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アイメイクが原因で起こる目のトラブル&リスクを減らすコツ

気分を上げたり、目を印象的に見せたりするのにとても有用なアイメイク。その一方で気をつけたいのが、アイメイクが原因となる目のトラブルです。しかし、トラブルを過度に心配してメイクが楽しめなくなるのはもったいないこと。本記事では、アイメイクによって起こるトラブルの基礎知識のほか、どのようにすればトラブルのリスクを減らすことができるのかについて解説します。

教えてくれるのは…
有田 玲子先生
伊藤医院眼科 副院長

京都府立医科大学卒業、京都府立医科大学大学院博士課程修了。その後、慶應義塾大学眼科助手を経て伊藤医院眼科副院長に。書籍『眼精疲労がとれて、よく見える!目のすっきりストレッチ』(成美堂出版)の監修も務める。一般の方にわかりやすく疲れ目やドライアイについて解説するYouTubeも大好評。
 
[監修者] 有田 玲子先生:https://www.itoh-clinic.com/gyouseki/index.html

メイクによる目のトラブル、どんなことが起きる?

最近はさまざまなメイク方法を動画などで気軽に学ぶことができ、メイクのやり方や使用するメイク道具をいろいろと試しながら楽しんでいる方もいらっしゃると思います。一方で、目は「むき出しの臓器」といわれることもあるほどデリケートな部分のため、化粧品によるトラブルが起こりやすいです。

目のトラブルが起こってしまうと、一定期間メイクを中断せざるを得なくなることも。では、メイクによってどのような目のトラブルが起こるのでしょうか。

ドライアイ

私たちの目は、まつ毛の内側にある「マイボーム腺」が脂を分泌することによって、表面の水分が蒸発しにくくなっています。しかし、マイボーム腺がメイクによってふさがれると、脂が分泌されにくくなり、涙が蒸発しやすくなってしまいます。

また、ドライアイが進行すると、コンタクトレンズ不耐症になってしまうことも。コンタクトレンズ不耐症は、乾燥によって角膜が傷つき、コンタクトレンズを入れると目が痛くて我慢ができなくなってしまうため、日常生活にも大きな影響を及ぼします。

マイボーム腺がメイクによってふさがれた状態

結膜炎・まぶたの炎症(眼瞼炎・がんけんえん)

マイボーム腺がふさがれると新たな脂が分泌されなくなり、いつまでも古い脂がとどまることになります。古い脂の酸化が進むと、感染を引き起こす可能性が高まります。その結果、白目の部分(結膜)に炎症が生じる結膜炎や、ものもらいを含むまぶたの炎症になることがあります。

意外とやりがち? メイク時に気をつけたいポイント

では、実際にどのようなメイクがトラブルを引き起こしやすいのでしょうか。気をつけたいポイントについて解説します。大前提となるのは「メイクする手が清潔」であること。ついつい忘れがちですが、メイクを始める前にはきちんと手を洗うようにしましょう。

アイライン

最も注意したいのがアイライン。粘膜ラインやインサイドメイクなどともいわれる、まつ毛よりも内側の粘膜部分にアイラインを入れる方法は、マイボーム腺をふさぐ原因となってしまいます。週に1~2回程度の頻度ならば絶対にNGというわけではありませんが、長時間このようなメイクをするのは避けるのが望ましいです。

どうしてもこのメイクをしたいという日は、いつも以上に念入りにメイクを落とすことを意識してください。メリハリをもってメイクを楽しみながら、目の健康も守っていきましょう。

アイシャドウ

アイシャドウは、マイボーム腺をふさぐという面ではあまり心配する必要はありません。しかし、ラメ入りの場合、目のなかにラメが入って角膜を傷つけてしまうことも。ラメが目に入ってしまうことを防ぐのは難しいですが、異物感を感じたら、目元をぬるま湯などで清潔に洗い流すようにしてみてください。

マスカラ

マスカラは、まつ毛の根元から塗りすぎると目に入ってしまうリスクが高まるので注意しましょう。また、まつ毛の根元にマスカラが残ると、マイボーム腺をふさぐ原因にもなります。メイクオフ時には根元から丁寧に洗うようにしましょう。

つけまつ毛

つけまつ毛は、のりの成分によって肌がかぶれてしまうことも。個々の肌の強さにもよりますが、肌が弱い方は、あまり強い成分のものを使用しないよう気をつけてください。また、海外製の場合、日本では認可されていない成分が入っている商品もあるため注意しましょう。

