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子どもの手荒れ予防。正しい手洗い・消毒・ハンドケア

大人よりも皮膚が柔らかく、敏感な子どもの肌。親としては、子どもの肌が荒れないように日頃のケアから気をつけたいものです。しかし、適切な手の洗い方や消毒液の使い方を知らない子どもって意外と多いかも? そこで今回は、子どものハンドケアで気をつけるべきポイントや対処法を紹介します。

気をつけよう! ハンドソープと消毒液の使いすぎ

子どもの肌は大人よりもバリア機能が未発達なので、生活のなかのさまざまな場面が手荒れにつながることもあります。

たとえば、ポンプ式のハンドソープで手を洗うシーン。大人は適量の泡で洗いますが、子どもはポンプから泡を出すことが楽しくて、必要以上の泡を出して手洗いをしてしまうことも。その結果、洗い残しがあったり、逆に手を洗いすぎたりして、手荒れを起こすケースがあります。

同様に、お店の入り口などに設置してある消毒液も、過剰に使用してしまうのは肌によくありません。消毒を嫌がらずにするのはいいことですが、やりすぎると手がカサカサになって肌にダメージを与えてしまいます。

このように、子どもが消毒液やハンドソープを過剰に使用していた際には、一緒に手を洗いながら、適量をきちんと教えてあげましょう。

正しい手洗いの手順と4つのポイント

手洗いの手順は、大人とあまり変わりませんが、ポイントは「やり過ぎないこと」
「きれいにしたい!」という思いで、必要以上にゴシゴシ洗ったり、必要以上にハンドソープを使ったりしてしまうと、その刺激によって肌がダメージを受け、手荒れにつながってしまう場合も。

まず、手全体をぬるま湯でしっかり濡らします。次に、よく泡立てたハンドソープを手全体にまんべんなく広げます。指の間や指先にも泡が行き渡るように。10秒以上ていねいに洗います。その後、流し残しがないように隅々まで流水をしっかり当ててすすぎましょう。洗ったあとは、きれいなタオルやハンカチで水分をやさしく拭き取りましょう。

手を洗うときは、ごしごしこすらずに、泡を転がすようにやさしく洗うことがポイント。すすぎ残しがないように、気をつけましょう。

手を洗うときは、ごしごしこすらずに、泡を転がすようにやさしく洗うことがポイント。すすぎ残しがないように、気をつけましょう。

手洗いしたほうがいいタイミングは、帰宅時、咳やくしゃみ・鼻をかんだあと、トイレのあと、料理の手伝いの前後、食事前など、基本的には大人と同じです。ただし、子どもの場合、土遊びをしたり、動物や昆虫に触れたりしているケースも多いため、特に帰宅時は入念な手洗いが大切です。

子どもが外で遊んだあとは、手に細かな傷ができていることも。そこに汚れや菌が入ってしまうと手荒れや感染症の原因になりやすいので、きちんと洗い流すことが肝心。特に下の図の4か所は、ちゃんと洗えていない場合があるので、大人がしっかり見てあげましょう。

爪のまわり、手の甲、指の間、手首をしっかりと意識して洗いましょう。

爪のまわり、手の甲、指の間、手首をしっかりと意識して洗いましょう。

また、寒い時期は冷たい水で手を洗うと、血行不良を起こしてあかぎれなどになる恐れがあるので要注意。逆に、かじかんだ手を温めようと熱めのお湯で手を洗うと、皮脂がうばわれ過ぎて乾燥をまねいたり、急激な温度差の影響からしもやけを起こすことも。負担を少なくするために、ぬるま湯での手洗いがおすすめです。

ハンドソープの選び方とハンドタオルの使い方

大人よりもデリケートな子どもの肌。手荒れしないように、刺激の少ない石けんやハンドソープを使った手洗いがおすすめです。泡で出てくるタイプも使いやすいですが、泡を多く出し過ぎないようにワンプッシュで使うなど、使用量を守りましょう。

また、手洗いをきちんとしない場合は、子どもが好きなキャラクターがパッケージに描かれているものや、泡が動物の肉球や花のかたちなどになって出てくるハンドソープを選ぶと、泡を出して楽しむことで自然と手洗い習慣が身につくことも。

さらに、手を洗ったあとのハンカチやハンドタオルの使い方にも注意が必要です。濡れたり汚れたりした状態のハンカチやハンドタオルを使い続けるのは、衛生上、好ましくありません。自宅のハンドタオルはこまめに洗濯し、乾いた状態の清潔なハンカチやハンドタオルを使いましょう。また外出時は、可能であれば大人用と子ども用で数枚のハンカチを持ち歩くのがおすすめです。

そして、いちばん大切なのは、子どもが手洗いや手を拭くことがちゃんとできたときに「きちんと洗えたね」「しっかりと拭けたね」とほめてあげること。それこそが、手洗いや消毒に対する正しい方法の習慣づけにつながります。

子どもの手も保湿してあげよう

正しく手を洗えたとしても、乾燥しやすい時期の子どもの肌は荒れやすいもの。そこで頼りになるのが、ハンドケア製品です。大切なのは、適量を塗ること。チューブタイプのハンドクリームであれば、3~4cmくらいを手のひらに出して、手全体にやさしく馴染ませるのが基本です。

塗る量が少なすぎると、全体に広げる際に摩擦が起きて、逆に手荒れにつながる可能性があります。特に子どもの場合は、必要以上にゴシゴシとこすってしまうことも。また、ローションやクリームタイプなど、皮膚でのばしやすい成分のハンドクリームを使うと、上手に塗れるようになります。手荒れに発展する前に、正しい分量と塗り方を教えてあげましょう。

手を綺麗に洗おう

最後に、アフターケアとして勘違いしやすいのが、アルコール消毒です。消毒はあくまでも手洗いができないときに手を清潔にするための代替手段。なので、手洗いのあとに消毒をする必要はありません。そうとは知らず、手洗いのたびにアルコール消毒をするのは手荒れの原因に。また、アルコールは健康な状態の皮膚に必要な油分までとってしまうことがあるため、使いすぎると皮膚が乾燥する原因にもなります。必要以上のアルコール消毒は控えましょう。

感染症の流行は、まだまだ予断を許さないため、今後もさまざまな場所で手洗いやアルコール消毒が求められそうです。そうしたなかで子どもの手荒れを防ぐために、正しい「手洗い」「消毒」「ハンドケア」を、やさしく楽しく伝えていきましょう!

教えてくれたのは・・・
野村 有子先生
野村皮膚科医院 院長

皮膚科専門医。慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部皮膚科教室に入局。その後、神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科に勤務し、アトピー性皮膚炎をはじめとするさまざまな皮膚の病気の診断、治療を行う。1998年に野村皮膚科医院を開業。2003年現在地に移転し、医院にアレルギー対応モデルルームやアレルギー対応カフェを併設。あらゆる皮膚疾患について丁寧に説明をし、治療からスキンケアにいたるまできめ細やかな指導を行っており、パッチテストや血液検査、皮膚組織検査などで病気の原因検索にも力を入れている。
日本皮膚科学会・日本臨床皮膚科学会・日本研究皮膚科学会・日本香粧品学会・日本皮膚アレルギー学会・日本アレルギー学会・ 日本抗加齢医学会・日本在宅医療連合学会・日本風工学会・神奈川県皮膚科医会・横浜市皮膚科医会に所属。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部 イラスト:市川リョウコ
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