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ストレスを和らげる。スキマ時間におすすめのツボ5選

春は進学や就職、異動など、なにかと変化の多い季節。新生活に胸を躍らせている方も多いことでしょう。しかし、環境の変化は心身にとって思った以上に負担となり、気づかないうちにストレスが蓄積される……なんてことも。そこで今回は、そんなストレスを和らげるツボをご紹介します。手軽にさっとツボ押しができれば、感情もコンロールしやすくなるかもしれません。新しい環境でストレスを感じたときに、ぜひ試してみてくださいね。

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INDEX
ストレスが体の不調の原因に
東洋医学における「七情」という概念
ツボ押しは「痛気持ちいい」と感じる範囲で
不眠には「百会」
血のめぐりの改善に「風池」
ストレス性の便秘に「神門」
ドキドキには「郄門」
イライラには「太衝」
ストレスに押しつぶされないために、自律神経を鍛えよう

ストレスが体の不調の原因に

肩こりや腰痛がつらくて鍼灸院を訪れる方のなかには、ストレスが原因のケースも少なくありません。ストレスによって気づかないうちに呼吸が浅くなり、その結果体に異常が現れることもあります。

また、コロナ禍では、よりストレスを抱えがちに。リモートワークの導入などで働く環境が変わったことによるストレスを感じたり、活動が制限されてストレスの発散がしにくかったり……いまは特に心身への不調が出やすい時期といえそうです。

東洋医学における「七情」という概念

「七情」とは7つの感情のことで、「怒」「喜」「思」「憂」「悲」「恐」「驚」を指します。そしてそれぞれが東洋医学でいうところの「五臓」と関係しており、次のようにいわれています。

「怒は肝を傷(やぶ)り、喜は心を傷り、思は脾を傷り、憂と悲は肺を傷り、恐と驚は腎を傷る」

「七情」はそのプラス・マイナスにかかわらず、過度に働くとストレスにつながりやすく、関連する内臓に不調をきたすと考えられています。関連する臓腑の経絡を用いて、気のめぐりを改善していく。東洋医学では、このようなイメージで体質の根底にアプローチしながら、根本的な治療を行います。

忙しくて鍼灸院に行けないという方も、ちょっとしたストレスを感じたとき、スキマ時間を生かした簡単なツボ押しが効果を発揮するかもしれません。ぜひ日常に取り入れてみてください。

ツボ押しは「痛気持ちいい」と感じる範囲で

ツボを刺激する際の注意点は、押すときに爪を立てず、指の腹を使うこと。「ツボを軽く押して、離す」という刺激を5回程度、繰り返します。1回の刺激につき、3~5秒程度行うとよいでしょう。

ツボ押しを行うのに最適な時間や場所は特にありません。症状が出始めたときに、すぐに押すとその場で症状が和らぐこともあります。

ただし、あまり強く押しすぎたり、ツボ押しの回数が多くなりすぎたりすると、かえって神経が過敏になってしまうかもしれないので要注意。やりすぎず、気持ちがよい範囲でとどめておいてください。

さっそく実践!ストレスを和らげるツボ5選

ストレスに対して効果を発揮する5つのツボをご紹介。該当するツボ位置の周囲で「押すと痛いけど、気持ちいい」ポイントを、自分で探ってみてください。

不眠には「百会」

頭のてっぺんの、ややくぼんでいるところが「百会(ひゃくえ)」です。両耳の上から、まっすぐ頭のほうにあげていき、左右の耳を結んだライン上で、頭頂部に合わさるところに位置します。

百会は鎮静効果に優れており、神経過敏になっているときに用いるツボです。ストレスによる不眠に悩んでいる場合には、特に効果的。また、ストレス下においては、ちょっとしたことで痛みを感じやすくなります。そんなときに百会を押すことで、痛みへの耐性が上がる効果も。

硬い場所にあり、ツボ押しの際にはちょっと力が必要なので、中指を用いるとよいでしょう。ただし、子どもの場合はまだ頭のてっぺんが柔らかいので、行わないように気をつけてください。

