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早期発見が大事!気をつけたい目のトラブル・病気

目から得る情報はとても大きな割合を占めている一方、命に関わるような目のトラブルや病気は少ないため、眼科受診の優先度が低いという方も多いのではないでしょうか。しかし、なかには気づかぬうちに進行していき、視力や見え方に影響を及ぼす目のトラブル・病気もあり、違和感がある場合には早期受診が望ましいといえます。本記事では、日常で起こりやすい目のトラブルや病気のほか、早期受診が推奨されるサインなどを解説します。

教えてくれるのは…
内野 裕一先生
ケイシン五反田アイクリニック 副院長

慶應義塾大学 医学部 卒業。東京電力病院 眼科科長やハーバード大学医学部などを経て、2022年慶應義塾大学眼科学教室 特任講師、ケイシン五反田アイクリニック 副院長に。

季節や年代に関係なく起こりやすい、目のトラブル

まずは、誰にでも起こり得る目のトラブルについてご紹介します。普段の生活環境を整えたり、早めに眼科を受診したりすることで防げるものもあるため、以下のトラブルがよく起こる方は、ぜひ注意点や対処法を参考にしてみてください。

アレルギー性結膜炎

目に起こるさまざまなアレルギーの総称を「アレルギー性結膜炎」といいます。主な症状は、目のかゆみや異物感です。アレルギー反応が起こる原因として、ハウスダストやダニ、ペットの毛、花粉、コンタクトレンズの汚れ等が挙げられます。

ハウスダストが原因の場合は、部屋や寝具を清潔に保つことが重要です。花粉で目のかゆみが生じる場合は、症状が出る前から専用の点眼薬をさし続けることで症状を抑えられることが多いため、花粉が飛散し始める前に眼科を受診してみるとよいでしょう。

また、アレルギー性結膜炎を予防するという意味では、コンタクトレンズは2weekよりも1dayのほうが衛生的で望ましいといえます。

ドライアイ

本来、人の目の表面は涙が広がりうるおった状態で保たれていますが、ドライアイは涙の膜が崩れやすくなり、目の不快感や疲労感、見えにくさを感じる病気です。日本には2,200万人もの患者がいるとも考えられており、その数は増加傾向にあります。

ドライアイの原因は、加齢による涙の量や質の低下、長時間のパソコン作業・スマホやゲームの使用、エアコンなどの風や乾燥した空気、コンタクトレンズの着用、喫煙など多岐にわたります。パソコン作業などの時間を減らして適度に休憩を入れる、コンタクトレンズの装着時間を減らす、湿度の調整をするなど、意識して改善を心がけてみましょう。

軽度の場合、市販の点眼薬を使用するのも1つの方法ですが、点眼薬を使用しすぎると涙の成分まで流してしまうことも。眼科では、涙の不足成分を補う点眼薬などによる治療が可能なため、症状に悩んでいる場合は受診を検討してみてください。

ものもらい(麦粒腫:ばくりゅうしゅ)・霰粒腫(さんりゅうしゅ)

ものもらいも霰粒腫も、まぶたが腫れる病気ですが、原因が異なります。

ものもらいは、目にある涙や汗の分泌腺・毛穴から細菌が感染を引き起こすことで生じます。まぶたの一部が赤く腫れて軽い痛みやかゆみが起こり、炎症が強くなるにつれ赤みや腫れ、痛みが増してきます。化膿すると腫れた部分が破れて膿が出てくることもあります。細菌感染が原因のため、抗生物質の点眼や内服で治療を行います。

一方、霰粒腫は細菌感染を伴わない炎症が起こります。涙の成分を分泌するマイボーム腺という脂の腺の出口が詰まり、白くどろっとした分泌物が固まってしこりができる病気で、まぶたの腫れや異物感はあるものの、痛みや赤みを伴わないのが特徴です。疲労や生活習慣の乱れ、アイメイクによってマイボーム腺がふさがれることも原因となります。目元を温めることで詰まりが和らぎ、早く治まることもあります。