のりがきちんと落とせていないとマイボーム腺の詰まりの原因にもなるため、外したあとは丁寧に目元を洗うことを忘れないようにしてください。

化粧台でマスカラを塗る女の子

目を守るためのメイク落としの鉄則

メイクによる目のトラブルリスクを減らすために、何よりも力を入れたいのがメイク落とし。目の健康のために実践したい「メイク落としの鉄則」をご紹介します。

まつ毛をキレイに保つことを意識して

まつ毛はマスカラを直接塗ることが多いのに加え、目のなかに入ろうとするホコリや汚れをブロックする役割があるため、じつは思っている以上に汚れています。メイクを落とす際は、特に意識的にまつ毛をキレイにするようなイメージで洗いましょう。

ポイントリムーバーを使ってしっかりメイクを落とそう

特にマスカラやアイライナーなどは、一度のクレンジングではなかなか落ちにくいものもあります。一度に全部を落とそうとすると、強く洗ってしまい、肌への負担も増えてしまいます。肌になるべくやさしく、しっかりメイクを落とすためにも、顔全体のクレンジングの前にポイントリムーバーを使用してみてください。

ポイントリムーバーを使用したあと、さらにぬるま湯でまつ毛の根元を洗うと、落としきれなかった汚れをしっかり洗い流すことができます。

まつ毛の根元は横方向に洗い、往復はNG!

顔を洗うときは手を縦や円で動かすという方が多いと思いますが、目元を洗うときは手を横方向に動かすようにしてください。

その際、手を行ったり来たり往復させると、取り除いた汚れが再付着してしまうためNG。指の腹を使ってそっとなでるように、内から外の一方通行で洗うようにしましょう。

アイメイクの正しい落とし方

顔を清潔に保ってまつ毛ダニの増殖を抑えよう

まつ毛周辺をキレイにすることは、まつ毛ダニ(学名デモデックス)の除去にも有効です。

まつ毛ダニは多くのアジア人の顔に常在しており、基本的には無害です。しかし、数が異常に増えてしまうと、かゆみが発生したり、結膜炎やまぶたの炎症などの病気にかかりやすくなったりします。まつ毛ダニは、「酸化した脂」が好物。メイクによってマイボーム腺が詰まり、たまった古い脂が酸化すると、まつ毛ダニが増えやすくなるので注意してください。

現在のところまつ毛ダニを除去する薬はなく、目元の清潔を保つことが最も重要です。まずは、朝晩2回きちんと顔を洗うようにしましょう。なお、朝晩どちらも洗顔料を使用する必要はなく、自身の肌のコンディションに合わせてOKです。

まつ毛ダニが多いとまつ毛が抜けやすくなるということがわかってきているため、まつ毛がよく抜けるという方は、少し念入りにアイメイクを落とすよう心がけてみてください。

アイシャンプーも使うとベスト

目元やまつ毛専用のアイシャンプーも販売されています。アイシャンプーは、クレンジングや洗顔のあと、仕上げのような目的で使用するもので、落としきれなかったメイク汚れや細かいホコリを洗い流してくれます。

無理に使用する必要はありませんが、かゆみやまつ毛が抜けるなどの自覚症状がある場合には、プラスのケアとして取り入れるなどを検討してみてください。まつ毛ダニ対策には、ティーツリー成分入りのものがより望ましいです。

こんなときはメイクを休んで眼科の受診を

充血や目のかゆみがある、勝手に涙が出てくる、目やにが一日中出る、あるいは起床時に目が開かないほど出ているなどの症状がある場合は、アレルギーや感染症が起きている、もしくは目が傷ついている可能性があります。そのようなときは、メイクはお休みして、眼科を受診するようにしましょう。

トラブルを防ぐポイントを抑えて、メイクを楽しもう!

メイクが原因となる目のトラブルは珍しいことではありません。しかし、過度に気にしてメイクを楽しめなくなってしまうのはもったいないこと。「どのような点に気をつければよいのか」「どのようにメイクを落とせばよいのか」など、ポイントをしっかりと抑えれば、いつも通りにメイクを楽しみながら、目のトラブルのリスクを下げることができます。

ぜひ今日から本記事で紹介したポイントを意識しながら、メイクやメイク落としをしてみてください。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:市村ゆり
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