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コロナ禍の子育て。ママインフルエンサーが医師に相談

まだ収束が見えないコロナ禍。仕事や子育ての面で、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。元保育士で、現在はインフルエンサーとして活躍中のオグミエさんも、その一人。感染への不安だけでなく、ストレスの多い生活や子どもたちの行動の変化など、さまざまな場面で不安を感じてきたと話します。

本記事ではオグミエさんが、親として、またPTAの役員活動を続ける中で感じた悩みを、人形町メンタルクリニックの勝久寿先生にオンライン相談。そのやりとりのなかから、不安との向き合い方や悩みを軽くするための解決法を探ります。

オグミエさん

インフルエンサー / 整理収納アドバイザー。夫と小5、小1の男の子の4人家族。幼稚園の父母会長を3年、小学校のPTA副会長を3年間、現在はPTA会長を務める。モットーは「新しい価値観を作ろう」。誤解の多いPTA活動について、その可能性や意義を伝えたいと日々SNSで熱い想いを発信中。
Instagram:@ogumie

勝 久寿先生
人形町メンタルクリニック院長
精神保健指定医、精神科専門医、臨床精神神経薬理学専門医、日本医師会認定産業医、日本精神科産業医協会・認定会員

1992年に旭川医科大学を卒業後、北海道大学医学部附属病院麻酔蘇生科、東京慈恵会医科大学精神医学講座を経て2004年より現職。企業の産業医としても活動。現在は行政官庁の精神科嘱託医として職場のストレス対策などについての研修やメンタルヘルス相談に尽力している。著書に『「いつもの不安」を解消するためのお守りノート 』『とらわれ「適応障害」から自由になる本』など。



INDEX
自粛生活で子どもの様子に異変!? 親ができることは
コロナ禍でストレスも多かったPTA活動。オグミエさんが取り入れた不安解消法とは
不安は心の重り。一人で抱えるより、複数人で共有すると楽になれる
不安なときは話を聞いてもらうだけでもいい

自粛生活で子どもの様子に異変!? 親ができることは

―コロナ禍が始まってから、3年目を迎えました。この間、不安に感じていたことを教えていただけますか。

オグミエ:まず、私が小学校のPTA副会長や幼稚園の父母会長を務めていたこともあり、自分も含めて夫も子どもも、「絶対感染しちゃいけない」というプレッシャーがつねにありました。ひたすら手洗いとアルコール消毒をしていた記憶があります。特に、新型コロナウイルス感染が広がり始めた当初は、有名人で亡くなる方もいましたから、すごく神経質になっていましたね。

インフルエンサーのオグミエさん(@ogumie


勝先生:おっしゃるように、最初の緊急事態宣言の頃は、世の中全体がパニック状態でしたよね。現在は、少し感染状況も落ち着いてきましたが、それでも多くの方が感染対策に気を遣う状況は続いています。手洗いやアルコール消毒などの対策が行き過ぎて、病的なほど神経質になってしまう方もいますね。

また、自粛によるストレスも深刻でした。家にいる時間も長くなりますし、子どものストレスを受け止めるお母さん方も大変だったと思います。お子さんの様子はいかがでしたか?


オグミエ:うちの子は男の子2人兄弟で、自粛生活が始まった当時は、小学校2年生と幼稚園の年少組でした。特に心配だったのは、下の子のほう。園に行き渋るということはなかったものの、もともと人見知りするタイプだったので、友達づくりがうまくいってないようでした。休園や分散登園の影響もあったのかもしれませんが……。これは放っておけないなと感じて、ぎゅーっと抱きしめて「大好きだよ」と伝えたり、スキンシップをたくさん取ったりするようにしていましたね。

