朝のおかんは正しかった!
「睡眠なのに朝??」と思うなかれ。睡眠と覚醒は表裏一体であり、起きている時間をどう過ごすかが、眠りの良し悪しを左右するのです。特に朝は、眠りから覚醒にスイッチする大事な時間。朝に「体内時計」を調整し、体をしっかり目覚めさせることがよい睡眠につながります。毎朝行いたい3つのポイントは、実は実家でおかんが毎日しつこく言っていたことでした。
脳や内臓に備わっており、脳にあるメインの体内時計が内臓の体内時計に指示を出して、体内のさまざまなリズムを整えています。時計といっても、24時間ぴったりでは動いていません。脳の体内時計は外界からの刺激(太陽光など)によって時間のズレを調整していますが、不規則な生活などで昼夜が逆転してしまったりすると、脳からの指示がうまく伝わらなくなり、睡眠が不安定になってしまうのです。
脳の体内時計にとって、太陽の光が「朝」を認識する一番の情報源。朝日が目に入ると体内時計が調整されて外界の時間と揃うので、朝になったらカーテンをあけて朝日を浴びましょう。くもりや雨の日でも十分な光が届くので、天候にかかわらず、朝は外の光を浴びることが大切。
体内時計を調整するタイミングを整えることも大切。毎日同じ時間に起きて朝日を浴び、1日をスタートさせることで夜の寝つきが良くなります。毎日同じ時間に同じ行動をすると、体がそのパターンに合わせて行動に適した状態になるので、調子が整いやすくなるのです。
内臓の体内時計は、長い絶食のあとの食事によって「朝」がきたことを認識します。朝食を抜くと内臓の体内時計が「朝」を認識せず、自律神経の活動レベルも上がりにくくなってしまいます。1日の活動を始めるエネルギー補給のためにも朝食は重要です。なお、夕食と翌朝の朝食の間(絶食時間)は、10時間以上あけるのが理想的。
【監修】井上雄一先生
睡眠総合ケアクリニック代々木 理事長
睡眠に関するあらゆる障害に対応し、治療だけでなくカウンセリングなどのきめこまやかなケアも行う、睡眠障害治療のエキスパート。
著書に『高齢者の睡眠を守る-睡眠障害の理解と対応-』(ワールドプランニング)など。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.39
「睡眠不良」より転載(2021年3月15日発行)