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コロナ禍の子どものストレス。親ができる対処法は?

長引くコロナ禍でストレスを感じているのは、大人だけでなく子どもも同じ。国立成育医療研究センターのアンケートによれば、コロナ禍で約7割の子どもが何らかのストレスを感じていたほか、約6人に1人に中等度以上のうつ症状がみられたとのデータも(第7回調査より)。

コロナ禍で子どもはどのようなストレスを抱えていて、それがどのようなかたちで現れるのでしょうか? また、コロナ禍に限らず、子どものストレスを察知したとき、大人たちはどのようにケアすればよいのでしょうか? 知っておくことで、親子ともにストレスへうまく対処する方法が見つかるかもしれません。

子どものストレスは「年代別」に考えよう

子どものストレスを考えるときは、年代別にとらえることが大切。たとえば、「幼稚園・保育園から小学校低学年まで」と、「小学校高学年から中高生まで」の年代では、ストレスの現れ方がまったく異なるからです。小学校中学年の場合はその中間ぐらいですが、子ども個人の成熟度にもよるでしょう。

幼稚園・保育園から小学校低学年くらいまでは、世界の中心は自分と親です。そのため、友だちとの関係性よりも、親との関係性が特に重要になります。また、この年代の子どもたちがコロナ禍で感じたストレスは、「急な環境変化に適応できないこと」や「いつもできていた行動ができなくなったこと」によるものが多いよう。幼稚園や小学校に進学しても、友だちと距離を取ることを強いられたり、コロナ禍以前はできていた遊びができなくなったりしたことに、強いストレスを感じるケースが多く見られます。

一方で、小学校高学年くらいから上の年代になると、親よりも友だちとの関係性の方が心地良いと感じるようになっていきます。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大初期には、全国で一斉休校の措置が取られた時期もあり、友だちと会えなかったり、部活動や学校行事が制限されたりすることにストレスを感じる子どもが増えました。

子どもが抱えるストレスの半分は、じつは親が原因!?

年齢にかかわらず共通していえるのは、子どもが抱えるストレスの半分は、親のストレスが原因になっているということ。親がストレスを抱えて余裕がなくなってくると、そのこと自体が子どもにとっても大きなストレスになるのです。

いまは少しずつ慣れてきたとはいえ、コロナ禍では親自身がさまざまなストレスを感じていました。新型コロナウイルス感染症という未知のウイルスそのものはもちろん、慣れない在宅勤務や、新たな生活様式など、その原因はさまざま。そして、たとえ子どもに対する言動には表れていなくても、親のストレスは知らず知らずのうちに子どもに伝染します。親がピリピリしているだけで、子どもにも伝わってしまうことを忘れてはいけません。

子どものストレスサインを見極めるポイントは?

子どものストレスは、「疲れやすさ」として現れることが多いです。特に幼い子どもの場合は、「ストレス」が何かをまだ理解していません。「つらい」「しんどい」と思っても、その正体が何であるのかを理解できないのです。そのため、表現できないストレスは「疲れ」というかたちで現れます。

さらに、中学生くらいになって反抗期に入ると、何か不安やストレスを抱えていたとしても、それを親に相談しなくなります。この段階で表現できなくなったストレスは、人間関係やコミュニケーションのなかに見られることが多いです。

たとえば、友だちに対して乱暴な態度を取ったり、親との会話で口数が少なくなったり、あるいはいつも遊んでいた友だちと急に遊ばなくなったり……。いままでと違う行動を取るようになったら、注意深く見守ってみてください。コミュニケーションのなかに、ストレスの兆候が見つかるかもしれません。

子どものストレスを察知したとき、親ができることは?

もしも、子どもがストレスを感じていると思ったら、まずはゆっくり休ませてあげましょう。塾や習い事で忙しくしているのなら、思い切って休ませる。あるいは、夜遅くまでスマホをいじっているのなら、一定のルールを設け、夜はゆっくり眠れる環境を整えます。大人も子どもも、ストレスを感じたり、疲れたりしたときは、何よりも横になってゆっくり休むことが基本だからです。

次に大切なのは、好きなことをして気分転換させてあげることです。大人もそうですが、好きなことや趣味に没頭すると気分がスッキリします。絵を描いたり、ブロックで遊んだり、何でもかまいません。好きなことに集中することで、嫌なことを忘れて気分転換することができます。

子どもが小さいあいだは、親も一緒になって子どもの好きなことを楽しむのがいいでしょう。一緒に遊んだり、料理をしたりするのも効果的。しかし、子どもが成長してくると、親と一緒に何かをやることが少なくなります。そのときは、帰宅時間などルールを決めたうえで、自由に友だちと遊びに行かせてあげるのもひとつの方法。子どもは友だちと話すことで、自然にストレス解消できるからです。

また、親と一緒でなければできないことを体験させてあげるのもおすすめ。ちょっとした遠出や、大人がつき添う必要のあるアクティビティーなど、非日常的な体験もいい気分転換になります。

ストレスや悩みは無理に解決しなくても大丈夫

子どものストレスと向き合うときに大切なのは、「解決しなければならない」と思わないこと。子どもが悩みを相談してきたときは、必ずしも解決策を求めているとは限りません。

そして、もうひとつ大事なのは、子どもがストレスを抱えている事実に気づくこと。さらに、「気がついているよ」と伝えてあげることです。子どもが話したそうであれば、何にどのようなストレスを感じているのか聞いてあげましょう。ストレスの原因を解決できなくても、話を聞いて問題を知ってあげることで、子どものストレスは大幅に軽減されるはずです。

「親のストレスケア」は「子どものストレスケア」に直結する

子どものストレスケアで重要なのは、親自身が自分のストレスケアをしっかりすること。これは、コロナ禍に限ったことではありません。親自身のストレスケアは、そのまま子どものストレスケアにつながるからです。

子どもを保育園や学童に預けて働くお父さんお母さんは、毎日がとても忙しいと思います。急いで仕事から帰って、お迎えに行って、帰ったらすぐに夕飯の支度やお風呂、宿題の面倒……分刻みでやるべきことが待っていますよね。しかし、家事や育児に追われて、いつの間にか自分を追い詰めてしまってはいませんか? 余裕がないと、そんなつもりはないのに、必要以上に子どもを叱ってしまうという方も少なくないと思います。

ならばいっそのこと、30分でも1時間でも延長保育などを活用し、その分の時間を自分のために使いましょう。カフェでお茶を飲んでひと息ついたり、マッサージをしてリラックスしたり。それで少しくらいお迎えが遅くなったとしても、親がしかめっ面をしているよりはずっといいです。親自身にゆとりがあるかないかで、子どもが感じるストレスには大きな差が生まれます。

親子に限らず、誰だって自分に余裕がなければ人に優しくなどできません。そう考えると、親はもっと自分自身を大切にして、自分のストレスマネジメントを優先していいのです。子どもの様子に気を配ることはもちろん大切ですが、自身のストレスケアも意識的に行ってみてください。

教えてくれたのは・・・
武神 健之先生
医学博士、日本医師会認定産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事

金融業・コンサルティング業・IT業・輸送用機器業・教育業など大手外資系企業を中心に、健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。研修などを通し、不安とストレスに悩まない、落ち込まない技術を広めている。著書に『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』(PHP研究所)、『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書』(きずな出版)、『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣』(産学社)など。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:Mariko Fukuoka
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