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意外と知らない!メガネ&コンタクトレンズの正しい扱い方

日本におけるメガネユーザーは約7,500万人、コンタクトレンズユーザーは1,500万~1,800万人と、多くの人にとって身近なアイテムになりました。私たちの視力をサポートしてくれるメガネやコンタクトレンズですが、適切に使用しないと視力がさらに低下する原因になったり、目の病気やトラブルを引き起こしたりすることも。

本記事では、普段なかなか教わる機会のない選ぶときのポイントや、注意したい扱い方について解説します。

メガネやコンタクトレンズは「医療機器」

日本では2人に1人がメガネユーザー、10人に1人がコンタクトレンズユーザーともいわれており、「ないと生活できない!」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな身近なアイテムであるメガネやコンタクトレンズは、じつはれっきとした「医療機器」。それぞれ以下のように分類されます。

メガネ:一般医療機器
副作用や機能の障害が生じた場合でも、人の生命や健康に影響を与える恐れが極めて低いと考えられるもの

コンタクトレンズ:高度管理医療機器
副作用や機能の障害が生じた場合に、人の生命や健康に重大な影響を与えるおそれがあり、適切な管理が必要なもの

一定の品質や有効性、安全性が担保されたもののみが「医療機器」としての販売を許可されています。そのため、適切なところで購入する必要があると同時に、使用する私たちも正しく扱わないと目のトラブルなどを引き起こしてしまう可能性があります。

眼科を受診してからメガネをつくるメリットは?

近年は、メガネ屋さんで短時間でメガネをつくることができるようになりました。そのため、メガネを作る際に、わざわざ眼科を受診しないという方も多いのではないでしょうか。眼科では、実施する検査にもよりますが、基本的には3,000円程度でメガネの処方箋を発行してもらうことができます。ここでは、眼科を受診してからメガネをつくるメリットについて解説します。

目が見えにくくなっている原因を把握できる

眼科で検査を受けることで目が見えにくくなっている原因を精査できるため、仮に病気が隠れていた場合も、その病気を見つけて治療することができます。特に40歳以上の20人に1人は緑内障ともいわれているため、きちんと受診をすることが望ましいです。

用途に合わせて、見えやすい、疲れにくいメガネをつくることができる

人の目には、カメラでいう「オートフォーカス機能」が備わっており、無意識に見え方の調節をしています。この機能が働いている状態でメガネの度数を合わせると、常に目が酷使されている状態となってしまい、「必要以上に度数の強い、目が疲れるメガネ」になりやすいのです。

新しくメガネをつくるときは、具体的にどのような場面や環境で使用したいのかを明確にしておくと、より自分に合った度数のメガネに仕上げることができます。たとえば、一口に「デスクワーク用のメガネが欲しい」といっても、自分の目とパソコン・ディスプレイまでの距離が40cmなのか60cmなのかは重要なポイント。20cm違うだけで、メガネの度数は5段階ほど変わるからです。

デスクワーク時に使用するメガネをつくりたい場合には、事前に目とパソコン・ディスプレイまでの距離を測っておくとよいでしょう。現在使っているメガネがあれば、眼科を受診する際に持参しましょう。

意外と知らない? メガネの寿命と正しい扱い方

メガネは質が高いものかつ、丁寧に手入れをしていた場合でも4~5年ほどの寿命といわれています。使い方や温度による変化などで、どうしてもフレームが歪んでしまうのです。

メガネのレンズはカーブしており、どこから見るかによって度が変わります。本来はレンズの中心から見ることで適切な度数になりますが、フレームが歪むと、中心からズレた位置で見ることになってしまいます。日常的に見えにくさや目の疲れやすさを感じたら、眼科を受診して、メガネの度数が適切かを検査してもらうとよいでしょう。

メガネのフレームの歪み

また、40歳ごろから老眼が始まったり、緑内障のリスクが高まったりして視力が変動しやすくなるため、40歳を超えたら年に1回眼科を受診するのが理想的です。

そのほか、できるだけメガネの寿命を伸ばすためには、どのような点に注意するとよいのでしょうか。

メガネは両手でつけ外しを

片手でメガネを外していると、だんだんとフレームが歪んでしまいます。先述のとおり、フレームが歪むと見え方(度数)も変わってしまうため、基本的にメガネは両手でつけ外しするようにしましょう。

メガネはティッシュや服で拭かないで!

