身近な防災探してみよう!―おうち編―
防災の準備をしなければ…と思うと気が重い。
けれど実は、私たちが普段から無意識に行っていることや、今すぐにでもできる小さなアクションが、防災につながります。そう、たとえばこんなこと。
地震や暴風雨などでガラスが突然割れたとき、カーテンやブラインドはガラスの飛散を防ぐ防災アイテムに早変わり。就寝時はもちろん、日中も薄いレースカーテンなどを閉めておくだけでも「実は防災」です。
食器など割れ物の多いキッチンは、地震時の最危険地帯。大地震の際は、物が落ちるだけでなく凶器となって飛んでくるため、お皿や調理道具を出しっぱなしにせず、すぐしまう習慣をつけておく。それも立派な防災です。
部屋に無駄な物がなく、すっきり片付いている家は、地震の際、物が飛び交うことがなく、被災後も安全に過ごせます。「自宅が無事な人は自宅避難」が一般的になっている今、実は日頃からの掃除や整理整頓も大事な防災なのです。
防災グッズの内容が他人と同じである必要はありません。自分や家族には必需品だと思うものを備えに加えましょう。たとえば毎朝必ずコーヒーを飲む人なら、インスタントコーヒーを非常用リュックに忍ばせておくだけで、被災時の朝にもほっと一息つくことができます。
災害に停電はつきもの。いま自宅にある懐中電灯や非常用のライトだけで夜が越せるのか、お子さんがいる家庭なら、遊び感覚で一晩を過ごしてみると、意外なほど夜が暗く不便なことや、本当に必要なライトの数などがわかります。
最も無防備な就寝中に地震が起こることもあります。揺れたら落ちてきそうなもの、倒れてきそうな家具がベッドの周囲にありませんか? 実際に寝転がってみて確認し、あれば位置を動かすなど、自分や家族を守る工夫を。
非常用のリュックには、「ちょっと不便なところに旅行に行くつもり」でいつも使っているもの・食べ慣れているものを詰めてみて。一般的な防災リストの内容にとらわれず、「私が使いやすいもの」が詰まったオーダーメイドの防災が◎。
被災して気持ちが落ち込んだとき、食べ慣れない味や好きでない味は食べにくく、いっそう気落ちしてしまいがち。非常食が非常時に役立たない……なんてことのないように、非常食の「味見」をしておくのもひとつの防災です。
災害時には大人も子どもも「自分の身はまず自分で守る」が原則。大きな揺れを感じたときには、さっと伏せて両膝・両肘を床につけて丸まり、頭と首を守る「ダンゴムシのポーズ」を取れるよう日頃から家族で練習しておくことも大事な防災です。
【監修】宮丸 みゆきさん
(NPO法人ママプラグ理事、防災士)
自ら考えて動く「アクティブ防災®」を提唱するママプラグのコアメンバーとして、全国各地で防災講座などを担当する、防災のエキスパート。共著書に『全災害対応! 子連れ防災BOOK』(祥伝社)など。
ヘルス・グラフィックマガジンvol.48
「災害と健康」より転載(2023年6月15日発行)