どちらも、原因をきちんと把握したうえで治療を行わないと、治らずに長引いてしまうので注意が必要です。

40歳を超えたら要注意! 後天的な失明原因 第1位の「緑内障」

緑内障は、眼圧が高まることで視神経が障害され、進行すると視野が狭まったり、視力の低下、失明を引き起こしたりする病気です。日本人の後天的な失明原因の第1位となっており、40歳以上の20人に1人、60歳以上では10人に1人が緑内障ともいわれています。強度近視の場合、そのリスクが高まるともされています。しかし、失明率自体は低く、早期発見をして適切な治療を受ければ、視野や視力を保つことが可能です。

ただし、初期の緑内障は、自分ではなかなか気づくことができません。初期段階では視野の一部が欠けて見えますが、両目で物を見る際に左右の目で視野を補い合っているからです。

そこで重要になるのが、目の定期検査。眼底検査や眼圧検査によって、緑内障の可能性があるかを確認することができます。また、OCT検査といわれる網膜の断層画像を撮影する検査もあり、より詳しく目の状態を確認することも可能です。40歳を超えたら、定期的に眼科で検査を受けることを心がけましょう。

自覚症状を見逃さないで! 白内障・加齢黄斑変性・網膜剥離

目の病気は、見え方などに影響するものも多いため、違和感を感じた際にはきちんと医療機関を受診することが重要です。ここでは、代表的な各病気において、どのような自覚症状が現れるのか解説します。

白内障

白内障は、レンズの役割を果たす水晶体が濁る病気です。加齢が主な原因で、早い場合には40代から発症、80代になると100%の人が白内障を発症しているといわれます。水晶体が濁ってくると、物がかすんで見える・二重に見える、まぶしさを感じるといった症状が現れます。一度濁った水晶体を元に戻すことはできません。ただし、濁った水晶体は手術で取り除き、人工の眼内レンズを挿入することで正常視力まで回復することができます。

(左)通常の見え方 (右)白内障の見え方(イメージ) ※画像素材:PIXTA

加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)

白内障と同様、その名の通り加齢が原因となる病気です。カメラでいうフィルムの役割を果たしている網膜の中心部にある「黄斑」という部位が障害されることによって起こります。

網膜の中心部がゆがむため、実際に目で見た映像も中心部が歪み、その周辺は正しく見えるのが特徴的な症状です。さらに進行すると、見ている映像の中心部が見えなくなり、視力も低下してしまいます。

自宅で簡単に症状をチェックできる方法として、方眼紙のような図を用いたものがあります。方眼紙を片目で見た際に、見え方に違和感がある場合は要注意。眼科で詳細な検査をしてもらいましょう。

網膜剥離(もうまくはくり)

網膜が何らかの原因によってはがれてしまう病気です。外傷によって起こることもありますが、加齢により生じることもあります。20代と50代以上で多くみられるほか、家族で網膜剥離になった人がいる場合や、強度の近視の場合にはリスクが高まります。

程度によって症状はまちまちですが、視力の低下や視野内にごみのような黒い点が現れる(飛蚊症)などの症状がみられます。

(左)通常の見え方 (右)網膜剥離の見え方(イメージ) ※画像素材:PIXTA

そのほか、視野の隅に稲妻のような光が走るように見えるケースも。これまで見えていなかった影や光が見えるという状態が2日間ほど続く場合には、眼科を受診するようにしてみてください。

あなたの目の疲れや違和感を感じられるのは、あなただけ!

目の病気はその不快感によってQOL(生活の質)を下げるほか、一度進行してしまうと、完全には元の目の状態に戻せないものも多くあります。普段から目をいたわることはもちろん、定期的な検査や違和感が生じた場合の早急な医療機関の受診を心がけていきましょう。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:フクイヒロシ
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