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目に優しい栄養たっぷり。井澤由美子さんの食養生レシピ

毎日休みなく働きつづけている、私たちの“目”。いつのまにか蓄積した疲労が、気づけば全身に広がっていることも少なくありません。そんなときには、目をいたわる食材を使った滋養たっぷりの料理がおすすめ。目にも心身にも優しい食養生レシピ3品を、料理家で養生デザイナーの井澤由美子さんに教わりました。

教えてくれるのは・・・
井澤 由美子さん
料理家・養生デザイナー

旬の食材の効能と素材の味を生かした、身体を健やかに保つレシピが得意。江戸っ子らしい、気さくで温かみのある人柄も人気。発酵食レシピの開発はライフワーク、中医学・薬膳にも造詣が深い。予防医学でもある中医学に、エビデンスのある栄養学を織り交ぜ、しっかりとアプローチする食養生を提案する。レモン塩・乳酸キャベツなど、さまざまなブームの火付け役でもある。NHK「きょうの料理」「あさイチ」「趣味どきっ!」などの料理番組のほか、CMやカタログ、店舗プロデュースなど、身体に優しい商品開発を多く手がけている。
Instagram:https://www.instagram.com/yumiko_izawa/

疲れ目や眼精疲労……目をいたわる食材は?

スマートフォンやパソコン、テレビなど、日々の生活で目を酷使しがちな現代人。目を使いすぎるがあまり、眼精疲労となって全身に疲れが広がってしまうことも……。

こうした症状には、中医学と栄養学を織り交ぜた身体を養うための英知「食養生(しょくようじょう)」の観点からも、目をいたわる食材を摂取することが大切だと井澤さんは話します。

「まず、栄養学の観点でいうと、にんじんやかぼちゃ、小松菜などの緑黄色野菜に含まれるカロテンは、体内でビタミンAに変換され、粘膜を健やかに保つ働きがあります。角膜の新陳代謝を促してくれるので、目の疲れやドライアイが気になるときに摂りたい栄養素です。

また、動物性タンパク質である卵やレバー、うなぎも、ビタミンAを多く含む食材。滋養があり、身体の巡りを整えてくれるので、疲労回復に役立ちます。

普段から目を酷使している方は、こうした食材を意識的に日々の食事に取り入れてみるといいと思います」(井澤さん)

井澤 由美子さん

そのほかに摂っておきたい栄養素として挙げられるのが、ルテインやアスタキサンチンなのだそう。

「先ほどビタミンAの話で触れた緑黄色野菜は、ルテインも多く含んでいます。目の網膜に多く存在するルテインが減少すると、眼疾患につながる可能性があるため、積極的に摂取するのがおすすめですね。えびや鮭などに含まれる赤い色素アスタキサンチンも、目のピント調節機能をサポートすることで知られています」(井澤さん)

緑黄色野菜

加えて、ビタミンB、C、Eやアントシアニンなどが含まれている食材も◎。古くから目をいたわる薬膳として知られる食用の菊花もおすすめ

「また、中医学には『肝は目に開竅(かいきょう)す』という言葉があって、目と関わりの深い五臓は『肝』といわれています。ここでいう肝とは、気や血をのびやかにして循環させたり、貯めておいたりすることを指します。

肝によいとされる食材のなかには、栄養学観点で挙げた食材もあって、緑黄色野菜もそのひとつ。アサリ、しじみ、牡蠣、たこ、イカなどのタウリンが豊富な食材も、肝の働きを助けてくれます」(井澤さん)

今回は、目に優しい食材をたっぷり使ったどんぶり、汁物、おかずの3品のレシピを井澤さんに教わります。

【どんぶり】にんじん酢でさっぱり!「簡単養生ビビンバ」

養生ビビンバ

目をいたわる食材&ポイント

◾️にんじん・小松菜(緑黄色野菜)/高野豆腐(植物性タンパク質)/卵・鶏ひき肉(動物性タンパク質)/酢/麹/オリーブオイル/ごま/クコの実

井澤さん

緑黄色野菜のなかでも特にカロテンが豊富なにんじんをお酢と合わせてビビンバにのせ、さっぱりといただきます。カロテンは脂溶性なので、油と合わせたり、炒めたりすると効率よく摂取できます。

材料(2人分)

  • 鶏ひき肉…200g
  • 高野豆腐…1個
  • 小松菜…2株
  • 卵黄…2個
  • おろしにんじん…大さじ3〜4
  • ごま油…少々
  • 塩…少々

<A>

  • にごり酢(もしくはお酢)…大さじ1
  • 塩麹…大さじ1/2
  • オリーブオイル…小さじ2
  • クコの実‥お好みで

<B>

  • 醤油…大さじ1半
  • みりん…大さじ1半
  • 酒…大さじ1半
  • てんさい糖(もしくは砂糖)…小さじ1
  • おろし生姜…大さじ1

つくり方

1.洗った小松菜を粗みじん切りにし、フライパンに入れ、塩とごま油をふって中火で1〜2分炒めて容器に取り出しておく。おろしにんじんにAを混ぜておく。

井澤さん

おろしにんじん、にごり酢、塩麹、オリーブオイルを混ぜてにんじん酢をつくると、甘みが引き立つだけでなく、栄養を効率よく体内に摂取できるようになります。目によいといわれる薬膳、クコの実もお好みで合わせてみてください。

