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現役アスリート3名が実践する、不安に打ち勝つ方法

多くの期待を背負ってフィールドに立つアスリートは、プレッシャーに直面することも数多くあるはず。大会や試合前など、不安や緊張を感じたとき、どのように克服しているのでしょうか。

今回は、2021年の東京オリンピックで女子バスケットボールチームのキャプテンを務めた髙田 真希選手、トライアスロン競技で東京パラリンピックに出場した谷 真海選手、フィンランドのサッカー1部プロリーグで活躍中の田中 亜土夢選手の3名に、プレッシャーに打ち勝つ方法をメールでインタビュー。不安を抱えている人に向けた貴重なアドバイスもお聞きしました!

INDEX
女子バスケ・髙田 真希選手「事前の準備で不安要素をなくし、自信をつける」
トライアスロン・谷 真海選手「自分の心と体の状態にしっかりと向き合う」
サッカー・田中 亜土夢選手「自分にしかできないことを探して自信をつける」

女子バスケ・髙田 真希選手「事前の準備で不安要素をなくし、自信をつける」

髙田 真希選手
女子バスケットボール選手(デンソーアイリス所属)

中学校からバスケットボールをはじめ、高校はバスケの名門校に進学。卒業後はデンソーアイリスに加入し主力選手として活躍した。東京オリンピックでは女子バスケットボール日本代表チームのキャプテンを務め、オリンピック史上初の銀メダルを獲得。選手として活動する傍ら株式会社TRUE HOPEを設立し、スポーツを身近に体感できるイベント等の企画・運営も行う。

公式サイト
Twitter:@Takada08
Instagram:@maki_takada


―不安やプレッシャーを感じる瞬間はありますか。

髙田:試合前などはもちろん感じるときもありますが、みなさんが感じられるであろう、過度な不安やプレッシャーはほとんど感じません。プレーに影響が出ることはないです。

髙田 真希選手 ©DENSOIRIS

―緊張をやわらげるために行っていることや、意識していることはありますか。

髙田:緊張は不安からくることが多いです。その不安を一つでも無くせれば緊張も少なくなると思います。そのためにやることは、直前に焦ることではなく、事前の準備です。

練習で、不安に感じるであろう要素をなくし自信をつけたら、試合ではプレッシャーを感じずに練習でやってきたことを発揮するだけです。

オリンピック前もたくさん練習して「このぐらいやったら大丈夫だろう」と思えたことが、緊張することなく試合に臨めた要因だと思います。


―緊張やプレッシャーに打ち勝つ精神力を手に入れるため、大切にしていることを教えてください。

髙田:つねに試合を意識した練習をする。試合で起きそうなことを想定して、準備や対策のパターンを頭のなかに入れておく。

髙田選手が自分を鼓舞するためによく聴く1曲は?

EXILE『DIAMOND』

不安を感じやすい人へ。髙田選手からのメッセージ

―入学や卒業、就職や引っ越しなど環境が変わると不安を抱きやすくなる人も多いと思います。そういった方々に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。

髙田:どのような状況でも、何が起きても力を発揮するために、日頃から準備をしておくと良いでしょう。また、興味を持ったことに挑戦すると、新しい出会いも増えると思うので、いろいろなことに挑戦してください。

2022年3月30日に、ご自身の体験からポジティブ思考のコツまでを書いた『苦しい時でも、一歩前へ!』を出版。

トライアスロン・谷 真海選手「自分の心と体の状態にしっかりと向き合う」

谷 真海選手
パラ トライアスロン選手

大学時代、早稲田大学応援部チアリーダーズで活躍するなか骨肉腫を発症し、2002年に右足膝下を切断。しかし翌年からスポーツを再開、2004年には走り幅跳びでアテネパラリンピックに出場し、その後3大会連続出場を果たす。2015年に出産を経験、2016年にはトライアスロンへと転向し、2021年の東京パラリンピックにも出場した。

Twitter:@mami_sato


―不安やプレッシャーを感じる瞬間はありますか。

谷:パラリンピックは4年に一度なので、その選考会、そして本番と、いつも大きな緊張を感じます。特に、大会の1週間前くらいから感じるプレッシャーはすごいです。

不安を打ち消すためにも、練習に取り組みます。

谷 真海選手 Photo by 竹見脩吾

―緊張をやわらげるために行っていることや、意識していることはありますか。

谷:「緊張は試合につきもの。緊張するほど集中力も高まり良いパフォーマンスができる。」とこれまでの経験から自分に言い聞かせています。

大きく深呼吸をして心身をリラックスさせるように心がけたり、雑誌を読むなどほかのことをしたり、考えすぎずリラックスする時間をつくるように心がけています。

海外の大会など距離が離れているときでも、電話で家族と話したりすると緊張が和らぐので、その時間も大切にしています。


―緊張やプレッシャーに打ち勝つ精神力を手に入れるため、大切にしていることを教えてください。

谷:1日1日の積み重ねこそが自分の限界値を上げてくれるので、つねに「限界の蓋を外す」ことを意識しています。「頑張ってもここまでしかできない……」というふうには考えないよう癖づけをしてきました。やはり最後に大事になるのは気持ちの強さだと思っています。

