かぜ

治ってきたと思ってたのに(泣)

治ってきたと思ったら、ぶり返し、しかも前より症状が重い…。それ、「かぜのぶり返し」ではないかもしれません。ここでは、かぜに引き続いて起こりやすい、かぜのようでかぜではない代表的な病気を紹介します。

治ってきたと思ってたのに

鼻の周りには副鼻腔とよばれる4つの空洞があり、この部分に鼻や喉のウイルス・細菌が入り込んで炎症が起こった状態が副鼻腔炎。かぜ症状がよくなってきた後に、再び鼻水や鼻詰まりが悪化して発熱し、鼻の詰まった側の頬を押すと痛い、眉間の辺りが痛い、上顎(上の歯)が痛い、などがあれば受診を検討しましょう。慢性副鼻腔炎への進展を防ぐためにも、こまめに鼻をかんで鼻水を鼻の中に溜めておかないことが大切です。

治ってきたと思ってたのに

かぜの後の長引く咳の多くは「感冒後咳」とよばれるもので、必ずしも治療が必要な状態ではありません。喉痛を伴うかぜ症状があった後、よくなってきたと思ったら咳が出てきて、熱もないけれど咳だけが残っている。夜布団に入ると咳が強くなる……といった特徴に当てはまれば、のど飴や咳止めなどを活用しながらしばらく様子を見てOKですが、下記の症状があれば要受診。結核などの重大な病気が見つかることもあります。
・一度よくなりかけたのに、歯がガチガチする震えを伴う38℃以上の熱が出た
・咳をすると胸が痛む、血痰が出る
・肺に持病があって熱がある
・シャツが濡れるくらいの寝汗をかく
・咳が10日以上続く

治ってきたと思ってたのに

かぜ症状がよくなってきたと思ったら、強い寒気を伴う38℃以上の高熱や強い咳が出始めた、呼吸が苦しい……。そんなときには、肺に細菌やウイルスが入り込んで、炎症を起こしている可能性があります。「感冒後咳」で挙げた要受診の症状で、気になる点があれば必ず受診を。かぜをこじらせてかかる肺炎は細菌が原因である場合が多く、本来はほぼ無菌である肺から細菌を追い出すために、抗菌薬による治療が必要になることがあります。

治ってきたと思ってたのに

かぜをきっかけに、鼻の奥にある耳管を通じて、鼻や喉のウイルス・細菌が内耳内に入り込んで起こる耳の感染症。子どもに多く、耳の痛み、聞こえの悪化、発熱、耳だれなどが生じます(痛みを訴えられない乳幼児では、不機嫌、耳を触るなどの様子がみられることも)。鼻を強くかんだり頻繁にすすったりするとなりやすく、放置すると慢性中耳炎などに移行することもあるため、完治まで医師の元で経過観察・必要に応じた治療を受けましょう。

ここに挙げた病気は、かぜ後にみられやすい代表的な病気ですが、かぜの後、症状がぶり返すときには、実は新たなかぜウイルスをもらってきているだけ(かぜの二度びき)、ということも少なくありません。体調が不十分な間は無理をせず安静に、がやはり大切です。

岸田 直樹 先生

【監修】岸田 直樹 先生

(総合診療医・感染症医/Sapporo Medical Academy 代表理事)

感染症診療のエキスパート。感染症コンサルタントとして全国各地の医療機関のアドバイザーも務める。セルフケア教育で厚生労働省医政局長賞受賞。主な著書に『誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた』(医学書院)など多数。

ヘルス・グラフィックマガジンvol.46 「かぜ」(2022年12月15日発行)

ヘルス・グラフィックマガジンvol.46
「かぜ」より転載(2022年12月15日発行)

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