあります。やりすぎない範囲にとどめながら、日々継続することが大切です。

さっそく実践!花粉症に効くツボ5選

花粉症の症状に効果を発揮するツボを5つご紹介します。イラストも参考にしながら、硬くなっていたり、コリを感じたりする部分を探してみてください。

鼻炎症状には「合谷」

東洋医学では、体には12本の経絡(けいらく)があると考えます。そのうち、鼻を通る「手の陽明大腸経(ようめいだいちょうけい)」という経絡上にあるツボが「合谷(ごうこく)」です。合谷は鼻炎症状を改善させるだけでなく、目の疲れなど顔面部の症状によく用いられます

合谷は、手の甲側で親指と人差し指の骨が合流するところで、やや人差し指寄りに位置します。反対側の親指を使って、人差し指に向けて押してみましょう。

鼻水や鼻づまりに効く「迎香」

鼻水や鼻づまりに効くツボが「迎香(げいこう)」です。合谷と同じく、鼻を通る「手の陽明大腸経」という経絡上にあることで知られています。

場所は、小鼻の脇のくぼみ。人差し指で押すと、鼻づまりの改善を促します。即効性があるので、覚えておくとよいツボのひとつです。顔面部は皮膚が薄いため、内出血しやすいので要注意。顔やその周辺を押すときは、あまり強く押さず、やさしく押すようにしてくださいね。

目の充血やかゆみには「晴明」

目が充血したり、かゆくて仕方がなくなったりするのも、花粉症のつらい症状のひとつですよね。なかには「目玉を取り出して洗いたい!」と表現する方も。「晴明(せいめい)」はそんなときに、効果を発揮するツボです。

晴明の位置は目頭と鼻の間で、目頭から2㎜くらい鼻に近い場所です。人差し指、または、中指を使って、鼻のほうに向けて押してみてください。ただし、爪が長いと押しにくいので、長い方は短く切ったり、ツボ押し棒を使ったりするなど工夫してみてください。

耳ツボ「外鼻」「内鼻」にも注目!

花粉症に効くツボは顔だけに限りません。耳珠(じじゅ)と呼ばれる、耳道(みみどう)の入り口の出っぱり部分にある「外鼻(がいび)」「内鼻(ないび)」と呼ばれるツボも、鼻炎症状がある場合にはおすすめです。

それぞれ単独では押しにくいので、耳珠をつまむようにすると、外鼻と内鼻の両方を刺激することができます。綿棒や指先などで圧迫してみるのもおすすめ。ただし、耳のツボは反応の有無が重要となります。押してみて「痛気持ちいい」という感覚が得られるどうかをチェックして、反応があれば、ツボ刺激を続けてみてください。

また、耳のツボは継続的に弱刺激を加えることで、より効果を発揮します。耳ツボシールのようなものを貼ってみるのも効果的です。耳ツボシールを選ぶ際は、シールと刺激部がしっかり一体化したものを選んでください。粘着力が弱い場合、シールが耳の中に落ちてしまうこともあるので、注意が必要です。

プラスアルファで取り入れたい「印堂」「攅竹」「天柱」

花粉症に効果のあるツボを5つ紹介しましたが、そのほかにもおすすめのツボをまとめてご紹介します。

  • まずは「印堂(いんどう)」です。印堂は眉間の中央に位置するツボで、鼻づまりなどで熱のこもったような場合に効果的です。親指や中指で押してみてください。
  • 「攅竹(さんちく)」も、プラスアルファのツボとしておすすめ。攅竹は、眉頭のすぐ下の、ちょうどくぼんだところに位置しています。中指などで押すと押しやすく、花粉症による目の症状だけでなく、鼻炎症状にも有効なツボです。
  • 最後は、「天柱(てんちゅう)」。ちょうど首の後ろ、うなじの生え際部分の両外側にへこんだところがありますが、そこが天柱です。天柱への刺激は、顔面部の血流を促すことで、鼻症状や顔面部の水分代謝も促します。親指を当て、頭を外すように上へ押し上げてみてください。首や肩のこりや頭痛にもよく効くので、基本の5つと合わせて用いると効果的です。

花粉症体質を変えるために、自分でできることは?

つらい花粉症体質を変えるために、ツボ押しのほかにも、日ごろ意識できることはないのでしょうか。

先にも述べたように東洋医学的には、花粉症の症状は「水分代謝の異常」。症状が出やすい人は、日頃から水分の摂りすぎに気をつけましょう。また、体を冷やさないようにすることも大切です。

さらに、大腸経の経絡に対するお灸も、効果が期待できます。ご紹介したツボのなかでは、合谷がおすすめ。手のツボなので自分でも据えやすく、セルフケアに適しています。お灸はドラッグストアなどでも手軽に購入できるので、特に「寒タイプ」の花粉症の方は、ご自宅で「セルフお灸」にチャレンジしてみてください。

一方、鼻炎症状が強い、もしくは、頭痛などがある場合は、副鼻腔炎になっている可能性があります。当てはまる方や、不安に思う方は耳鼻科を受診するようにしましょう。

ツボ押しを行うのに、最適な時間や場所は特にありません。症状が出始めたときにすぐに押すと、その場で症状が和らぐこともあります。自分にはどのツボが効きやすいのか、反応をみていろいろ試してみても、新たな気づきがありそうですね。

いつでもどこでも自分でできて、即効性も期待できるのが、ツボ刺激のいいところ。まずは基本の5つから、ぜひ試してみてください。

教えてくれたのは…
髙田 久実子先生
こどもと女性のためのめぐり鍼灸院 院長

鍼灸師、介護支援専門員、 認定心理士、日本不妊カウンセラー学会認定不妊カウンセラー。成城大学、放送大学(認定心理士)、早稲田医療専門学校卒業。2019年まで東京女子医科大学東洋医学研究所勤務。同年11月より千葉県松戸市で「こどもと女性のためのめぐり鍼灸院」開院。現代医学と東洋医学の観点から患者に適した施術を行う。痛みやコリだけでなく女性のライフステージに合わせた施術や小児はりにも力を入れる。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:南 夏希
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