レンズが汚れてしまった際、ティッシュや服で拭くとレンズが傷つく原因になります。レンズのコーティングも取れて見えにくくなってしまうので、きちんとメガネ拭きを使いましょう。汚れがひどい場合は、中性洗剤を使って水洗いするのがベストです。フレームが歪む原因となるため、お湯は使わないよう注意してください。

暑いところへの放置はNG

メガネは温度変化に強くありません。フレームの歪みやクラッキング(ひび割れ)の原因となるため、夏場の車内など暑い場所に置き忘れないよう注意してください。同じ理由で、メガネを着用したままの入浴も、メガネの寿命を縮める原因になります。

裸眼での入浴が不安であれば、比較的熱に強い入浴用メガネなどを用意するか、劣化することを前提に、以前着用していた古いメガネをお風呂用にするというのも1つの手です。

メガネを着用した際のNG行為

ソフトコンタクトレンズは素材や水分含有量、装着時間で選ぼう

メガネと同様に視力をサポートしてくれるコンタクトレンズは、ハード・ソフトの2種類に大別できます。ここでは、使用者の多く、素材がどんどん進化しているソフトコンタクトレンズを選ぶときに知っておきたい知識をご紹介します。

酸素透過率、含水率とレンズ素材の関係

ソフトコンタクトレンズを選ぶ際には、「酸素透過率」と「含水率」、「レンズの素材」に注目してみましょう。

酸素透過率とは

どのくらいの酸素がコンタクトレンズを通るかを示した値で、数値が高いほど酸素を通しやすいという意味になります。目(角膜)のなかにある角膜内皮細胞は、空気中の酸素を取り込んで「呼吸」をしていますが、コンタクトレンズを着用すると、裸眼時と比較して酸素を取り込みにくくなってしまいます。

角膜内皮細胞は、生まれたときから加齢とともに減り続ける細胞で、酸素不足になるとそのスピードがさらに加速します。角膜内皮細胞は目の透明性を保つ働きをしているので、その数が大きく減少すると角膜が濁り、視力低下の原因になります。

含水率とは

ソフトコンタクトレンズに含まれる水分量を表しており、数値が高いほど多く水分を含んでいることを示します。含水率が高いとレンズが柔らかくなりつけ心地がよい一方、蒸発する水分も多くなるため目が乾燥しやすくなります。

含水率50%以上を高含水、50%未満を低含水といい、酸素透過率と含水率の関係は、コンタクトレンズの素材によって異なります。

  • HEMA、PVA素材:含水率が高いほど、酸素透過率が高い
  • シリコンハイドロゲル素材:含水率が低いほど、酸素透過率が高い

長時間装用なら低含水のシリコンハイドロゲル素材がベスト

シリコンハイドロゲル素材は、HEMA素材の3倍以上酸素を通しやすいとされています。目のことを考えると、特に長時間(12時間以上)装用する場合には、酸素を通しやすく乾燥しにくい、低含水のシリコンハイドロゲル素材のソフトコンタクトレンズがベストです。

ただし、シリコンハイドロゲル素材は、HEMA素材などと比較するとコストが高くなってしまいます。そのため、スポーツをするなどで短時間装用する場合には、HEMA素材でつけ心地がよく、酸素を通しやすい高含水のものをつけるといった方法もあります。

また、ソフトコンタクトレンズには1day・2week・1monthタイプがあります。衛生面を考えると最も目に良いのは1dayですが、シリコンハイドロゲル素材と同様、コストの負担が大きいという面も。

使用場面や時間、コストなど、さまざまな面を考慮して、自分の生活に合ったソフトコンタクトレンズはどういったものなのか、眼科で相談してみるのもよいでしょう。

なお、子どもがコンタクトレンズを使用する場合、特に成長期は視力が変化しやすいことに加え、レンズの手入れや洗浄がきちんとできないことも多いため、1dayのコンタクトレンズを使用するのが望ましいです。

コンタクトレンズの使用で注意したいポイント

コンタクトレンズは目に直接着けるため、メガネよりもさらに取扱いに注意する必要があります。コンタクトレンズ選びの際や使用時に気をつけたいポイントもおさえておきましょう。

度数だけじゃない! 目の形・サイズにあったコンタクトレンズを知ろう

コンタクトレンズは度数のほかに、「目にフィットするか」という点も重要です。ベースカーブ(BC:レンズの曲がり具合)やサイズは、実際に目につけて初めて、その人に合うかどうかがわかります。