2.鍋に鶏ひき肉とBを入れ、よく混ぜてから中火にかける。ときどき箸で混ぜながら肉の色が変わるまで3分ほど煮る。刻んだ高野豆腐を加えて全体をなじませる。

井澤さん

鶏ひき肉は必ず調味料と混ぜて、水分を吸わせてから火にかけましょう。少しの手間で、パサつかず、しっとりとおいしく仕上がりますよ。それから、植物性タンパク質が豊富な高野豆腐。水に戻して煮物に使うことが多い印象ですが、乾燥した状態で刻んで使うことで味がしっかり染み込み、満足感がアップします。

3.器にごはんをよそい、1と2の具材と卵黄を盛る。お好みですだちを添えたり、ごまをふったりしてもOK。

【汁物】ゴロッとした具で満足感たっぷり「南瓜と玉ねぎのお味噌酢汁」

南瓜と玉ねぎのお味噌酢汁

目をいたわる食材&ポイント

■かぼちゃ/玉ねぎ/味噌/酢

井澤さん

「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」という言い伝えがあるほど、滋養強壮パワーたっぷりのかぼちゃ。カロテンやビタミンが豊富なので、目の疲れを癒すのにもぴったり。味噌を一緒に使うことで回復力が高まります。

材料(2人分)

  • かぼちゃ…300g
  • 玉ねぎ(小)…1個
  • 出汁…380cc
  • 味噌…大さじ2
  • にごり酢(もしくはお酢)…大さじ2

つくり方

1.カボチャはラップに包んで600Wのレンジに2〜3分かけ、厚手の布やホイルに包んで5分置く。

井澤さん

かぼちゃはレンジにかけた後、布やホイルで「おくるみ」をすることで、より甘くなってホクホクとした食感になりますよ。

2.カボチャの粗熱が取れたら大きめに切る。玉ねぎは厚切りにする。

3.出汁に玉ねぎを入れて温め、かぼちゃを加えて味噌をとく。

4.お椀によそい、食べる前ににごり酢を加える。

井澤さん

味噌汁にお酢を合わせることで、すっきりとした味わいになりますよ。お酢は消化を助けてくれる働きもあるので、目をはじめ、疲れた身体を癒してくれるはず。昆布のようなうまみを感じられるにごり酢がおすすめですが、お酢でもOKです。

【おかず】作り置きもOK!「焼き野菜とエビのデリサラダ」

焼き野菜とエビのデリサラダ

目をいたわる食材&ポイント

◾️えび/ブロッコリー/レモン/麹

井澤さん

アスタキサンチンを含むえびは、眼精疲労の予防や軽減が期待できる食材。たっぷりの焼いた緑黄色野菜と一緒にいただくサラダは、清潔な密封容器に入れると3日ほど冷蔵庫で保存がきくので、作り置きしておくのもおすすめです。

材料(2人分)

  • ブロッコリー(大)…1/2個
  • にんじん…50g
  • さつまいも…1/2個(120g)
  • れんこん…90g
  • むきえび…150g

<A>

  • レモン果汁…半個分
  • 塩麹…大さじ1
  • こしょう…少々
  • レモンスライス…2〜3枚
  • オリーブオイル…大さじ1

<B>

  • 鶏ガラスープの素…小さじ1/2
  • バター…小さじ2
  • 塩…少々
  • こしょう…少々

つくり方

1.えびはレモンスライスと塩少々を入れた熱湯で3分前後、えびの色が変わるまで中火で下ゆでする。熱湯から取り出したら、Aでマリネしておく。

井澤さん

えびはレモンやハーブを入れて塩ゆですると臭みが抜け、おいしくなりますよ。ゆですぎないことも、ぷりぷりの食感に仕上げるポイントです。

2.ブロッコリーは小房にわけ、にんにくはつぶす。さつまいもは乱切りにして、水にさらしてから耐熱皿に置き、ラップをして600Wのレンジに2分半かける。れんこんは薄切りにして、好みの硬さに下ゆでする。

3.フライパンを中弱火にかけ、にんにくとオリーブオイルを入れる。香りが出たら、ブロッコリーを入れて両面焼く。さらにさつまいも、れんこんも加え、Bと水大さじ1〜2(分量外)を全体にふり、蓋をして1〜2分蒸し焼きにする。

4.ボウルに入れ、えびをマリネ液ごと加えて、全体をさっくりと混ぜたら器に盛る。

健やかな体と心は、日々の食事からつくられる

食養生には、適切な食事が薬になる“薬食同源”という言葉があります。この言葉どおり、健やかな体と心を作る土台は日々の食事にあると井澤さん。

「自分の身体や心の調子に合った食材や食べ方を知ることが大切です。目の不調を感じたら、食べるものをほんの少しだけ変えてみる。そうしたら、毎日が健やか、豊かに変わるかもしれません。食を楽しみながら、ぜひ無理なく続けてみてください」(井澤さん)

目をいたわる食材をたっぷりと使った今回の食養生ごはん。3品どれも仕事や家事の合間にさっと作れるので、ぜひお試しを。

CREDIT
取材・文:船橋麻貴 写真:藤原葉子 編集:HELiCO編集部+ノオト
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