くじいた!ぶつけた!転んだ!こんなけがのときどうする?
きず・やけどの手当はバッチリ。でも、ねんざをしたら? 打撲をしたら? よくあるその他のけがの応急手当についても知っておこう!
これらのけがの悪化を最小限に抑える応急手当法として知られるのが「保護・安静・冷却・圧迫・挙上」の英頭文字をとった手当法、PRICE(ピーライス)。PRICE後は、痛みや腫れの具合に応じて整形外科を受診しよう。また、患部に明らかな変形があれば骨折の可能性も。この場合、患部には触れずに速やかに受診を!
むやみに動かさず、医療機関へ!
見た目にも関節が外れているとわかる状態(肩関節であれば肩が前にズレて見えるなど)のときは、患部を動かさないよう固定してすぐに整形外科へ。本人や周りの人が元に戻そうとするのは絶対NG! 周囲の神経を挟み込むなどして損傷がかえって大きくなることも。
戻ったように感じても受診を
見た目にはわかりにくくても、ガクッと一度関節が外れた感覚があった場合には、亜脱臼(あだっきゅう:関節の位置がズレて戻った状態)の可能性が。この場合も固定・冷却のうえ、必ず一度受診しよう。
安静にして下を向き、しっかり押さえる!
鼻や周囲についた汚れを洗ってきれいにし、血が止まるまで小鼻をしっかりつまんで押さえよう。首の後ろを叩いたり、上を向くのはNG。血がのどのほうへ流れていかないよう、うつむいて安静にするのがベスト。
折れた・抜けた歯は乾燥させない!
歯ぐきからの出血箇所はガーゼなどで押さえて止血。折れた・抜けた歯は、汚れていなければ口内に入れたまま、すぐに歯科を受診しよう。水道水ではなく、牛乳に浸けて持参してもOK(牛乳は浸透圧が体液に近いため、歯の根元の組織(歯根膜)が守られやすく、歯を元に戻せる可能性が高まる)。
広範囲なら水風呂で冷却を!
面積の広い日焼けの場合、水風呂などに浸かって冷却を図るのが◎。シャワーでの冷却は水圧が刺激になることがあるので要注意。焼いてから後悔の前に、日焼け止め等でしっかり予防を。
※他者のけがの手当を手伝う場合、感染予防の観点から、ビニール手袋やビニール袋などを活用し、相手の血液を素手で触ることのないよう気をつけましょう。
【監修】広瀬 統一 先生
(早稲田大学スポーツ科学学術院 教授)
スポーツ現場におけるけがの応急手当のエキスパート。アスリートの傷害・再発予防やコンディショニングについての研究を行う一方で、サッカー日本女子代表フィジカルコーチを務めるなど、研究と現場の架け橋を担う。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.30
「きず・やけど」より転載(2018年7月17日発行)