コンタクトレンズが張りついて目がゴロゴロする、外れやすいなどは合っていないサイン。そのままつけていると、コンタクトレンズが目に張りつき、角膜が傷ついてしまうことも。コンタクトレンズを購入する際は、必ず眼科で自分の目に合っているかを確認するようにしましょう。

ベースカーブ(BC:レンズの曲がり具合)

カラーコンタクトレンズは医療機器として認められているものを使用して

冒頭でも説明した通り、コンタクトレンズは医療機器にあたります。バラエティショップなどでは、医療機器ではなく「雑貨」としてカラーコンタクトレンズを販売しているケースもあり、そうしたものは安全性が確認されていません。購入するカラーコンタクトレンズが医療機器として認められているか、必ず確認するようにしましょう。

基本的に眼科で処方されるものは安全性が高い医療機器なので、購入したい場合は眼科を受診するようにしてください。どのメーカーのどの製品が自身の目に合うか眼科で確認したあとは、同じものであればネットで購入するのでもよいでしょう。目が傷ついていても、コンタクトレンズが絆創膏のような働きをすることで装用中は痛みを感じず、気づいたときには目の傷が重症化しているケースも。コンタクトレンズを外すと目が痛いという場合は要注意です。また、目に異常が生じていないか、最低でも3か月に1回は必ず定期検診を受けるようにしてください。

また、特に海外製のカラーコンタクトレンズは、メーカーによってBCがまちまちなことも。一度眼科でBCを測ったからといってそれに近い数値を選んでも、目に合わない可能性があるので注意が必要です。

コンタクトレンズをつけたままの睡眠や入浴、水泳はNG!

人はまばたきをすることで、目に涙を循環させています。まぶたが閉じた状態では涙が循環しなくなるため、目の乾燥につながります。乾燥した状態でコンタクトレンズを外そうとすると、目に傷がついてしまいます。短い時間の仮眠だとしても、寝るときは必ずコンタクトは外しましょう。

また、シャワーや入浴、水泳時のコンタクトレンズ装用はNG。水道水にはアカントアメーバといわれる角膜にダメージを与える微生物が生息しており、感染すると最悪の場合は失明してしまうことも。地域や水質によって感染リスクは異なりますが、入浴時や水泳時にはコンタクトレンズを使用しないようにしましょう。

コンタクトレンズをつけたままの睡眠や入浴はNG行為

使い捨てレンズの期間は開封日から数える

2weekや1monthのコンタクトレンズは、14回(30回)使えるというわけではありません。2週間(1か月)のうち使用していない日があった場合でも、開封から2週間(1か月)で交換しましょう。なお、1dayのコンタクトレンズは耐久性が高くつくられていないため、目から外した時点でレンズが歪みます。24時間以内であっても再装用は止めましょう。

清潔な手とコンタクトケースで取り扱おう

なにかに触れた手でコンタクトレンズを触ると感染症のリスクが高まります。必ず石鹸で手を洗い、清潔にしてからつけ外ししましょう。

また、長時間(12時間以上)の着用は目の負担になるため、帰宅後はコンタクトレンズを外して、メガネを装着することを習慣化するのがおすすめです。2weekや1monthの場合には、外した後に必ずレンズを専用の洗浄液でこすり洗いし、微生物や汚れを落としましょう。毎日のこすり洗いを面倒に感じる場合は、こすり洗い不要の洗浄液を選ぶようにしてください。

保存用のケースも、水道水でしっかり洗い乾かすなどのお手入れをしないと、カビが生えることがあります。日々のお手入れはもちろん、最低でも3か月に1回は新しいケースに交換しましょう。

自分に合ったメガネとコンタクトレンズで、快適な毎日を過ごそう

毎日の生活に欠かせない人も多い、メガネやコンタクトレンズ。扱いに慣れてくると、選び方やケア方法がおろそかになってしまうこともあるかもしれません。現在の視力改善はもちろん、将来の目の健康のためにも正しく選んで扱いましょう。

教えてくれたのは…
井上 紗代子さん
アイ&スキンクリニック東京ソラマチ 視能訓練士

視能訓練士資格取得後、円錐角膜専門病院・白内障手術専門病院に勤務。
地域に根差した一般眼科で勤務したいと思い転職。墨田区スカイツリーの足元にある眼科で勤務。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:中島ミドリ
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