黒幕は歯周病!?
歯周病の原因となる細菌やほかの細菌が口内で増殖すると、唾液にも多くの細菌が含まれるようになる。食べものや飲みものを飲み込む際に誤って食道ではなく気道に入ってしまうと、唾液に含まれていた細菌が肺で増殖し、肺炎を引き起こす。特に飲み込む力や免疫力が低下している高齢者は要注意。
血流の悪化による免疫の低下や口の乾き(唾液分泌量の低下)により、歯周病を引き起こしやすく、進行がはやいのも特徴。歯周病により歯肉に炎症が起きると、サイトカインという物質が活性化。これが血糖値を下げるインスリンのはたらきを阻害するため、血糖値のコントロールが困難になり、糖尿病が悪化することが多い。
関節リウマチにより炎症が起きると、サイトカインが活性化。すると、新たな骨を作るために古い骨を破壊する、
歯周病にかかると、歯周病の原因となる細菌が歯肉から血流にのって全身に。血管がこの細菌に感染すると炎症が起こる。そこにマクロファージとよばれる白血球が付着して悪玉コレステロールを取り込み、動脈硬化となる。結果的に血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる。
歯周病によって炎症が起こると、歯周病菌が血流にのって胎盤や子宮に運ばれたり、サイトカインという物質の血中濃度が高くなったりする。サイトカインは、プロスタグランジンという子宮を収縮させる作用をもつ物質の分泌を促すため、胎児が十分に育つ前に子宮の収縮が始まって早産となるリスクが上昇し、結果的に低体重児出産となるリスクも上昇する。
【監修】和泉 雄一 先生
(東京医科歯科大学 名誉教授)
歯周病治療のスペシャリスト。臨床現場だけではなく、歯周病と全身の疾患とのかかわりなどの研究にも力を入れている。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.33
「口内トラブル」より転載(2019年4月15日発行)