あとは、園の先生にもできるだけ相談するようにしていました。お友達ができるように、先生方も声掛けなどをしていてくれたようです。

勝先生にオンラインで相談中のオグミエさん

勝先生:不安を和らげてあげるという意味で、オグミエさんが抱きしめるなどのスキンシップを心掛けたというのは、すごく良かったんじゃないかなと思います。

不安を持ちやすいお子さんというのは、一見、おとなしくて良い子に見えたりするので、大人が不安をキャッチしにくいんですね。幼稚園で嫌なことがあったり、ストレスを受けていたりする場合、よく見られるのは、園に行けなくなってしまうとか、お母さんから離れないといった行動。ほかにも、ひとりで寝るのを嫌がったり、頭痛や腹痛など体の不調が見られたりしたら、子どもが不安を抱えているサインかもしれません。


オグミエ:そう言っていただけてよかった。ありがとうございます。うちは兄弟仲が良くて、2人ともゲームが大好き。自粛期間中、特に上の子は、オンラインゲームで学校の友達とつながっていたようです。そこに弟も参加するという感じで遊んでいましたから、その点は安心して見ていられました。オンラインゲームがなかったら、どうなっていたか(笑)。私自身も救われました。

コロナ禍でストレスも多かったPTA活動。オグミエさんが取り入れた不安解消法とは

オグミエ:私は元保育士なので、地域の教育環境にも関心があり、幼稚園の父母会長や小学校のPTA副会長をそれぞれ3年間務めました。いまは、PTA会長をしています。このコロナ禍で、行事が中止になったり、活動方針を見直して書類をすべてつくり直したりと、エネルギーをかなり注ぐことになりました。

保護者の方にお願いする感染対策についても、なかには「そこまでしなくても……」という方もいたので、仲裁役となって学校や園と調整をするのもひと苦労。もう記憶がないくらい忙しい毎日でした。悩み相談というより、振り返りになっていますね(笑)。


勝先生:いえいえ。大変でしたね。お子さんのマスク問題ひとつとっても、意見が分かれますからね。そんななかで、ストレスにどうやって対処されていたんですか?


オグミエ:とにかく好きなことに没頭する時間を持つようにしました。私は長風呂をするのが好きなので、入浴中に好きなドラマを見たり、読書をしたり。あとは、YouTubeやオンラインのトレーニング講座を受講して体を動かしたり、腸に良いものを食べたり。とにかく健康でいることを意識しました。


オグミエさんがネガティブモードになったときの対処法。入浴のほかにも、美容や娯楽、デジタルデトックスなどさまざま


勝先生:大事なことですね。不安を感じているときには、主に2つの対処法が有効です。ひとつは、リラクゼーション。不安によって緊張しやすくなりますから、それを和らげてあげることが大事です。リラックスできて血流が良くなる入浴は、とても良い対処法です。腹式呼吸や筋弛緩法(筋肉を緊張させた後、一気に緩めるなどして筋肉をほぐす方法)を取り入れるのもおすすめですよ。

もうひとつ、気分転換もとても大事ですね。不安なことがあると、頭の中でぐるぐるとネガティブなことを考え続けてしまうことはありませんか?


オグミエ:あります! モヤモヤしたときこそ、運動やヨガをやろうって思います。ヨガの呼吸法は気持ちを整えるのにも役立っていますね。


勝先生:ぐるぐるとした考えを断ち切るという意味で、運動やヨガを取り入れて気分転換をするというのもすごくいい方法ですよ。

不安は心の重り。一人で抱えるより、複数人で共有すると楽になれる

勝先生:不安は心の重りみたいなもの。一人で持つよりも、多くの人で共有したほうが、負担が軽くなるんです。人と会って相談するとかですね。新型コロナウイルスの感染拡大で友達と会うのも難しくなった面はあると思いますが、悩みをどなたかに相談されたりしていましたか?


オグミエ:ママ友にはなかなか話せなかったですね。新型コロナウイルスに対する考え方っていろいろあって、PTA活動をしている立場上、下手なことを言って噂になるのも困るなあと思うと言えなくて……。

ただ、自粛期間中は人と会うことを避けていましたが、毎月、ネイルのお手入れだけは通っていたんです。ネイリストさんがとても信頼できる方で、なんでも話せます。身近な人には言えないことも、ちょうどいい距離感で聞いてもらって、心の安定剤でした。すごく助かりましたね。


月1回のネイルチェンジについての投稿。ネイリストさんとの関係についても語られている


勝先生:近頃は、新型コロナウイルスの感染状況もずいぶん落ち着いてきましたよね。PTAの活動範囲や私生活は変わってきましたか?


