広がってます花粉症治療の選択肢
医療機関では、症状や重症度だけでなくライフスタイルにも合わせたさまざまな治療の選択肢があり、年々進化しています。

花粉症の症状で医療機関を受診すると、ほとんどの場合は薬物療法から治療がスタートします。
初期療法が大事
花粉症の薬は、症状が強くなる前から服用すると発症を遅らせ、重症化を防ぐこともできます。住んでいる地域に花粉が飛び始めたら、もしくは少しでも花粉症の症状が出始めたら薬の服用を始めましょう。
リフィル処方箋を使ってみよう
症状が安定している場合、医師が指定した一定期間内に繰り返し使用できる「リフィル処方箋」が便利です。同じ処方箋を調剤薬局に持参すれば医師の診察を受けることなく最大3回まで薬が処方されます。希望する場合はかかりつけ医に相談を。

スギ花粉症を根本的に治療する唯一の治療法です。長期間薬を服用する必要がありますが、症状改善の効果が高く、治療をやめても効果は持続することが報告されています。
花粉が飛んでいない時期から毎日薬を服用
治療の前提として、花粉症の症状がスギ花粉によるものだと検査で確認する必要があります。その後、花粉が飛び始める前に治療を開始。舌の下に薬を置き、一定時間そのまま保持してから飲み込むことを毎日続けます。そのため「舌下免疫療法」ともよばれます。
正しく治療できると長い期間効果が持続
薬を3~5年間継続して服用すると症状が治る・長期間症状をおさえる・症状が軽くなる効果が期待できます。
治療について相談するには?
舌下免疫療法ができる医療機関は、こちらから検索することができます。

症状が重症で薬が効きにくいと、手術療法がすすめられる場合があります。手術にもさまざまな方法があるので、長年症状がよくならないときは耳鼻咽喉科医に相談してみましょう。

薬を服用しても症状が強い場合、2020年から保険適用になった「抗IgE抗体療法」も選択肢の一つになります。

花粉症のステロイド注射に注意
花粉症の症状に対して、ステロイドを筋肉注射する治療を行っている医療機関がありますが、重大な副作用のおそれがあるため、厚生労働省では推奨していません。治療を考えている場合は医師から十分に説明を受ける必要があります。
市販の点鼻薬の使いすぎに注意
市販の点鼻薬の中には血管収縮剤が入っているものがあり、使用しすぎるとかえって鼻づまりを起こすことがあります。用法・用量を守って使用しましょう。

※2024年12月現在、舌下免疫療法の薬が全国的に不足しているため、希望しても新たに治療を始められない場合があります

【監修】 川島 佳代子 先生
大阪はびきの医療センター 耳鼻咽喉・頭頸部外科 主任部長
アレルギー性鼻炎診療のエキスパート。一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が推進するプロジェクト「花粉症重症化ゼロ作戦」にてアレルギー性鼻炎の重症化予防の啓発活動なども行う。

ヘルス・グラフィックマガジンvol.54
「花粉症」より転載(2024年12月16日発行)