でも、緊張やプレッシャーに打ち勝つために追い込みすぎると、疲労困ぱいで最大限のパフォーマンスが出しきれなくなってしまいます。そうならないために、自分の心と体の状態にしっかりと向き合うことも大切にしています。

東京2020パラリンピックへの挑戦を記録した『パラアスリート谷真海 切り拓くチカラ』(徳原 海著)

息子と一緒にリラックス。谷選手が日々の生活でよく聴く音楽

谷:じつは、ほかのアスリートの方がよく試合前に音楽を聴いてらっしゃるようなことを私自身はしていません(笑)。

でも、昨年末の紅白歌合戦の審査員を務めさせていただいたときに、あらためて音楽の素晴らしさを感じました。日々の生活のなかでは、ゆずさん、AIさんなどを聴きます。息子が大好きなのでKing Gnuさんもよく聴いています。

息子さんとのランニング風景

不安を感じやすい人へ。谷選手からのメッセージ

―入学や卒業、就職や引っ越しなど環境が変わると不安を抱きやすくなる人も多いと思います。そういった方々に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。

谷:新しい環境は、誰もが多かれ少なかれ不安を抱きますよね。それを乗り越えようと頑張りすぎると、どこかで疲れ切ってしまうこともあると思います。

緊張や不安を1人で抱えすぎずに、自分の身近な人に打ち明ける、不安を言葉にするなど行うと、スッと楽になったりもすると思います。私も大会のシーズンが始まるたびにいつも不安を感じますが、家族と話すことでその不安や緊張を共有して、少しでも心が安らぐようにすることを意識しています。

大会後にご家族で撮影

サッカー・田中 亜土夢選手「自分にしかできないことを探して自信をつける」

田中 亜土夢選手
サッカー選手

2005年にアルビレックス新潟の特別指定選手となり、高校生ながらJリーグ公式戦に出場。2006年にアルビレックス新潟に入団し、同年にはU-20日本代表に選出。2015年、フィンランドのHJKヘルシンキに移籍し、日本人として初めてフィンランドの1部プロリーグに挑戦する選手となる。2018年にセレッソ大阪へ加入するも、2020年には再びHJKヘルシンキに復帰。2015年の移籍後からフィンランドのサウナに魅せられ、2020年の復帰後には情報サイト『MOI SAUNA』を立ち上げフィンランドの文化やサウナの魅力を発信している。

Twitter:@atomini98
Instagram:@atom_tanaka_official
運営サイト:MOI SAUNA(モイサウナ)


―不安やプレッシャーを感じる瞬間はありますか。

田中:試合に出られない期間や怪我をしたとき。あとは、リーグ戦とは違う大会(UEFA チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグなど)に出場するときですね。

田中 亜土夢選手

―緊張をやわらげるために行っていることや、意識していることはありますか。

田中:試合前は自分の良いプレー集やゴール集などを見て、良いイメージを持つようにしています。すると、同じようなシチュエーションになったとき、それが出ることがあります。

あとは、試合前のルーティンをつくるようにしています。いっぱいつくると大変なので、ぼくはいくつか決まったことをして、自分のなかで安心して試合に挑みます。

どんな大会、試合でも、同じ流れをつくればいつものパフォーマンスや、それ以上のパフォーマンスを出せると信じています。


―緊張やプレッシャーに打ち勝つ精神力を手に入れるため、大切にしていることを教えてください。

田中:まず自分は何が得意か、どんなことができるのか。自分にしかできないことを探して、それをつねに表現する、自信をつけることが、不安やプレッシャーに打ち勝つ方法だと思います。

あとは、メリハリを大事にすることです。ぼくは趣味が水墨画を描くことなので、絵を描いているときはとてもリラックスできます。自分のなかで無になれる時間です。

そしてもうひとつは、サウナに入ること。試合の次の日に入ることが多いですが、試合の振り返りをして頭のなかを整えるなど、体を整えるリカバリーとしても良い役割になっています。

田中選手が自分を鼓舞するためによく聴く1曲は?

ナオトインティライミ『LIFE』

不安を感じやすい人へ。田中選手からのメッセージ

―入学や卒業、就職や引っ越しなど環境が変わると不安を抱きやすくなる人も多いと思います。そういった方々に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。

田中:近くに頼れる人を探したり、何かお願いできる人がいたりすると、新しい環境で困ったときに不安要素は消えるし、自分の気持ち的に楽になります。そういう環境を自分自身でつくり出すことが大事になってきます。

新しい環境、新しい挑戦は楽しいことばかりではありませんが、それを乗り越えた先に素晴らしい未来が待っています! 自分に期待をしてそのときを楽しみましょう!

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部
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