オグミエ:そうですね。コロナ禍以前のような対面開催に戻った行事もあり、制限はかなり緩和されました。プライベートでは、まだ私自身は外食を控えています。もともと家で過ごすのが好きなので、まったく気にならないのですが。

わが家は私がPTA活動をしていることもあり、ほかの家よりも感染対策を厳しくせざるを得ませんでした。子どもたちに、「あの子たちは公園で遊んでいるのに、なんでぼくは遊べないの?」と聞かれたこともあって、しわ寄せが家族にもいってしまっていましたね。いまは、私だけ家にいて、夫と子どもたちは外食にも行くようになりました。


勝先生:コロナ禍では、母親同士の集まりも減って、先輩ママに相談できる場がなくなってしまったのが困るという方もいらっしゃるようでした。PTAでそのような話題が出たりしませんでしたか。


オグミエ:幼稚園では、お母さん同士のランチ会や懇親会を定期的に開催していたのですが、それが一切できなくなりました。「もう少しほかのお母さんと関わりたい」「懇親会をやってほしい」という声が多くあっても、感染対策を第一に考えていたので、開催できなかったんです。

でも、地域のつながりって大切で、園で親同士がつながって、小学校に上がってもつながっていくという流れがあったんですよね。だから、せめて新しい年度には顔合わせだけでもできたらと思っていました。今年は3年ぶりに顔合わせ会を開催できたようなので、本当に良かったです。


勝先生:地域のつながりは、支え合いでもありますからね。

不安なときは話を聞いてもらうだけでもいい

オグミエ:一方で、親密すぎる関係性が苦手な方もいることがわかりました。グループLINEやランチ会が必要かどうか、保護者にアンケートを取ったんですが「必要ない」という声も一定数あって。PTA活動を続けている私としては、少し寂しい思いもしました。


勝先生:PTAの役員決めがつらいという声もよく聞きます。さまざまな意見をまとめていくのは大変な役割だと思いますよ。コロナ禍において、家庭での雰囲気はどうでしたか?


オグミエ:家の中では、いつも明るく笑って過ごせる環境づくりを心掛けてきたつもりです。でも、気持ちに余裕がなくなると細かいことが気になったり、イライラしてしまったり。気をつけたいですね。

2022年6月、家族4人で江島神社を訪れたときの写真。オグミエさんの趣味である御朱印巡りに、家族もついてきてくれたそう

勝先生:楽しい雰囲気づくりをしよう、お子さんの成長に役立つことをしてあげようという姿勢で家族と向き合われているのは、とても素晴らしいと思います。

お子さんの不安って、お母さん、お父さんの姿を見ているからこそ起こることも多々あるんです。ご自身が元気でいられるように、友達や趣味など、自分の支えをたくさん持っておくと気持ちが安定しますよ。
(親子のストレスの関連性については、「コロナ禍の子どものストレス。親ができる対処法は?」もあわせてご覧ください)

PTA会長さんのように、組織の上に立つ人は、相談されてばかりで自分は相談する人がいないという立場になりやすい。先ほどのネイリストさんとか旦那さんのような、信頼できる人に話せる状況をつくっていきましょう。不安なとき、誰かに話を聞いてもらえるということは、心の健康を保つうえでとても大切なことです。


オグミエ:本当にそのとおりですね。今日は、心の専門家である先生に「大丈夫」「それでいいんだよ」って言ってもらえて、すごく安心できました。私の役割は、母親として、PTAの会長としてみんなを支えたり励ましたりすることだと思っていましたが、私にも相談する相手は必要ですね。リラクゼーションと気分転換、そして話を聞いてもらうことを、これからも意識していきたいと思います。

CREDIT
取材・文:及川夕子 編集:HELiCO編集部 写真:玉村 敬太
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