頭皮は、全体的にストレス症状が反映されやすい場所。百会以外でも、頭皮で硬いところを探って、押してみるのもおすすめです。百会に限らず、同様の効果が期待できます。

血のめぐりの改善に「風池」

東洋医学では、気や血の滞りが病をもたらすと考えられています。その「気血(きけつ)」をめぐらせるツボが「風池(ふうち)」です。

風池が位置するのは、後頭部の骨のくぼみの中心から、指3本外の場所。親指を用いて、頭蓋骨に向かって押すと、気血のめぐりが促され、頭がすっきりします。

また、状態に合わせて力加減を調節してみると、より効果が期待できます。イライラしているときはやや強く、気持ちが沈んでいるときは弱めに押すなど、工夫してみるとよいでしょう。

ストレス性の便秘に「神門」

「神門(しんもん)」は、手首の小指側にあるツボです。手首のしわの上で小指側の端、小さな骨の真下にあります。反対側の手を使って押してみてください。

体には12の経絡が張りめぐらされています。神門は「手の少陰心経(しょういんしんけい)」という経絡上にあるツボです。動悸や不眠のほか、ストレスによる便秘などがあるときに、神門へのツボ押しを行うと、症状が緩和します。

ドキドキには「郄門」

精神が不安定なときには、ちょっとしたことでも緊張しやすくなったり、動悸が速くなったりします。そんなときは、手のひら側にある「郄門(げきもん)」のツボがおすすめ。場所は、手首とひじとの中間よりも指1本分手首寄りのところです。

郄門は「手の厥陰心包経(けついんしんぽうけい)」という経絡上にあるツボ。「心包」は東洋医学の専門用語で、心を保護する役割があるとされています。そのため、精神不安やストレスなどによる症状がある場合に郄門のツボを押すと、不安を和らげることができます。

郄門は、動悸やパニックの発作など急な症状が出たときにも速効性があるツボ。治療でもよく使うツボなので、ぜひ覚えておいてください。

イライラには「太衝」

最後は、足の甲にあるツボ「太衝(たいしょう)」。足の親指と人差し指の骨の間から足首のほうに指を滑らせていき、止まるところに位置するツボです。

太衝は「足の厥陰肝経(けついんかんけい)」という経絡上にあるツボで、気のめぐりを整える効果が期待できます。ストレスでイライラしているときに太衝を押すことで、感情の乱れを抑制できます。お風呂に入っているときや、テレビを観ているときなどに押してみてください。

ストレスに押しつぶされないために、自律神経を鍛えよう

つねに緊張状態が続いている人や心配性の人は、特に交感神経が過緊張気味で、オンオフの切り替えがうまくいかないことも。そうなると、少しのストレスでも、対処が難しくなることがあります。

ストレスを和らげるために重要なのは、交感神経と副交感神経の切り替えをスムーズに行えるようにしていくこと。鍼灸院でもそのための治療を行いますが、今回ご紹介したツボ押しでも効果は期待できます。自分でできて、即効性に優れているのがツボ刺激のよいところなので、日々のセルフケアにぴったりです。

そのほか、温かいお湯に浸かる温浴と、冷水を浴びる冷浴を交互に行う「温冷交代浴」も、体質に合うようならおすすめです。温浴は副交感神経、冷浴は交感神経をそれぞれ刺激するので、交互に行えば、自律神経のバランスが整いやすくなります。

また、ストレスを抱えている人は、運動不足になりがち。運動不足はストレスによる症状の悪化を招きます。ウォーキングやラジオ体操などの軽い運動も、自律神経の働きを促進させるので、ツボ押しと合わせてぜひ行ってみてくださいね。

教えてくれたのは…
髙田 久実子先生
こどもと女性のためのめぐり鍼灸院 院長

鍼灸師、介護支援専門員、 認定心理士、日本不妊カウンセラー学会認定不妊カウンセラー。成城大学、放送大学(認定心理士)、早稲田医療専門学校卒業。2019年まで東京女子医科大学東洋医学研究所勤務。同年11月より千葉県松戸市で「こどもと女性のためのめぐり鍼灸院」開院。現代医学と東洋医学の観点から患者に適した施術を行う。痛みやコリだけでなく女性のライフステージに合わせた施術や小児はりにも力を入れる。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:Akira Ayumi
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